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アクションプランとは?その具体例や作成の進め方を解説

寄稿者 Alicia Raeburn の顔写真Alicia Raeburn
2024年2月19日
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概要

この記事では、アクションプランの基本を知りたいと考えているプロジェクト管理者のために、アクションプランの概要から作成することで得られるメリット、作成の進め方と上手く運用するコツまでを紹介しています。アクションプランの基本を理解しましょう。

更新: この記事は、アクションプラン運用のコツに関する記述を含めて 2023年 3月に改訂されました。

プロジェクトを着実に進めるには、目標を設定した上で具体的な計画を策定する「アクションプラン」が効果的です。この記事では、アクションプランとは何か、その定義と作成することで得られるメリットを解説した上で、プロジェクト作成の進め方やポイントを紹介します。アクションプランの作成方法もステップごとにまとめるので、参考にしてみてください。

アクションプランとは?

アクションプランとは、目標達成までのステップを正確にまとめた行動計画のことを言います。言い方を変えれば、目標に到達するまでに完了しなければならないタスクをスケジュールに落とし込んでいった計画表のことです。順序に従って必要タスクに取り組み、チームがターゲットをクリアできるようにする優れた方法でもあります。

アクションプラン用テンプレートを作成する

プロジェクトは漠然と目標を掲げるだけでは実現する可能性は低いため、アクションプランを策定する必要があります。目標へ着実に近づくためには、社員の具体的な行動にまで落とし込む必要があるのです。アクションプランは「いつ」「誰が」「何をするのか」というように、社員の行動や達成時期を具体的に規定することで、目標達成の確度を上げるものです。

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用語解説: アクションプランと混同される用語

ビジネス用語の中には、アクションプランとよく混同されるものがいくつかあります。

  • アクションプランと「プラン B」

  • アクションプランと「プロジェクト計画」

  • アクションプランと「To-Do リスト」

それぞれについてまとめるので、違いを把握しましょう。

アクションプランとプラン B の違い

アクションプランとプラン B が同じ意味で使われているのを耳にしたことがあるかもしれません。しかし、この二つはまったく違う性質の計画です。区別するには以下が参考になります。

  • アクションプランは、目標に到達するためにとるべきステップをあなたやチームが正確に把握するために、その内容を詳細にまとめたものです。

  • プラン B は、元の計画が失敗した場合にチームが使用できる第二のアクションプランであり、代替の戦略です。原因が内部の問題か外部の要因かに関わらず、プラン B は、最悪の事態に備える有効な方法です。

アクションプランとプラン B の違い
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アクションプランとプロジェクト計画の違い

プロジェクト計画は、アクションプランよりも少し複雑な計画です。プロジェクト目標を実現するために、チームがクリアするべき主要な要素をまとめた青写真がプロジェクト計画です。これには次の 7 つの要素が含まれます。

  1. ゴールとプロジェクト目標

  2. 成功指標

  3. ステークホルダー役割

  4. スコープ予算

  5. マイルストーン成果物

  6. タイムラインスケジュール

  7. コミュニケーション計画

プロジェクト計画を作成したら、チームがタスクを実行し、目標を達成するための手順をアクションプランにまとめ、記録しましょう。これを基に、チームの全員が自分の責任範囲と、何をいつまでに完了すべきかを把握できます。

アクションプランと To-Do リストの違い

To-Do リストは、多くの場合、必ずしも共通の目標につながっていない個別のタスクを書き留めておくために利用されます。To-Do リストは日々変化する可能性があり、アクションプランに比べて整理されていません。アクションプランは決まったステップに従い、そこに含まれるタスクはすべて、共通の目標の達成に必要です。

アクションプランのメリットは?

アクションプランのメリット

アクションプランを作成するメリットとして、次の 2 点が挙げられます。  

アクションプランを作成しておくことで、目標に向けた取り組みが可視化され、業務の効率化や進捗管理がしやすくなります。計画を実行していくプロセスにおいてトラブルの発生はつきものですが、進捗を把握しておくことで柔軟な対応が可能です。

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[メリット 1] 業務の効率化 

アクションプランの作成によって、社員がやるべき業務が明確になり、効率よく行動できるようになります。そして業務の効率化は、結果的に仕事の生産性向上にもつながります。行動計画が定まっていない場合、社員はどのように行動すればよいのか分からず迷ってしまうでしょう。

具体的にいつ、どんな業務を行うべきかをアクションプランによって明らかにすることで、社員は行動に向けた準備ができ、スムーズに業務を遂行できるようになるのです。また、不要な業務に手を付けることがなくなるため、目標達成に直結する行動のみを行えるようになります。

[メリット 2] 進捗管理の容易化 

アクションプランでの計画と実際の達成度とを比較することによって、進捗を把握しやすくなります。計画に対してどの程度遅れているのか、どのような行動が足りていないのかを容易に把握できるため、社員に対して具体的なアドバイスや指示を出せるようになり、早期の改善が可能です。  

また、進捗状況からアクションプランの遂行が難しいと判断した場合にも、軌道修正がしやすくなります。

アクションプランはいつ必要?

アクションプランは、ステップごとのプロセスを計画している人に便利なツールですが、特に戦略プランニングの中でよく使用されます。戦略計画とは組織全体が目指す方向を決める、3 ~ 5 年スパンの目標です。戦略計画を作成したら、アクションプランを使って、戦略目標を達成するために具体的に何を行うかを正確に決めていきます。そうすることで、全体の戦略目標に到達するために、チームが実行する必要のある個別のタスクすべてを追跡する枠組みを設定し、チームに提示できます。

しかし、アクションプランは戦略プランニング以外の場面でも活用できます。このツールを使って、計画的に目標を達成しましょう。おすすめのアクションプランには次のようなものがあります。

  • ビジネスアクションプラン

  • マーケティングアクションプラン

  • 修正アクションプラン

  • セールスアクションプラン

  • プロジェクトアクションプラン

  • 自己開発アクションプラン

アクションプランのタイプを問わず、作成時にはタスク管理ソフトウェアを使うことがおすすめです。そうすることで、アクションアイテムとタイムラインをチームと簡単に共有し、完了した To-Do も管理できます。手作業でステータス更新を行う必要がなく、成果物は明確になり、チームは信頼できる唯一の情報源を中心にすべての必要な業務を進めて目標をクリアできます。

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アクションプラン作成の進め方

それでは、チームの効率を高め、責任範囲を明確にするアクションプランの書き方と、作成から実行までの流れを実際に見ていきましょう。

アクションプランが必要な人とは?

アクションプランを作成するには、特に手順が決まっているわけではありません。ここでは、上に挙げた 6 つのステップ順に進めていく方法を紹介します。

ステップ 1: SMART な目標設定

アクションプランは目標を達成するための行動計画であるため、まずは目標の設定を行う必要があります。目標は数値化しておかなければ達成状況が把握できないので、年間売上 1,200 万円といったように具体的な数字で表現することがポイントです。大きな目標を決めたあとは、達成するための細分化した小さな目標を設定します。年間売上 1,200 万円という大きな目標に対して、月間売上 100 万円が小さな目標のひとつです。このように、具体的な数字を設定した上で、目標を細分化します。

目標を設定する際に、最も重要なポイントは明確性です。そこで SMART な目標の手法を使い、目標を明確に定義しましょう。この戦術のメリットを活かすには、具体的 (Specific)、測定可能 (Measurable)、達成可能 (Achievable)、現実的 (Realistic)、そして期限がある (Time-bound) 目標を設定することが大切です。

SMART な目標

たとえば、現在のプロジェクト (測定可能) を、4 か月以内 (期限がある) に予算を超過することなく (具体的) 完了させるという目標があるとします。使用できるリソースから判断して、目標が現実的で達成可能であれば、これはあなたにとって立派な SMART な目標になります。

ステップ 2: タスクを特定する

設定した目標に対して必要なタスクを洗い出していきます。このとき、マイルストーンも考慮に入れておくことを忘れないようにしましょう。

タスクは「訪問営業 10 件」「テレアポ 50 件」のように、すぐに行動へ移せるよう具体的に設定する必要があります。タスクと目標を見比べて、行動すれば達成できるようになっているかを確認し、足りないものがあれば追加します。こうすることで、目標達成できる可能性を高めることが可能です。

タスク特定の具体例

ここで、具体例をいくつかご紹介します。さまざまなアクションプランには次のようなタスクの特定がされます。

目標: 6月までにチームの人数を 7 名から 9 名に増員する

タスクの例:

  • 人事部と会議を行い、採用キャンペーンについて話し合う

  • 採用候補者を管理するためのテンプレートプロジェクトを作成する

  • 週 3 名ずつ、採用面接をスケジュールする

目標: 第 2 四半期末までに新しいワークマネジメントソフトウェアを選択し、全社員をオンボーディングさせる

タスクの例:

  • 予算を申請する

  • 第 2 四半期に向けた導入計画を作成する

  • チームメンバー向けのトレーニングのスケジュールを立てる

目標: 地域のフードバンクを支援するため、募金額 200 万円を目指し、5km のチャリティマラソンを主催する

タスクの例:

  • ボランティアを募り、役割を決める

  • 宣伝素材と PR 計画を準備する

  • スポンサーを獲得する

記事: 会社を発展させる戦略目標と指標の実例 65 選

ステップ 3: リソースを配分する

担当者やリソースを洗い出したタスクへと割り当てていきます。タスクの担当者を決めるにあたっては、社員の適性やスキル、経験などを考慮することで実行力が高まります。予算や設備、ツールなどのリソースがどの程度使えるのかを考え、それぞれのタスクへ必要な分を配分します。

適切にリソースを配分するには、タスクを実行するのに必要な工数や物資を見積もる必要があります。見積もりを誤ると問題が生じ、軌道修正が必要不可欠となるため、できるだけ正確に把握しておくことが重要です。

アクションプランが実際に動き出してからでないとリソースの配分ができない場合もあります。まず資金を得るための申請が必要な場合や、企業トップ層の承認を得てからでないとタスクに取り掛かれない場合もあるでしょう。そうした際には、リソースをアクションプランの項目に加え、後で解決すれば OK です。

ステップ 4: タスクの優先順位を決める

優先順位が明確なチームは、まず行うべき作業や、必要に応じてスケジュール変更が可能な作業を把握しています。アクションプランは状況に応じて変更可能なので、チームがより実力を発揮できるようにするには、どのタスクの優先度が高く、どのタスクに余裕があるのかを明確に知らせることが重要です。

そのためには、すべてのアクションアイテムを優先度と順序に従って整理しておきましょう。

  • 優先度: タスクの重要度の違い。

  • 順序: タスクを完了する入れ替え不能な順番。

アクションアイテムを整理し、優先順位をつける作業をしていると、他のタスクに依存しているアクションアイテムがあることに気づくはずです。つまり、前のタスクが完了するまで開始できないタスクがあるということです。こうした依存関係を明確にし、その順序を考慮して優先順位付けを行いましょう。計画段階で重要性が低いと考えていたアクションアイテムが後になって優先度の高いアクションアイテムの遅れの原因となり、ボトルネックになる事態は避けなくてはいけません。

記事: プロジェクト管理における依存関係を理解する

ステップ 5: 期日とマイルストーンを設定する

目標を把握すると、チームはそれを背景情報として業務の優先順位を効果的に設定でき、優れた結果を出すためのモチベーションが生まれます。また、自分の仕事が全体の目標にどう貢献するか直接的に理解できると、メンバーのやる気も高まる傾向にあります。スタート時点からチームメイトのやる気を高めるには、すべてのアクションアイテムに期日を設定し、マイルストーンを定義しましょう。

スケジュールを立てるポイントは、無理のない現実的なものにすることです。ある程度の余裕がなければ、突発的な仕事やトラブルへの対応で進捗が遅れてしまい、タスクの実行が困難になります。柔軟に対応できるように無理のないスケジュールを心がけましょう。

タイムラインやガントチャートを作成すると、優先順位をつけたタスク、マイルストーン、期日の全体像がつかみやすくなります。また、タイムラインは、アクションプランに含まれるすべてのタスクの開始日と完了日を視覚的に追跡するツールにもなります。タイムラインを基準にして、チームが順調に仕事をこなせるように業務を管理しましょう。

マイルストーンと現実的な期日は、チームのモチベーションを維持し、目標をクリアするために必要です。プロジェクトを予定通りに完了するにはこの二つが欠かせません。

記事: ガントチャートとは?WBSとの違いなどの基本情報を解説

ステップ 6: アクションプランのモニタリングと見直し

さまざまな変更を把握して、それらに対応できることは、優れたプロジェクトマネージャーの重要な資質です。プロジェクトマネージャーは、チームの進捗状況をモニタリングし、状況に応じて計画を見直さなくてはなりません。

記事: アフターアクションレビュー (AAR) とは?

アクションプランのよい点は、柔軟性があることです。変更の可能性がある優先順位や期日を管理するには、ワークマネジメントソフトウェアなどの動的なツールを使用しましょう。To-Do や依存関係をリアルタイムで更新でき、チームと常に情報を共有しながら、アクションプランを進めていけます。

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アクションプランの例

前述のとおり、アクションプランは、目標に対してどのような行動を取るのかをリストアップして作成します。アクションプランの例として、営業部署におけるアクションプランの作成を挙げてみます。

目標は売上増加で、達成のための KPI は新規顧客数などが考えられます。新規顧客数を増やすためのアクションとして、訪問営業やテレアポなどを組み込みます。この営業活動について具体的な期間を定めた上で、期間内に何件行うかを明確に設定したものがアクションプランです。作成の際には、スケジュールが現実的なものとなるように、活用できるリソースの確認を行っておく必要があります。

アクションプランをうまく運用するコツ 8 選

アクションプラン運用のコツ

アクションプランの作成方法を説明してきましたが、それをうまく実行に移すには、適切なツールを正しく活用することが必要です。ここでは、アクションプランを効果的に実行するためにおすすめのコツを 8 つご紹介します。

  1. タスク管理ソフトウェアを使う

  2. テンプレートを使用 / 作成する

  3. 進捗を把握する

  4. リスクを想定する

  5. PDCA を回転する

1. タスク管理ソフトウェアを使う

すべてのタスクとタイムラインを、信頼できる唯一の情報源に集めることで、アクションプランを合理化できます。Asana のようなタスク管理ソフトウェアは、保留中のタスクの追跡、タスクの責任者の明示、依存関係の割り当てといったことができ、リアルタイムでも非同期でもチームがコミュニケーションをとれるため、アクションプランの運用に最適です。

2. テンプレートを使用 / 作成する

アクションプランのテンプレートを作成し、あるいは既存のものを使用して、すべてのアクションアイテムを、メモやステータス、優先度、責任者と合わせてリストにしましょう。プロジェクトタイプに合ったテンプレートを作成すれば、何度でも繰り返し使用できます。

アクションプランは、Asana のようなタスク管理ソフトウェアを活用して時短で作成しましょう。信頼できる情報源を中心としてチームとコミュニケーションをとり、認識を揃えながら、必要に応じてアクションプランを見直す柔軟性を持つことが大切です。

アクションプラン用テンプレートを作成する

3. 進捗を把握する

アクションプランに従ってタスクをこなすことで目標を達成できるようになっているものの、実際に行動しなければ未達に終わってしまいます。進捗状況を把握することに努め、遅れがあれば行動を促さなければいけません。

ひとつのアクションアイテムが完了したら、チェックマークを入れ、次のアクションアイテムの担当者がすぐに作業に取り掛かれるようにします。この完了マークはチーム全員に対して、リアルタイムで表示されることが大切です。

進捗管理には、社員がどのように行動したのかが分かる「行動記録」が役立ちます。行動記録を確認することで、進捗がどのくらいで進んでいるかを詳細に把握することが可能です。行動しても想定していた結果にならなかった場合でも、どこに原因があったのかを分析する材料が得られるため、次回以降の行動に生かせます。

4. リスクを想定する

アクションプランを作成する際には、起こり得るリスクを想定しておくことが重要です。リスクを想定していれば、事前に対応策を準備できたり、代替案の用意ができたりします。

例えば、上層部の同意を得るのが困難な場合は、データに裏付けられた数字でメリットや取り組む意義を示した提案書を作成することが可能です。競合が多く存在することが分かっていれば、競合の強みと弱みを分析し、自社の入る余地があるかどうかを事前に調査できます。予算などのリソースが不足しそうな場合は、代替案を考えたり、稟議を通す準備をしたりと、想定できるリスクを事前に洗い出すことでタスクの滞りを防げます。

記事: プロジェクト管理で生じるボトルネックの概要と特定する方法 3 選

5. PDCA を回転する

アクションプランを実行していくうちに、想定外のことが起こったり、進捗が思ったほど進まなかったりすることが考えられます。このような場合にはアクションプランの見直しが必要となり、実情に合わせたものへと修正します。

組織の方針転換などの場合は、目標自体を変更する対応が求められるでしょう。また、アクションプラン自体の PDCA も意識する必要があり、うまくこなせていないタスクについて原因を分析し、より実行しやすく効果の出るタスクへと改善していきます。

記事: Plan (計画) - Do (実行) - Check (評価) - Act (改善) (PDCA) サイクルとは?

アクションプランを活用して目標達成を目指しましょう

アクションプラン (action plan) とは何か、そのメリットや作成方法について解説しました。アクションプランをうまく運用するコツもご紹介したので、目標達成への参考にしてみてください。

アクションプランは目標達成に欠かせないものであり、タスクをこなしていくことで効率的に目標へ近づいていきます。アクションプランにおいて全体像とタスクが具体的に示されているため、進捗管理が容易に行えるでしょう。目標は細分化されているため、進捗状況によって軌道修正を行いやすくなっています。

ベンジャミン・フランクリンの「計画を立てないということは、失敗する計画を立てることだ」という名言を思い出し、きちんと整理されたアクションプランを作成しましょう。

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