適応力とは何か?高める方法やメリット、順応力との違いなどを解説

寄稿者 Alicia Raeburn の顔写真Alicia Raeburn
2024年6月27日
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概要

職場での適応力は、さまざまな状況に対して効果的に対応する際に役立ちます。この記事では、適応力の種類や適応力を磨くメリット、適応力を向上させる 6 つの方法をご紹介します。

更新: この記事は、適応力と順応力の違いと、適応力が高い人の特徴に関する記述を含めて、2024年 6月に改訂されました。

職場は変化と動きに満ちた場所です。今日成功したキャンペーンが、翌日に失速することもあれば、頼りにしている同僚が突然休暇を取ることもあります。

ここ数年間、コロナ禍における業務で浮き沈みを経験してきた多くの社会人が、このような変化を目の当たりにしてきました。こういったパンデミックによる変化は大きなものですが、たとえ新しいソフトウェアの導入やデスクの置き換えなどの小さな変化であっても、あなたやチームに混乱をもたらす可能性があります。

制御できない変化が起きることもありますが、変化にどのように対応するのかは、自分で決められます。多くのソフトスキルと同じように「適応力」は身につけることができるのです。ビジネスシーンでの適応力を向上させることで、避けられない変化に柔軟に対処し、さらに変化を糧にして成長できるようになります。

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職場での適応力とは?

職場での適応力とは、職場で発生する各種のシナリオやトラブルに効果的に対処するスキルを指します。単純に「臨機応変に対応する力」と定義してしまうと、本来の意味を捉えきれません。適応力のある人物は、さまざまな問題が発生した際にその場で迅速に、効率よく対処することを意図したスキルセットやプロセス、フレームワークを身に着けています。

職場における適応力を向上させると、新たな環境や新しい役割、新しいプロジェクト、新しいクライアントへの対処時にプラスに働きます。このスキルセットを高めることで、今後いかなる変化に遭遇しても対応できるようになるのです。

適応力と順応力の違いは?

現場や環境の変化に対応する力という意味で、適応力と順応力は似ています。両者の違いは、対応するときの姿勢です。順応力は変化にこちらから合わせていく、つまり受動的な意味合いがあるのに対し、適応力は能動的に変化に対応していく姿勢を指します。

適応力 3 つの種類

適応力とは何か、その由来は何かを理解すると、このスキルセットの向上に役立ちます。Center for Creative Leadership は適応力を以下の 3 つのカテゴリーに分類しています。

認識適応力

認識適応力を養うと、さまざまな潜在的なシナリオを考慮し、いろいろな結果を見越して計画を立てられるようになります。認識適応力は適切な判断を保証するものではありませんが、意思決定プロセス中に考えをまとめる上で有効に働きます。

感情適応力

ありきたりのように思えますが、チームメンバーによって仕事への取り組み方や考え方は十人十色であり、「生き方」も異なります。感情適応力は、この事実を受け止め、認識する上で有効です。このスキルを持っていれば、自分とは異なる個性を持つ人物を含め、さまざまなタイプの個性の人物と通じ合えるようになります。

記事: 心の知能を今日から優先するべき理由

性格的適応力

臨機応変な性格の人物は、ある状況に対して現状と今後の可能性の双方を見て、困難に直面したときは、全体像を捉えられます。また欠点を認めながら、機会を探ることもできます。性格的適応力は、現実主義と楽観主義の双方を持ち合わせており、いかなる状況への対処にも好影響をもたらします。

職場での適応力を磨く 5 つのメリット

人生にはいろいろな不確定要素が存在します。変化もそのうちの 1 つです。

適応力を発揮するというのは、どんなことが起きても対処できることを示すことです。適応力はソフトスキルの一種であり、就活・転職サイトのプロフィールに載せられる類のスキルではありませんが、昇進やリーダーとして養成することを考慮する際に、上司はこのスキルに注目するでしょう。

以下に、適応力を向上させることで得られるメリットを挙げます。

レジリエンスが身につく

自分自身に成長を求める取り組みは問題解決力を高めるだけでなく、脳に変化をもたらす効果があります。適応力を高める方法として 1 つ挙げられるのが、さまざまな問題に立ち向かい、それぞれの問題に独自の解決策を考える練習をすることです。次々に問題に立ち向かい、問題を糧に再び前進するにつれ、どんな大きな問題にも対処できることを脳に学習させられます。

一目置かれる存在になる

適応力のある人物は目立ちます。適応力があると、プレッシャーに晒されてストレスを感じたり、圧倒されたりするのではなく、新しいアプローチやソリューションを試して、目下の問題解決を目指すことができます。ブレインストーミングのテクニックを用いて、創造力を発揮し、クリエイティブな解決策を考案しましょう。こうすることで、自信がさらにつくだけでなく、自分自身を信頼して難しい判断や下せるようになったり、困難な決断を行う際に頼れる存在であることを証明できるようになります。

適応力があると調子がよい

職場での変化はストレスをもたらす可能性があります。しかし、適応力が高まると、より楽に解決策を探せるようになります。プラス思考が定着し、今まではストレスを感じていたような状況でも胸を躍らせたり、変化への対応を楽しめるようになるかもしれません。

リーダーシップスキルを得られる

適応力があると、困難な状況下においてチームを導くことができ、また、クリティカルシンキングスキルを養えます。各チームメンバーの違いを受け入れて認識し、より効果的にコミュニケーションを取れるようになります。このすべてはリーダーの素質として必要とされるものです。

生産性を高める

プロジェクトの現状について悩む時間を減らすと、プロジェクトを前進させる方法を考え、行動を起こす時間が増えます。やるべきことにより多くの時間とエネルギーを注ぎ込めるため、チームの効率アップ生産性の向上も実現できます。

記事: ハードスキルとソフトスキルの違い: Asana チームメンバー 14 名の例

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適応力が高い人の特徴

適応力に優れた人の特徴には、以下のポイントが挙げられます。

  • コミュニケーション能力が高い: 環境の変化の代表的な例が、職場の人間関係の変化ではないでしょうか。コミュニケーションを積極的に取れる人材は、そのような状況でもすぐにその環境に馴染み、人からのサポートも受けやすくなります。

  • 前向きな考え方を持っている: イレギュラーな変化が発生したときも、ネガティブ思考に陥らず、諦めません。ポジティブな姿勢は直接パフォーマンスの向上につながることも多いです。

  • 好奇心が旺盛である: 好奇心が旺盛でチャレンジ精神があれば、変化の前でもそれをチャンスととらえ、新しいものごとに挑戦する姿勢を取れます。

  • 視野が広く、冷静である: 変化を前にしても冷静に、状況を俯瞰的に捉えることができ、論理的に解決策を探せます。キャリアアップしてマネージャー職に就いても、こういった姿勢は大きな強みとなるでしょう。

適応力を高める方法

生まれつき変化に適応できる人もいますが、適応力がもともと備わっていなくても、このスキルを高めることは可能です。以下の 6 つのヒントをチェックして、練習と実践を通して、適応力を身につけ、磨き、向上させましょう。

1. 問題解決スキルを向上する

問題解決スキルを持っていると、特定の問題が発生した際に解決する上で役立ちます。問題解決スキルという言葉は具体性に欠けるように聞こえるかもしれませんが、実は 4 つのシンプルなステップで構成される明確なプロセスがあります。

  • 解決する必要がある問題を特定する。

  • ブレインストーミングを行い、複数の解決策を導き出す。

  • 解決策を決定する。

  • 解決策を実施する。

上記のプロセスのようなフレームワークを利用すると、問題を特定しやすくなり、その結果、戦略的にソリューションを導き出せるようになります。また、このような問題解決スキルを活用する度に、たとえ異なる問題であっても、次の問題を解決しやすくなります。そのため、時間の経過とともに適応力が身につき、どんな問題が生じても解決できるようになるのです。

問題解決スキルを向上し、適応力をつける具体例

上司から、現在実施している作業を一旦停止し、新しい取り組みを優先させるよう求められました。しかし、あなたは締め切りを延長できないプロジェクトを抱えています。この問題を解決するため、上司に連絡を取り、状況を説明する必要があります。あなたと上司は、解決策の候補として、現在実行中の取り組みの一つを別のチームメンバーに委任するアプローチを考案しました。このケースでは、複数のシチュエーションを見極める際の適応力が、最善の解決策を導き出したと言えます。

2. 変化を受け入れる努力をする

ありきたりのアドバイスですが、念のためにもう一度伝えておきます。常に変化と向き合いましょう。ギリシャの哲学者、ヘラクレイトスの言葉を借りれば「人生で唯一変わらないもの、それが変化」なのですから。回避することや否定することはできても、生きている限り変化がなくなることはありません。

変化を受け入れる、さらには変化を求める姿勢は、適応力の高いリーダーとして成長する上で助けになります。より多くのリスクを取り、その結果がどんなものであれ、受け入れることで、あらゆる状況を迎え入れる努力をしましょう。ただし、特に難しい変化に直面した場合は自分自身を労り、必要なときはサポートを求めるべきです。変化を受け入れる取り組みに臨む際は、何よりも自分を大切にするべきです。変化は一筋縄ではいかないものです。

変化を受け入れる努力をして適応力をつける具体例

チームの再構築が行われました。チームメンバーと担当業務が変わるのはこれで 3 回目であり、再び新しいスキルを学び、生活を順応させなければなりません。

フラストレーションを溜めるのではなく、この変化の良い面を受け入れる努力をします。リーダーシップの役割に近づいたかもしれませんし、あるいは、新しいチームでネットワークを拡大するよい機会かもしれません。規模に関わらず変化を受け入れることで、適応力を積極的に高められ、問題が新たに生じても対応できるようになります。

3. 先入観を持たない

物事の成り行きについて、誰もが何らかの固定概念を持っています。これは普通のことです。このタイプの考え方は、脳が情報をより効率的に処理できる、言うなれば近道なのです。このような先入観はときにプラスに働くこともありますが、新しい機会を頑なに拒否してしまう弊害もあります。これは、自分の考えに囚われているため、別の可能性を受け入れられないからです。適応力を身につけるには、前向きに方向転換する気持ちが大切です。

新しいシチュエーションに遭遇した際は、より柔軟に考える努力をしましょう。以下のヒントは、柔軟な考え方を身につける上で効果的です。

  • 状況を俯瞰し、表面ばかりを見るのではなく、その裏にある理由を問う。

  • 新しい物事を学ぶ際はアクティブリスニングを実践する。

  • すべての情報が出揃うまでは判断を控える。これには、あなた自身やあなたの能力に対するリミッティングビリーフも含まれます。

現状をあらゆる角度から考察し、さまざまな可能性をすべて検討する。

記事: 理解するための聴き方: アクティブリスニングの実践方法 (実例付)

先入観を持たないことで適応力をつける具体例

あなたはコンテンツ作成を担当しており、コンテンツの説得力を高めるための画像の提供をデザインチームに頼っています。数か月後、いつも対応してくれるデザイナーのレスポンスが遅くなり、締め切りに間に合わない状況が増え始めました。あなたは徐々に怒りを感じるようになります。仕事がいきなり発生することもあり、自分の仕事に加え、デザインチームの仕事まで肩代わりしなければならないと考えるようになったためです。

しかし、あなたは怒りの感情と思い込みに囚われるのではなく、デザイナーと話し合いの場を持ち、彼らの見解を理解しようと努めました。すると、デザインチームのあるメンバーが突然チームを去り、残りのメンバーの仕事量が増えたことで、当該のデザイナーにかかるプレッシャーが徐々に増えていたことを知ります。先入観を持たずにデザイナーと話し合った結果、状況を理解し、解決策を導き出すことに成功しました。

文字にするととても簡単に思えますが、柔軟な考え方を持たずに対処しようとすると、生産的な話し合いを行うのは至難の業です。

記事: あなたが活用していない最善の対立解決戦略

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4. エゴを持ち込まない

エゴは自我です。より哲学的な観点で説明すると、エゴは本質的に悪くも良くもなく、意識そのものなのです。もともとエゴは自分を中心に捉えているため、コミュニケーションの道具として必ずしも役に立つわけではありません。あなた自身の殻から抜け出す、つまりエゴを排除することで、別の見解をより明確に見れるようになり、変化を受け入れやすくなります。要するに、エゴを職場に持ち込まないスタイルが、適応力の総合的な向上につながるのです。

その最善の方法をご紹介します。まず、普段ならフラストレーションが溜まるであろう状況を想像します。続いて、大きく深呼吸してください。その後、「自分の考えを手放すことができるか?」さらに一歩踏み込み、「どんな結果であれ、結果を受け入れることができるか?」と自分自身に問いかけましょう。もし、さまざまな結果を受け入れ、それどころか前向きに捉えられるなら、不可能なことは何もないことを示す重要な前例となります。それはつまり、変化に適応し、前に進めるということです。

エゴを持ち込まない姿勢で適応力をつける具体例

先日、チームでブレインストーミング会議を行い、アイデアを出し合いましたが、あなたのアイデアは採用されませんでした。落胆するのが普通ですが、引きずらずに諦めることもできます。エゴを捨て、チームが選んだアイデアを受け入れて、チームとともに前進すべきです。そうすることで、他のメンバーは安心して創造力を発揮し、さらにユニークなアイデアを出せるようになります。また、あなた自身も、一つの問題に対してさまざまな解決策が存在することを学び、どの解決策が採用されるにせよ、適応できるようになるのです。

5. マインドフルネスを実践する

マインドフルネスとは、「今」に集中する行為を指します。マインドフルネスでは、現状を変えようとする試みはご法度です。解決策やアイデアを掲げて問題にいきなり挑むのではなく、落ち着いて何が起きているのかを冷静に考察します。すると、柔軟性が高まり、その瞬間を楽しめるようになり、変化を受け入れやすくなります。

Asana はマインドフルネスを重視しており、企業の価値観の一つに挙げています。マインドフルネスを日常的に行うには、次の 2 つのステップに従って感情を認識し、感情を手放す必要があります。

  • 過去と未来よりも現在に比重を置きます。何かが起きた後にそれを変えることはできませんが、受け入れることは可能です。何ができたのか、何をすべきだったのかを考えても意味はなく、最悪の場合、状況を悪化させる可能性すらあります。

  • 「今」起きていることに集中します。現状をそのまま受け入れるべきです。こうすることで、自分にはどうにもならないことを諦め、自分の力で変えられることに注意を向けられるようになります。

マインドフルネスを実践して適応力をつける具体例

IT チームがあなたのノートパソコンに新しいソフトウェアをインストールしたところ、意図せず既存のファイルがすべて削除されてしまいました。その中には、今日が締め切りのプロジェクトに関係するファイルも含まれていました。そんなときはパニックを起こすのではなく、事実を確認し、状況を客観的に評価しましょう。「何ができるか」を考えるのです。

意識して「今」に注目することで、問題解決のプロセスを開始できます。たとえば、上司に問題を報告したり、IT チームにクラウドのバックアップの有無を確認したり、チームメンバーに連絡を取って、保存したファイルがあるかどうかを確かめたりすることができます。

状況は何も変わらず、今までの努力は返ってきません。しかし、時間とエネルギーを嘆くことに使うのではなく、できるだけ早く、できるだけ効率よく問題を解決するために行動を起こせるはずです。

記事: 集中する方法: 集中しにくい環境で物事を成し遂げるためのコツ

6. コンフォートゾーンから抜け出す

多くの人はコンフォートゾーンに留まることを望みます。それが自然です。人間の脳は、快適な体験を好み、そのような体験を求めます。しかし、楽なことばかりをしていると、避けられない変化が実際に起きた際に後手を踏んでしまいます。

微調整をしてコンフォートゾーンを広げる努力を始めましょう。結果をコントロールできることを条件として、新しく、難しい状況に身を置いてみましょう。必ずしもスカイダイビングのような大きなチャレンジに挑戦する必要はありません。仕事場へのルートを変えてみるなどのシンプルな行動が、創造性と柔軟性を高めてくれるかもしれません。

コンフォートゾーンから抜け出して適応力をつける具体例

新しいプロジェクトにおいて、チームが実現できる可能性があるアイデアをあなたは持っています。しかし、この会社では、あなたやチームの同僚ではなく、通常は上司がアイデアを出します。今こそ、上司がアイデアを出すのを待つのではなく、コンフォートゾーンを抜け出すチャンスと捉えるべきです。

アイデアを上司に売りこみましょう。採用されるかどうかは関係ありません。楽な領域から踏み出すことが大切なのであり、結果は度外視しましょう。このプロセスこそが、成長の糧になるのです。


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まとめ: 適応力が仕事に好影響をもたらす

職場での適応力を高める取り組みは、キャリア全体を通して継続的に行われるものです。職場での適応力を身につけるには、時間と集中力が不可欠です。単純に新しいスキルを学ぶ講座に通ったり、MBA の取得を目指したりするようなアプローチでは、適応力は向上しません。

それでも構いません。結果よりも、プロセスが重要なのです。適応力のようなソフトスキルを身につける取り組みは、正式な認定証を得られることもなければ、ハードスキルのように測定できるわけでもありません。しかし、リーダーとしても、チームメンバーとしても、適応力はハードスキルに負けないくらい今後のキャリアアップに貢献してくれます。

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