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意思決定は、優れたビジネスプランニングに欠かせない要素ですが、正しい選択肢を見極めるのは難しいものです。重要なポイントは、焦らずにすばやく決断すること、スピード感を失うことなく正しい決断を下すことです。
この記事では、正しい決断を見極めるためのフレームワーク「意思決定マトリクス」についてまとめます。これがあれば、それぞれの選択肢のメリットやデメリットをすばやく確認、さまざまな数値を比較し、短時間で簡単によい決断を下すことができます。
更新: この記事は、意思決定マトリクスの評価項目に関する記述を含めて 2023年 5月に改訂されました。
仕事は決断の連続です。よい決断を下すことでチームを正しい方向へ導き、目標を達成することができます。しかし、どうすれば正しい決断を見極めることができるのでしょうか?一見同じように見える 2 つの選択肢に直面したとき、あなたならどうしますか?コインを投げる?サイコロを振る?それとも水晶で占いますか?正しい選択をしたいなら、意思決定マトリクスを活用してみましょう。
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Asana でプロジェクトを計画するメリット意思決定マトリクスとは、複数の選択肢を客観的かつ定量的に評価し、最適なものを選ぶために使用されるフレームワークです。仕事の場では、複数の案から最適なものを選択し進んでいかなければならない場面が多々あるでしょう。そのとき、どうすれば一番良い選択肢を見極められるのか?意思決定マトリクスはそのようなシーンで最終決定を下すときに有効です。
意思決定マトリクスは、以下のような名前でも呼ばれています。
ピューマトリクス
格子解析
多属性効用理論
問題選択マトリクス
意思決定グリッド
意思決定マトリクスで使用される項目には、次のような要素が挙げられます。
収益性
実現可能性
緊急性
将来性
独自性
効果性
優位性
展開性
新規性
経験
コスト
インパクト
リスク
コミュニケーション
カスタマーレビュー
どの項目を評価対象とするのかは、ケースバイケースでしょう。上記の項目をすべて扱う必要はもちろんありません。決断を下すにあたって、何が重要な条件となるのか、どこに焦点を当てるのかを見極め、意思決定マトリクスの項目を設定します。
決断を下す際、必ずしも意思決定マトリクスが必要とは限りません。このプロセスは効果的で比較的簡単ですが、最も有効なのは複数の選択肢の中から決定する場合です。
たとえ複数の選択肢があったとしても、それぞれの選択肢で評価基準が異なる場合は、意思決定マトリクスが最適な意思決定ツールではない可能性もあります。たとえばチームの来年の方向性を決める場合などは、決定対象が比較できないため役に立ちません。
意思決定マトリクスはこんな場面で使えます。
複数の類似する選択肢を比較する場合
さまざまな選択肢の中から 1 つに絞る場合
さまざまな要素を考慮する場合
感情や直感ではなく論理的な視点で判断したい場合
意思決定マトリクスが現在の状況に合っていない場合は、この記事の最後に記載する『その他の意思決定手段』をご覧ください。
意思決定マトリクスは、評価項目に対するその相対的な重要性に基づいて、複数の選択肢から最良のものを選ぶ際に役立ちます。ここでは、意思決定マトリクス作成の 7 つのステップをご紹介します。
まずマトリクスを作成する前に、どのような選択肢があるのかを特定します。
たとえば、今年の夏に新しいブランドキャンペーンを展開するとしましょう。そのために、デザインのビジュアルや動画を制作するベンダーを決めなければなりません。現在 3 つのデザイン会社で検討していて、それぞれメリットやデメリットがあります。ここでは、この 3 社が意思決定マトリクスの選択肢となります。
意思決定マトリクス作成の 2 番目のステップは、意思決定の要因となる項目を設定することです。この項目は、どの選択が最良か判断する、また主観的な判断を避けるのに役立ちます。項目の例は、前述の『意思決定マトリクスの評価項目は?』をご覧ください。
先ほどの例の続きでは、あなたのチームはデザイン会社を選択する際の評価項目を、コスト、経験、コミュニケーション、過去のカスタマーレビューとしました。
選択肢と評価項目が定まったところで、実際に表にまとめます。
たとえば 3 つの会社の中から、コスト、経験、コミュニケーション、カスタマーレビューを条件として 1 社を選ぶ場合、意思決定マトリクスの枠組みはこのようになります。
意思決定マトリクスは Asana で作成するのがおすすめです。Asana は組織全体の作業の管理や実行に役立ち、チームがより早く目標を達成するために必要な透明性を提供するワークマネジメントツールです。
電子書籍をダウンロード: ワークマネジメントとは?チームがワークマネジメントを必要とする理由Asana とは?仕事管理ツールについて知る今度はそれぞれの評価項目を、あらかじめ決めておいた尺度で評価しましょう。選択肢の間にそれほど大きな違いがない場合は 1~3 の尺度で評価し、3 を最良とします。選択肢が多い場合は 1~5 の尺度で評価し、5 を最良とします。
ここで、意思決定マトリクスの効果が発揮されます。たとえば、3 つの会社から 4 つの条件をもとに決定する際に、意思決定マトリクスを作成していない場合を考えてみましょう。各社の評価は以下のようになります。
会社 1 はコストパフォーマンスが高いが、それほど経験がない。コミュニケーションとカスタマーレビューは平均的。
会社 2 はコストパフォーマンスがあまり高くないが、それほど費用が掛かるわけでもない。経験はそれなりにあり、カスタマーレビューもよい。しかし、コミュニケーションが少々不足している。
会社 3 は最もコストがかかるが、経験豊富。コミュニケーションは平均的で、カスタマーレビューはかなりよい。
上記 3 つの記述はどれも似ていて、しかも各社にそれぞれ長所と短所があるので、短い文章を読んで比較するのが難しくなっています。一方、この 3 社を 4 つの検討事項について 5 を最良とする 1~5 で評価すると、このようになります。数値化することで、状況がより鮮明に把握できるようになるのです。
評価項目の中にも、より重要なもの、それほど重要視しないものなどがあるでしょう。そういった場合には、重み付き意思決定マトリクスを使って最適な選択肢を見つけましょう。
先ほどの例でいくと、もし予算を絶対に超えられないのであれば、コストは意思決定プロセス上、非常に重要な項目となります。レビューも、その会社がこれまでどういった実績を上げてきたかを示す基準となるので重要としましょう。
意思決定マトリクスに重みを付けるには、それぞれの評価項目に数値 (選択肢の数に応じて 1~3 または 1~5) を割り当てます。その後の意思決定プロセスで、各項目の数値に重みの数値をかけます。
今回の例ではこのようになります。
評価をつけ、各検討事項に重みを付けたら、そのスコアを評価にかけます。これによって重要な検討事項がより重視され、最終的に最適な会社を選ぶことができます。
今回の例で、各社の評価に重み付けスコアを適用するとこのようになります。
重み付けスコアを適用したら、各社の検討事項の点数を合計します。この時点で、どの選択肢が最良なのか、数字に基づいた明確な答えが得られるはずです。
完成した意思決定マトリクスはこのようになります。
この結果から、最も点数が高いのは会社 2 であり、この会社が今回採用すべきベンダーであることがわかります。会社 1 の方がコストは安いですが、長年の経験や優れたカスタマーレビューも踏まえると、平均的なコストの会社 2 が最良の選択となるでしょう。後はこの会社に連絡して、ブランドキャンペーンを進めるだけです。
意思決定マトリクスは、複数の選択肢の中から最適なものを見つけたい場合であれば、ビジネスのさまざまな意思決定で活用できます。また必ずしもそれがビジネス上重要なものである必要もありません。シンプルな意思決定をすばやく行いたいような場合にも役立ちます。
たとえば、リモートワーク用の椅子を決める意思決定マトリクスを作ってみましょう。気になっている椅子が 4 つあり、重要な検討事項は座り心地、コスト、レビューだとします。
意思決定マトリクスは、テンプレートを利用するとより素早く、効率的に作成することができます。作成した表は、意思決定プロセス上重要な役割を果たすので、チーム全員と共有し、共通認識を持てるようにしましょう。
意思決定マトリクスが現在の選択肢に適していないと判断した場合は、他の手段を試してみましょう。
アイゼンハワーマトリクスとは、緊急度と重要度に基づいてタスクの優先順位を決める 2×2 の図表です。このマトリクスは、類似しない複数のタスクを抱えていて、どのタスクや取り組みに最初に手を付けるべきか決定する場合などに役立ちます。
左上に、緊急かつ重要な仕事をリストアップします。これらのタスクは最優先です。今すぐ、あるいはできるだけ早く実行しましょう。
右上には、緊急度が低く重要度の高い仕事をリストアップします。これらのタスクには確実に着手するために、カレンダーに予定を入れたりプロジェクト管理ツールで期日を把握したりしましょう。
左下には、緊急度が高く重要度の低い仕事をリストアップします。これらのタスクは終わらせる必要がありますが、もっとそのタスクに適した人がいるかもしれません。可能であれば、誰かに任せましょう。
右下には、緊急度が低く重要度も低い仕事をリストアップします。これらのタスクは保留するか、やらないようにしましょう。優先順位を明確にして、チームメンバーに「今はできない」と伝えることは、燃え尽き症候群対策としても役立ちます。
アイゼンハワーマトリクスはテンプレートを活用して効率的に作成しましょう。Asana なら、ニーズに合わせたテンプレートをカスタマイズできます。
アイゼンハワーマトリックステンプレートを作成プロジェクト計画のプロセスで重要な意思決定の一つに、どの関係者を計画に関わらせ、どの関係者と相談し、どの関係者に報告するかというものがあります。このような意思決定の際には、関係者の分析マップを作成します。このマップは、相対的な影響力や関心度に基づいて関係者を分類するのに役立ちます。
関係者の分析マップには 4 つの分類があります。
影響力が大きく関心も強い: これらの関係者をプロジェクト計画や意思決定プロセスに参加させます。
影響力が大きく関心が低い: これらの関係者にはプロジェクトについて伝えておき、もっと関わりたいという関係者がいないか関心度を観察しましょう。
影響力が小さく関心が高い: これらの関係者にはプロジェクトに関する最新情報を常に伝えましょう。プロジェクトのステータス更新にこれらの関係者を追加して、常に進捗を報告できるようにしましょう。
影響力が小さく関心も低い: これらの関係者とは定期的なチェックポイントでのみ連絡を取りましょう。常に情報を共有しておく必要はありません。
主な関係者を把握したら、次は RACI チャート (RACI 図) を作成してもいいでしょう。RACI とは、Responsible (責任者)、Accountable (承認者)、Consulted (相談先)、Informed (報告先) の頭文字をとったものです。RACI チャートは、各タスクや取り組みの主な意思決定者を決める際に役立ちます。
記事: RACI チャートのガイド (実例付)時には昔ながらのブレインストーミングが意思決定に最適な場合もあります。ホワイトボードを使ったブレインストーミングや、プロジェクト管理ツールを使ったアイデア共有を行いましょう。
Asana では、よくかんばんボードを使ってダイナミックなブレインストーミングを行っています。まずはブレインストーミングの進行役が、アイデアや考え、フィードバックを書き込めるボードを作成します。そして全員がそれぞれの意見を追加したら、各メンバーはその提案に「いいね」をつけていきます。その後で、「いいね」の多かったタスクについてグループで話し合い、今後の方向性を決定します。
すばやい意思決定は、優れたプロジェクト計画やプロジェクト管理には欠かせない要素です。複雑な意思決定を行う場合も、シンプルな意思決定を行う場合も、意思決定マトリクスのようなツールを使うことでさまざまな要因を検討し、チームにとって最適な決定を下すことができます。
成功するために欠かせない 25 のプロジェクト管理スキルでは、プロジェクト管理についてより詳しく学ぶことができます。