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問題が起きたときにどう対応するかは、マネージャーとして最も重要な資質です。幸いなことに、問題解決を成功させる方法はいくつかあります。チームワークと基本的な統計学を組み合わせた「8D 問題解決手法」は、論理的な解決策を導き出し、新たな問題の発生を未然に防ぐのに役立ちます。
自社の最新プロジェクトの開発監督に数か月を費やしたとします。あなたは、プロジェクトの立ち上げから計画、実行に至るまで、これまでで最高の出来栄えだと確信していました。
しかし、ある日突然、否定的な意見が寄せられてきたのです。
物事が計画通りに進まないことはよくあることです。しかし、生産性やプロセス上の問題は、あきらめる理由にはなりません。むしろ、問題解決能力を高め、再発を防止する解決策を見出すことに注力しましょう。
8D 問題解決手法は、チームワークの重要性を強調し、プロセスの問題を解決するだけでなく、新たな問題の発生を防止します。このガイドでは、8D とは何か、この手法の使い方、そしてチームにとってどのようなメリットがあるのかをご紹介します。また、問題を簡単に解決するための 8D テンプレートも用意されています。
Asana でチームのコラボレーションを向上8D 手法の D は Disciplines (規律) の頭文字で、繰り返し起こる問題を特定し、修正し、排除する問題解決手法です。問題の根本的な原因を特定することで、マネージャーはこの方法を用いて恒久的な是正措置を確立し、問題の再発を防止できます。
この手法は、フォード社が考案したもので、問題発見から解決まで一貫して行えるため、組織的な改善に最適な手法です。この手法は、さまざまな分野で製品やプロセスの改善に役立てられています。
8D 手法は、繰り返し発生する問題による長期的な損害を回避する手段として、実績のある手法です。もし、ワークフローやプロセスに問題があると感じたら、この問題解決方法を試してみてはいかがでしょうか。
8D 分析を行うには、次に紹介する「8 つの規律」に従って問題の統計的分析を行い、最適な解決策を決定します。
8D は、8D レポートを確立するために使用する 8 つの規律 (8 Disciplines) の頭文字をとったものです。この枠組みはゼロから始まるので、実際には合計 9 つの規律となります。この「ゼロの段階」は、最初の計画段階として後に開発されたものです。
これらのステップを説明するための例として、組織が過去 1 年間、チームのイノベーションと生産性の低下を経験したとします。関係者はそのことに気づき、今後 6 か月以内に改善を行うことを希望しています。ここでは、8D プロセスを用いて、士気を高める解決策を特定します。
問題解決のプロセスを開始する前に、解決すべき問題を評価しましょう。問題の背景を理解することは、後のステップで根本原因を特定する上で役に立ちます。
問題がプロセスや製品にどのような影響を与えたか、また、最も深刻な結果は何か、といった情報を収集します。計画には次のようなことが含まれます。
データを収集する
問題解決に必要な前提条件を決定する
関係者からフィードバックを収集する
今回の例を見てみると、士気の低下が組織全体に及ぶものなのか、それとも一部の部署にしか当てはまらないのかを把握する必要があります。さまざまな部署や役職の従業員数名にインタビューを行い、その結果を踏まえて検討しましょう。次に、生産性の低下を解決するために、どのような知識やスキルが必要かを判断します。
さまざまな製品や関連するワークフローに関する知識を持つ人材を集めて、部門横断チームを作りましょう。これらのチームメンバーは、問題を解決し、是正措置を講じるために必要なスキルを持っている必要があります。
この規律におけるステップには、以下のものが含まれます。
チームリーダーを任命する
チームガイドラインを作成して導入する
チームの目標や優先事項を決定する
個人の役割を割り当てる
チームビルディングのアクティビティを企画する
この例で言えば、各部門の代表者や現場の仕事に近いキーパーソンなど、問題を直接経験した人たちでしっかりとしたチームを構成するべきです。また、解決策を考案し、実行するために、人事部の担当者を加えるのもよいでしょう。その解決策に関わりたい、貢献したいと望んでいる人を選ぶことが最も重要です。
記事: 優れたリーダーになるために磨きたい 17 の資質そろそろ、問題点をよく理解できたのではないでしょうか。このフェーズでは、5 つの W と 2 つの H (5W2H) を特定することで、問題を明確かつ定量的な言葉に分解することを目指します。
誰 (Who) が最初に問題を報告したのか?
何 (What) が問題なのか?
いつ (When)、どれくらいの頻度で起きたか?
関係する部門、サプライヤー、機械、生産ラインのどこ (Where) で発生したか?
なぜ (Why) その問題を解決することが大切なのか?
どのようにして (How) その問題が最初に発見されたのか?
いくつ (How many) の部品、ユニット、顧客が影響を受けたか?
チームのインサイトを活かして、これらの質問に答えましょう。今回の例では、以下のような結論に至る可能性があります。
従業員は、現在の仕事量が多すぎると感じている。
新しいアイデアを共有するための仕組みや機会がない。
マネージャーたちは、ミーティングやイノベーションのためのトレーニングを受けたことがない。
不満を抱えている従業員たちは、自分たちがもっと成果を上げられることを知っており、意欲を失っているように見えても、もっと成果を上げたいと考えている。
こうした質問に答えたら、問題を説明する公式のプロブレムステートメントを記録してください。可能であれば、写真、動画、図表を含めて、すべての関係者が問題を明確に把握できるようにします。また、問題の説明に関連するさまざまなステップを含むプロセスのフローチャートを作成するのも効果的でしょう。
記事: プロブレムフレーミングを使ってチームの非効率性を解消する方法事故後に迅速な応急処置が求められるように、顧客の安全に関わる問題の場合は特に、問題を確実に解決するために、チームは即座に行動を起こす必要があります。
暫定対策は、恒久的な是正措置の策定に取り組む間、顧客やサプライヤーに影響が及ばないようにするための一時的な解決策となります。この応急処置により、顧客に情報を提供し、安全を確保でき、評判が傷つくことも防げます。
D2 の結論によると、従業員は働きすぎで、マネージャーはトレーニング不足であることが判明したため、チームは、各部門のリーダーを対象に、時間管理 (タイムマネジメント)、ストレス管理、燃え尽き症候群対策などの必須トレーニングセッションを数回開催することを提案しました。同時に、このトレーニングのトピックをまとめたプレゼンテーションを行い、主要なマネージャーや関係者の関心を集め、今後の変化に対する前向きな姿勢を促すのもよいでしょう。
結果を参照し、問題がどのように発生したかについてチームと話し合ってください。根本原因分析では、プロブレムステートメントとそれに関連するテストデータに対して、考えられる根本原因をマッピングします。あいまいなブレーンストーミングやざっくりとした分析では、重要な情報を見落としてしまう可能性があります。
この例を用いて、5W2H の「なぜ (Why)」の部分に着目してみましょう。そこから見えてくる根本原因の例として、以下の 6 つが挙げられます。
マネージャーが一度も研修やトレーニングを受けたことがない
信頼感や心理的安全性が欠けている
従業員が目的、目標を理解していない
コミュニケーションがうまくとれていない
時間管理ができていない
従業員に自信がない
根本的な原因を特定するだけでなく、プロセスのどこで最初に問題を発見したのか、なぜ気づかなかったのか、などを突き止めてみてください。これは流出原因と呼ばれ、複数存在する可能性があります。
問題の根本原因を取り除き、流出原因の課題に対処するために、一番適切な解決策をチームと協力して決定しましょう。選択した恒久的是正措置 (PCA) が、顧客の問題を解決することを定量的に確認します。
PCA を選ぶ手順としては、以下のようなものが考えられます。
その他の専門知識を必要とするか判断する
5W2H が正しく定義されていることを確認する
意思決定分析とリスク分析を実施する
別の手段を検討する
PCA が効果的であることを証明する証拠を収集する
この例では、暫定対策で使用したトレーニングを全従業員に展開し、幸福度 (ウェルビーイング) 向上に関するワークショップを会社全体で毎月開催することにしました。さらに、ミーティング、イノベーションセッション、マネージャー向けのチームコーチングトレーニングも実施する予定です。最後に、コミュニケーションとコラボレーションを向上させるために、ソフトウェアの導入を提案します。
すべての関係者が解決策に合意したら、次のステップは、根本原因と流出原因を取り除くためのアクションプランを作成することです。解決策が実施されたら、暫定対策を取り除けます。
この例では、暫定対策段階でのトレーニングの成果を確認した後、関係者はチームが提案したすべての PCA を承認します。また、人事部の担当者は、従業員の士気を高めるために、定期的なウェルネスチェックを実施することを計画しています。
是正措置が成功したことを確認するために、長期にわたって結果、顧客、または従業員のフィードバックをモニタリングし、悪影響がないかを確認します。たとえば従業員のウェルネスチェックのような定点調査を行うことで、解決策がうまくいっているのか、もっとやるべきことがあるのかを検証できます。
8D 手法を使用することで、今後問題が発生することを防ぐために必要な体系的な変更を突き止める能力が向上します。現在の問題を解決するだけでなく、将来、似たような問題が発生するのを防ぐために、管理システム、作業方法、手順を改善する方法を探しましょう。
この例では、チームが提案したトレーニングが、新しく採用されたマネージャーのオンボーディングカリキュラムに採用されました。マネージャー全員が、「ミーティングシステム」を使い、それに従ってミーティングを進めることに。また、新しいコラボレーションソフトウェアを導入し、チームの仕事量やプロジェクトを管理できるようになりました。これでイノベーションを継続的に行い、チームの士気を維持できるようになりました。
8D 手法による問題解決は、チームメンバーの協力とトップクラスのコラボレーションなくしては成り立ちません。メモ、教訓、調査、テストデータを記録し保存したら、チームメイトによくやったと声をかけてください。解決策を見出すためにそれぞれが努力したことを評価しましょう。
8D レポートのテンプレートは、問題解決に導く 8 つの規律を通じて発見したことを記録するのに役立ちます。これは、企業内のコミュニケーション手段として使える正式な報告書であり、生産あるいはプロセスチェーン全体に適用できる透明性の高い問題解決を可能にするものです。
8D 無料テンプレートこの手法が人気のある問題解決手法であることには、それなりの理由があります。その強みは、チームワークと事実に基づいた分析にあり、継続的改善の文化を作ることで、品質管理者にとって最も効果的なツールとなっています。8D 手法を使用するメリットは以下のとおりです。
個人で解決するのではなく、チームで解決するスキルが身につく
問題解決の手順に対する理解度が高まる
問題解決に役立つ基本的な統計ツールの使用方法に関する理解が深まる
問題解決に関する話し合いにおいて、オープンで正直なコミュニケーションができるようになる
システムの弱点と解決策を特定することで、将来の問題発生を予防できるようになる
問題解決における効果と効率を向上させられる
どんなに優秀なマネージャーであっても、生産とプロセスの問題は避けられないものです。しかし、それをどのように解決するかが、優秀なマネージャーとそうでないマネージャーを隔てるのです。問題解決に役立つ 8D メソッドを使えば、目の前の問題を解決するだけでなく、チームのコラボレーションやプロセスを改善し、将来の問題の発生を未然に防げます。
Asana のプロジェクト管理ツールを使えば、コミュニケーションの障壁をなくし、チームが順調に仕事を進められるようになります。
Asana でチームのコラボレーションを向上