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集中力は、意思の力だけでコントロールできるものではありません。邪魔を減らし、自分の時間の主導権を握り、燃え尽き症候群から身を守りながら仕事へ取り組んではじめて、集中力は高まります。この記事では、ビジネスシーンにおいて集中力を阻害する要因とその対処法、そして科学的根拠に基づいた集中する方法とそのコツをご紹介します。
更新: この記事は、集中力を高めるため手法「バッチング」に関する記述を含めて 2022年 12月に改訂されました。
たとえば、達成しなければならない難しいタスクがあるのに、集中できないこともあるでしょう。こういうときは、無理に集中しようとしても、作業は長引くだけで、必要以上に時間がかかっているように感じてしまいます。このような状況に心当たりはありませんか?それもそのはず、これは万国共通の悩みなのです。
そこでこの記事では、集中力を高めるにはどうすればいいかを解説します。集中力を妨げる一般的な習慣と、科学的に裏付けられた解決策を参考に、集中力アップを目指しましょう。
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Asana で仕事の生産性を向上させる方法実際のところ、集中できるかどうかは「やろう」と思えばできるような単純なことではありません。無意識のうちにスマホに気を取られたり、どのタスクが最も重要なのかが明確でなかったりと、集中力に影響を与える要因はたくさんあります。
働き方改革が進み、自宅からリモートで働く人も増えた昨今、テレビもその要因のひとつになるでしょう。良い刺激が多いとされるコワーキングスペースから働く人でも、利用者間の交流自体が集中を妨げる原因になっているかもしれません。
集中力が途切れ途切れのまま作業をしていては、仕事の生産性は上がらず、その結果パフォーマンスも低下してしまうでしょう。
つながりの明確化: リモートマネージャー向けワークマネジメントガイド
集中とは、一つの物事に没頭し、外から受ける刺激を無視してしまう精神状態のことです。この状態に入るには、他の多くのことを無視しなければなりません。そして集中力とは、集中できる力のことを言います。
集中力は、ビジネスシーンにおいてももちろん重要です。困難な仕事に取り組み、創造的に考え、効率的に仕事をするために集中力は不可欠なのです。集中力があれば、物事をよりよく、より早く終わらせることができ、燃え尽き症候群を防ぐことも可能です。こういった集中力のメリットを得られることで、達成感をもって一日を終えることができます。
そもそも、なぜ集中力は切れるのか?集中力が持続しない要因として、人間の脳の構造やメカニズムとの関連性が挙げられます。というのも、人間の脳は “集中しにくい造り” になっているのです。
集中力が持続しないことを悩む前に、本来人間の脳は勉強や仕事などに対して、“集中しにくい造り” である点を知っておくべきです。
脳の中で、「本能」「自律神経」「記憶」などの感覚的思考をつかさどる「大脳辺縁系」は、人間の生存本能に結び付いています。そのため、まわりで何かしらの異常が生じれば、即座に察知して自身を守れるよう、各所に注意を向けられるのです。一方でそのメカニズム自体が、集中力が持続しない要因になる場合もあります。
近年の情報化社会により、現代人はテレビやスマホ、その他のさまざまな媒体から、常に多くの情報を受け取ります。このような状況において、まわりに注意を向けずに一点集中する姿勢は難しいでしょう。
現代の職場では、集中力が途切れがちです。ここでは、集中できない人にありがちな 4 つの理由と、その解決方法をご紹介します。
人間の脳は、生物学的、神経学的にも、ひとつのことに集中できるように構造されており、マルチタスクをこなせません。例え、マルチタスクをこなしているように見えても、実際は脳が、瞬時にタスクを切り替えているだけなのです。つまり、人間の本質は、ごく短い時間しか集中できず、マルチタスクが苦手であるとわかります。
一見、マルチタスクは効率がよさそうですが、一日中タスクを切り替えながら、仕事をこなしている場合、所要時間が 40% 長引き、ミスも 50% 増えると言われています。また、日本におけるビジネスマナーでは、電話やメールに対する素早い対応が求められるので、タスクの切り替えが増えてしまい、かえって集中力が切れ、業務効率が下がるという、負の連鎖につながるのです。
一日中さまざまなタスクをこなすのではなく、特定のプロジェクトに集中するための時間を確保しましょう。集中時間を確保する方法として、タイムボクシングとタイムブロッキングという 2 つの方法があります。タイムボクシングとは、タスクにかかる時間を予測し、そのタスクを完了するために必要な時間を確保する時間管理法です。タイムボックス (時間区切り) 中は、その時間が過ぎるまで他のタスクを無視します。タイムブロッキングの概念も同様ですが、1 つのタスクに時間を割くのではなく、似たようなタスクをまとめて、1 つのタイムブロックですべてを完了させます。たとえば、メールに返信するための時間を確保するといった具合です。
いずれの方法をとるにせよ、フォーカスタイムを確保し集中力を持続させるには、以下のコツを参考にしてください。
カレンダーでタイムブロックを設定する。インスタントメッセージアプリで、「サイレント」「フォーカスブロック中」などのステータスを設定すると、同僚に集中モードに入っていることを知らせることができます。
気が散る原因を取り除く。メールやインスタントメッセージの通知をオフにして、作業に使わないアプリケーションやウィンドウを閉じます。スマートフォンは引き出しの中など目につかない場所に置いて、電話やメールに反応したくならないようにしましょう。
作業が終わったら、休憩をとる。できればパソコンから離れて、ストレッチや散歩など体を動かすことをおすすめします。気持ちをリフレッシュすることがポイントです。
メールやメッセージングツールは仕事に欠かせないものですが、その誤用は職場で混乱を引き起こし、人々をバーンアウト寸前の状態に追いやっています。チームのコミュニケーションをまとめるどころか、情報がさまざまなアプリやグループに散らばってしまうため、サイロ化が生じています。
これらのツールはコミュニケーションに使用するものであり、規模の大小を問わずプロジェクト管理に使うものではありません。プロジェクトをメールやメッセージングツールで管理すると、通知のやり取りが延々と続いたり、情報が散らばってしまうため、集中力が途切れやすくなってしまうのです。
それにも関わらず、ナレッジワーカーの 80% が、受信トレイやその他のコミュニケーションアプリを開いたまま仕事をしていると回答しています。多くの人が、メッセージにすぐに返信しなければならないというプレッシャーを感じていますが、絶え間なく受信トレイを監視していると問題が発生します。作業を行いながら通知をチェックしていると、常にタスクを切り替えることとなり、新しいメッセージが受信トレイに入ってくるたびに仕事の勢いを失ってしまうのです。実際、仕事が中断された後に集中力を取り戻すのに、20 分以上かかることもあります。もし、2 時間の間に 3 回受信トレイをチェックしてしまっては、集中できたはずの時間の半分を失うことになるのです。
このように集中力を削ぐ通知があると、フロー状態やディープワーク (気が散らずに集中でき、難しい仕事をより速く、より効果的に達成できる精神状態) に入れなくなります。
電子書籍をダウンロード: ワークマネジメントとは?チームがワークマネジメントを必要とする理由2016年に MIT が行った研究によると、メールをまとめてチェックする人は、通知に頼ってメッセージに返信する人に比べて生産性が高いと報告されています。一日のうちに、メールやメッセージをチェックする時間を決め、まとめて処理することで To-Do リストの重要タスクを完了していく際に邪魔が入るのを避けられます。
メッセージやメールを処理する時間を確保する。できれば、午前と午後に 1 回ずつ、30 分のタイムブロックで始めてみてください。適切な頻度は仕事の内容によって変わります。たとえば、アカウントマネジャーの場合、顧客と緊密に連絡をとるために、もう少し頻繁にメッセージをチェックする必要があるでしょう。
通知をオフにする。どんなコミュニケーションアプリを使っていても、通知を一時停止するか、「サイレント」モードをオンにしておけば、アイコンやバナーが画面上に表示されることはないので集中力も続くでしょう。絶対に集中力を保ちたいときは、メールやメッセージのアプリを完全に閉じてしまいましょう。
都合のいい時間帯をチームに知らせる。好みの連絡方法をチームと共有し、通常メッセージに返信できる時間帯を知らせておきましょう。あなたがマネージャーである場合は、直属の部下にも同じことをするようにすすめてください。チームが Slack などのインスタントメッセージングアプリを使っている場合は、集中しているときやチャットができるときを示すステータスを設定しましょう。
認知神経科学者の Sahar Yousef 博士によると、対面での会議よりもビデオ通話の方が、集中するのにかなりの脳の力を使うそうです。実際、2020年に Microsoft が行った調査では、オンライン会議では 30 分でビデオ疲れが発生し、それを超えると集中力が低下することがわかっています。逆に、対面で話しているときは、通常 45 分から 60 分は集中力を保つことができます。
30 分以内など、会議の時間を短くし効率的に行うことが、ビデオ疲れを軽減する最善の方法です。ここでは、集中力を切らせることなく会議を成功させるためのコツをご紹介します。
そもそも会議が必要かどうかを考える。ステータスレポートや非同期アップデートが、電話と同じかそれ以上の効果を発揮することもあります。さらに、非同期アップデートを行うと、チームは重要な仕事に集中する時間を確保できます。
議題を共有し、出席者が事前に読んでおくべき資料を用意する。議題があれば、トピックからトピックへと効率的に移ることができ、重要な内容を見逃すことがありません。また、事前に資料を共有しておくことで、出席者は議論をしたり解決策を提案したりする準備ができます。
チームの好みを考慮する。チームメンバーがいつ会議をしたいか、また、通常、集中して作業をしている時間帯はいつかを聞いてみましょう。たとえば、午前中に集中したい人が多い場合は、午後に会議を行うようにしましょう。
会議を数分早く終わらせる。連続で会議に参加すると、誰もが精神的に疲れてしまいます。会議と会議の間に数分間の休憩を挟むと、脳がリセットされます。特にこの時間にスクリーンから離れると効果的です。
ビデオ会議でカメラをオフにするか、画面上の自分の顔を付箋で隠す。ビデオ通話中に自分の顔を見ると、顔の認識を司る脳の部分が活性化し、集中力が余計に削がれてしまいます。「自分の顔を見るために全身鏡を持って会議室に入ってきた人がいると想像してみてください。ビデオ通話で自分の顔を見るのは、基本的にそれと同じことなのです」と Yousef 博士は言います。
仕事中に集中力が続かない原因は、行う作業そのものの明確性が賭けているからかもしれません。仕事が明確であれば、どのような目標に向かっているのか、自分の役割の責任は何か、どのように仕事の優先順位をつけるべきかがわかります。しかし、明確でなければ、仕事の優先順位をつけたり、何がスコープ内で、何がスコープ外であるかを判断することは困難です。その結果、いくつものプロジェクトや複数のタスクに同時に気をとられたり、チャットやメールのような小さなタスクに没頭してしまったりしまい、集中力が切れてしまうのです。
明確さを欠くことは、よくあることです。Asana の調査によると、ナレッジワーカーの 29% が、タスクや役割が明確でないことが原因で過労を感じています。
明確な目標は、羅針盤のようなものです。何が重要で、何を優先させるべきかを判断するツールです。たとえば、四半期ごとの目標として「Instagram のエンゲージメントを向上させる」というものがあり、短期的な目標として「Instagram に週 10 回投稿する」というものがあるとします。この目標を達成するためには、邪魔の入らない時間帯を、メールの返信に費やすのではなく、SNS のコピーの作成や計画に使うことにしましょう。この例では、目標を立てることで、重要な仕事に集中でき、重要でない仕事に振り回されるのを防ぐことができます。
目標を明確にするには以下のような方法があります。
目標に向けた進捗状況を把握する。目標は、日々の仕事に明確な目的を持たせることができるため、強力なモチベーションとなります。ただし、目標を効果的に活用するには、自分の仕事に結びつける必要があります。そのために、一日の終わりや一週間の終わりなど、定期的に進捗状況を確認し、更新する計画を立てましょう。
毎日の MIT (最重要タスク) を設定する。毎日、達成したいことを 1〜3 個書き出してみましょう。そうすることで、集中力が高まり、書き出したタスクが完了したら退社できるようになります。これは燃え尽き症候群を防ぎ、長期的に集中力を維持するための秘訣です。Yousef 博士がこの方法を自分の研究室で試したところ、個人の生産性が 28% 向上し、燃え尽き症候群が 42% 減少しました。
タイムラインとは一体何のことでしょう?生産性を高めることにどう役立つのでしょうか?電子書籍をダウンロードしてお読みください。
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効果的な目標を設定する方法ここまで、集中できない 4 つの主な理由と、それらを回避する方法を紹介してきましたが、それでも集中できないときはどうしたらいいのでしょうか?そんなときは、集中力を高めて生産性を最大化するために、以下の 6 つのコツを試してみてください。
Yousef 博士によると、人間の脳には記憶があります。ある環境と特定の刺激 (きれいな机に座って文章を書くなど) が組み合わされると、脳は認知的な関連づけを行い、その刺激を記憶し将来的に期待するようになります。つまり、次に作業スペースを片付けて机に向かって文章を書くと、脳はそのタスクに集中するようになるという仕組みです。
集中できないときは、認知的な関連づけをして、脳に集中するタイミングを知らせてみましょう。いくつかのアイデアをご紹介します。
ロウソクを灯す
コーヒーや紅茶など、特定の飲み物を飲む
特定のジャンルの音楽を聴く
リモートワークの場合は、通勤服など、特定の服を着る
机の上を整理する
オフィスやコーヒーショップ、家の中の仕事用スペースなど、特定の場所に行く
一日の中で最も生産性の高い時間帯には、個人の生物学的特性が影響している可能性があります。ノーベル賞を受賞した研究によると、人にはそれぞれ「クロノタイプ」がありり、これは一日のエネルギーレベルの変動を決定する、あらかじめ設定された概日リズムです。自分のクロノタイプを知っていれば、ピーク時に集中ブロックを予定し、エネルギーが不足して注意力が低下したときのために、難易度の低いタスクを取っておくことができます。多くの人は以下の 3 つのタイプに分類されます。
朝型の人: 自然と早朝に目が覚め、一日の始まりに最も生産性を感じます。このタイプの人は、朝一番にクリエイティブな仕事に取り組み、午後はあまり負荷のかからない仕事に充てるとよいでしょう。
二相性の人: 集中力のピークは午前 10 時から午後 2 時の間で、昼間に一度エネルギーが低下します。夕方にはエネルギーが回復することがあります。昼食前に大きなタスクに集中するか、午後のスランプの後、一日の終わりに集中しましょう。
夜型の人: 起床時間が遅く、午後遅くから夕方にかけて最も生産性の高い仕事をすることを好みます。午後型の人は、あまり知力を必要としない仕事をして一日を始め、午後の遅い時間帯をフォーカスタイムにあてましょう。
記憶を頼りにタスクを管理していると、記憶するために貴重な脳のスペースを使ってしまいます。しかし、やらなければならないことをすべて 1 か所に書き出しておけば、その分の精神的なエネルギーをタスクの完了に集中させることができます。これは、David Allen 氏が提唱する GTD (Getting Things Done) 手法のコンセプトのひとつで、集中力を高める方法として効果的です。仕事の優先順位をつけるために、まずすべてを把握しましょう。
タスクを記録する方法も重要です。紙のリストを使ったり、複数のオンラインツールを使い分けたりするのではなく、1 つのプロジェクト管理ツールですべてのプロジェクト情報とタスクを整理してみましょう。そうすれば、仕事をする場所で、アクションアイテムを追跡し、共有することができます。
Asana で仕事を一元管理するメリット適切なタイムマネジメント戦略は、マルチタスクを避け、自分がどのように時間を使っているかを把握することで、集中力を高める方法として大いに役立ちます。どのような方法を選択するかは、好みの働き方によりますが、ここではいくつかの方法をご紹介します。
ポモドーロテクニック: 物事を終わらせるために長時間集中する必要はありません。この方法では、25 分という短時間の作業セッションと 5 分の休憩を使用します。セッションごとに 1 つのタスクに集中して取り組むことができるので、精神的な疲労を軽減できる上、集中力も高まります。
タイムブロッキング: タイムブロッキングとは、一日のすべてのパーツを作業のグループに振り分けてスケジュールする時間管理戦略です。自分の一日を取り戻し、自分がどのように時間を使っているかを把握したい場合に役に立ちます。
タイムボクシング: タイムボクシングでは、「タイムボックス」を作り (時間を区切り)、一定の時間内に特定のタスクを終わらせることを目指します。この方法は、マルチタスクをしたり、通知をチェックしたりするのが苦手な人の役に立ちます。
カエルを食べてしまえ: これは、他の仕事をする前に、最も困難な仕事にまず取り組む方法です。作家のマーク・トウェイン氏の名言に「生きたカエルを食べねばならないなら、朝一番に食べてしまえば、その日はもうそれより悪いことは起こらない」というものがあります。
パレートの法則: 80 対 20 の法則としても知られ、20% の行動からおよそ 80% の成果が生まれるという法則です。生産性に関して言えば、他のタスクよりも影響力が大きいタスクがあるということであり、それらに集中すれば、自分の影響力を最大限に高めることができるということです。
体と心の健康に気を配ると、効果的に集中力を高められます。心身ともに健康であれば、思考が明晰になり、ストレスにうまく対処できる上、燃え尽き症候群を防ぐこともできます。
個人の健康状態はさまざまな要因に左右されますが、睡眠不足や運動不足、偏った食事はマイナス要因です。そういった場合は、生活習慣を見直してみましょう。十分な睡眠をとること、軽いトレーニングをしたり散歩をするなど、体を動かす時間を確保すること、健康的な食事をすることなど、まずは基本的なことから始めます。低レベルの不安を感じても、集中力は低下します。ストレスを感じたら、一息ついてリラックスできる時間を取ってください。友人と話したり、散歩に出かけたり、マインドフルネス瞑想をしたりしましょう。
そして最も重要なことは、自分に猶予を与えることです。常に集中し続けられる人はいません。一日や一週間のうちに集中力が変化するのは当たり前です。
記事: 働き過ぎの人やチーム必見、仕事とプライベートのバランスを取り戻すための戦略重要なタスクを細かいタスクに分割したら、今度は集中力を持続するための環境づくりも欠かせません。作業場のデスクやイスの位置、道具の置き場所にも気を配ります。
また、「スマホは集中力を妨げる存在である」との研究結果も発表されており、できるだけ見える位置にスマホを置かない点も、最大のポイントです。
しかし、クライアントや上司からの連絡が来た場合、重要事項の連絡である可能性も否めません。その際に活用できるのが、スマホの「VIP 機能」です。VIP 機能とは、特定の人をリストに追加し、メール内の VIP フォルダに振り分けられる便利な機能です。通知音や通知方法も設定できるので、スマホを気にせず、より集中力を持続する環境づくりが実現できるでしょう。
集中力を高めて、生産性を上げる方法「バッチング」は、脳神経科学者もおすすめする方法です。以下では、バッチングの概要と仕事への効果について概説します。
バッチングとは、似たタスクをまとめて一度に片付ける手法です。似たタスクごとに分ける際には、「深いタスク」と「浅いタスク」に、大きく分けるのが一般的です。「深いタスク」とは、高い集中力が必要な難しい作業を、「浅いタスク」とは、すぐに終わらせられる簡単な作業を指します。例えば、メール返信などは「浅いタスク」に分類し、メールが来るたびに返信するのではなく、まとめて返信するやり方です。結果的に、タスクの切り替えを防ぎ、より集中してタスクに取り組めます。
また、まとめたタスクをこなすタイミングに関しても、「深いタスク」は、1 日の中で集中力が高まっている時間帯に、「浅いタスク」は集中力が低下している時間帯にこなすと、より効果的でしょう。
似ている手法として「タイムブロッキング」があり、1 日のうち、一定の時間をブロックして、集中的に作業をこなします。例えば、メールの返信時間をブロッキングするなど、バッチングとは若干異なる手法です。
バッチングによる仕事への効果は、研究結果にも表れています。
2016年、マサチューセッツ工科大学で実施された研究では、「メールを受信したら、リアルタイムで対応する」グループ、もう一方は「1 日数回メールをチェックし、集中してなるべく速く返信する」グループの 2 組を比較しました。その結果、後者の生産性がアップし、体内のストレス値も低下していました。したがって、人間の脳は一点集中する姿勢が、最も適しているとわかります。
バッチングの活用により、業務効率が向上し、最終的には会社の生産性や収益性の改善にもつながるでしょう。しかし、バッチングは日本のみならず、全世界で共通して「身に付かない技術」として知られています。その背景には、脳の働きが関係しており、人間の脳は「集中する必要がない」と、自身に指令を出しているのです。
集中力が持続しない要因は、本来人間の脳が集中しにくいメカニズムでできているからです。また、人間の脳はマルチタスクも苦手で、効率よく見えても生産性は上がりません。集中力を高めるには、似たタスクをまとめてこなす「バッツチング」や「タイムブロッキング」など、この記事で紹介した手法を試してみてください。
集中力とは、単に仕事をこなすだけの能力ではありません。常に気が散る状態を避け、自分の時間の主導権を握り、燃え尽き症候群から身を守るためのスキルでもあります。仕事は時に目まぐるしく混沌としていますが、客観的に捉えるようにして、精神的エネルギーをどこに使うべきか優先順位を決めましょう。
仕事の生産性について詳しく知りたい方は、関連記事『生産性を最大限に高める方法』をご覧ください。