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アジャイルにスクラム、かんばんボード……多数あるプロジェクト管理手法やフレームワークの中で、どれが自分のチームの管理に向いているかがわからず、悩んでいませんか?この記事では、ウォーターフォール型、アジャイル型、スクラム型、かんばん型という 4 つの人気手法を比較し解説します。それぞれの概要や使い方、メリットとデメリットもまとめるので、参考にしてみてください。
更新: この記事は、アジャイルおよびかんばんのメリットとデメリットに関するさらに詳しい記述を含めて 2022年 6月に改訂されました。
ソフトウェア開発やシステム開発手法としてよく聞かれる「ウォーターフォール」「アジャイル」「スクラム」「かんばん」という言葉ですが、その意味を知っていますか?それぞれプロジェクト管理の手法としても人気がありますが、どのような違いがあるのでしょうか?また、自分のチームに最適なフレームワークやモデルを選ぶにはどうすればいいのでしょう?
この記事では、この 4 つの用語の意味を解説し、それぞれの手法の概要、メリットとデメリットを紹介し、比較を行います。ウォーターフォール、アジャイル、スクラム、かんばんに関する知識を総合的に深めて、効果的なプロジェクト管理を実践しましょう。
もし特定の疑問を解消するためにこの記事を読んでいる場合は、左側のリンクを使って興味のあるセクションにアクセスしてください。
効率的にプロジェクトを管理する方法とは?ウォーターフォール型は各プロジェクトをいくつかのフェーズに分け、上から順番に進めていく手法です。前のフェーズが終わらない限り、その次のフェーズを始められません。通常、フェーズの最後にはプロジェクトマイルストーンが設定されていて、それを達成すると次のフェーズが始められるようになります。
この手法を使ってプロジェクト管理を行う場合に重要なのは、しっかりとしたプロジェクト計画を立て、チームがプロジェクトの要件と制約を明確に理解した上で作業に取り掛かることです。後で解説するアジャイルやスクラムとは違い、ウォーターフォール型プロジェクトでは、いったん動き出してしまうと、予定の変更、変化への適応、エラーへの対応を行う余地があまりないので注意が必要となります。
綿密な計画を立てれば、明確で予測可能なワークフローを構築することができ、目標を達成することができるでしょう。このプロジェクト手法は、他の手法に比べて柔軟性に欠けるものの、時間管理や進捗管理には最適といえます。
この手法は、一つのプロジェクトフェーズから次のプロジェクトフェーズへと上から下へ流れていくように見えることから、ウォーターフォール (滝) と呼ばれています。
プロジェクトの種類によってウォーターフォール型プロセスのフェーズも異なりますが、通常は次のようなフェーズを経ることになります。
要件定義フェーズ。さらに細かく分析フェーズに分割されることもある
システム設計フェーズ
実装フェーズ。プロジェクトの種類により、開発フェーズ、コーディングフェーズとも呼ばれる
テストフェーズ
展開フェーズ。運用フェーズとも呼ばれる
保守フェーズ
ウォーターフォールは部門横断型のプロジェクトに有効な手法です。この手法の大きな利点を挙げていきます。
プロジェクト開始前に計画を実施しスコープクリープを防ぐことができる
プロジェクトの各フェーズ間の進捗状況を把握しやすい
複数のプロジェクトに携わることができ、1 つのイニシアチブに完全に専念する必要はない
依存関係の管理が容易にできる
しかしウォーターフォール型の管理手法には特筆すべきデメリットがいくつかあるので、採用する際には考慮しましょう。
柔軟性に欠けるためプロジェクトリスクが高まる
フェーズ間で異なるメンバーがプロジェクトに携わる場合や明確な文書が存在しない場合、情報が失われる可能性がある
QA が終盤に行われる際、予期せぬバグが発生する可能性がある
顧客の関与が減ることで満足度が低下する恐れがある
アジャイル手法は、従来のウォーターフォール型に対抗するために開発された手法です。2000年代初頭のソフトウェア開発の普及に伴い、開発者はプロトタイプやプロジェクト管理に反復的なアプローチを必要とするようになり、アジャイル開発が誕生しました。
アジャイルはスクラムなど他の手法と組み合わせて使用されることが多いですが、この手法の原則を詳しく知りたいなら、アジャイルマニフェストを参照しましょう。現在この手法はソフトウェアの開発だけでなく、マーケティングや IT、イベント企画、製品開発においても、それぞれの産業に合うように適応および修正を行い使用されています。
Asana でアジャイルチームを管理アジャイル型プロジェクト管理は、通常 2 週間程度の短いスプリントで作業を完了させる反復型の手法です。バックログ管理、スプリント、振り返りが反復して行われます。
柔軟なアプローチと継続的な納品を優先しているため、予期せぬプラン変更にも柔軟に対応できます。しかしその一方で、スコープクリープに悩まされることもあるので注意が必要です。
各スプリントは以下のフェーズを踏んで進みます。
まず、プロダクトオーナーは、プロジェクト管理ソフトウェアでプロダクトバックログ (スプリント期間中に取り組む可能性のあるすべてのタスクを含んだリスト) を整理します。
スプリントの前に、プロジェクトチーム全員がスプリント計画に参加し、2 週間の期間中に取り組むべきタスク (スプリントバックログ) を特定します。
スプリント期間中、アジャイルチームは頻繁にミーティングを行い、問題点やアクションアイテムについて話し合います。
スプリントが終わると、チームメンバーは集まってスプリントレトロスペクティブを行い、フィードバックを共有します。
アジャイル手法は多くの組織やチームで採用されているメソッドです。そのメリットをいくつか挙げてみましょう。
想定外の変化にもすぐに対応できる
顧客満足度を重視する
チームワークとチームメンバーの参加を重視することで強い内発的動機づけを引き出す
一方で、アジャイルは次のようなデメリットも持ち合わせています。
スコープクリープが発生しやすく、プロジェクト予算が予想以上にかさむ可能性がある
顧客やユーザーに関与する時間やキャパシティがない場合、顧客に関与してもらうことが難しい
チームメンバーはアジャイルスプリントのプロセスにのみ集中してしまうので、他の業務に参加することができない
リモートチームの場合、アジャイル環境では思うように作業がはかどらない
スクラムはアジャイルフレームワークとしてよく利用される手法です。ラグビーのプレーのひとつである「スクラム (scrum)」が語源とされています。スクラムは完全なフレームワークであり、スクラム上で「チームを動かす」ことができます。
このフレームワークは、竹内弘高氏と野中郁次郎氏が先駆けとなり開発されました。のちにスクラムガイドも発表され、チームが反復と継続的な改善に集中できる手法として人気があります。コラボレーションを実行し、より影響力の大きな仕事を成し遂げる上で有効です。
Asana でアジャイルチームを管理アジャイル同様、スクラム開発はソフトウェア開発チームを考慮して考案されましたが、現在では製品、エンジニアリングなどの他の産業でも作業のスピードアップと効率アップを目指して採用されています。アジャイルとスクラムは併用されることが一般的です。
スクラムを実行するチームは、まずスクラムマスターを任命します。スクラムマスターは 3 つのフェーズの進行を担当し、またメンバーの作業が順調に進むように取り計らう役目を担います。スクラムマスターは、チームリーダー、プロジェクトマネージャー、プロダクトオーナー、または、当該のスクラムに最も関心のある人が担当するのが一般的です。
スクラムマスターは一般的に次の 3 つのスクラムのフェーズを実行に移します。
フェーズ 1: スプリント計画。スクラムのスプリントは通常 2 週間ですが、もっと短いスプリントを実行することもできます。このフェーズでは、スクラムマスターとチームは仕事のバックログを見て、スプリント中に達成すべき仕事を選択します。
フェーズ 2: デイリースクラムスタンドアップ。スクラムの期間中 (スクラムの「サイクルタイム」) に、毎日 15 分間のミーティングを行い、進捗状況を確認したり、割り当てられた仕事量が適切であるかどうかを確認します。
フェーズ 3: スプリントの振り返り。スクラムが終了したら、スクラムマスターはスプリントの振り返り会議 (「レトロスペクティブ」) を開催して、どのような仕事が行われたかを評価し、やり残した仕事をバックログに戻し、次のスプリントに備えます。
スクラムの目標は、2 週間で何かを構築、納品し、それで終わりにすることではありません。アジャイル同様、スクラムはチームがより大きな目標に向かって小さな一歩を踏み出す継続的改善の考え方を採用しています。仕事をより小さなチャンクに分割し、そのチャンクに取り組むことで、チームがより効率的に仕事の優先順位をつけて納品できるようにします。
スクラムを採用するチームにとっての重要な指標である「ベロシティ」について知りたい場合は『ベロシティとは?定義と活用方法を解説』をご覧ください。
スクラム型手法を採用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?いくつか挙げてみます。
ルールや習慣、責任を明確化することができる
シンプルな構造なので、チームリーダーやプロダクトオーナーがチームの最重要タスクをしっかり管理、サポートできる
スプリントごとに限られた仕事量と時間が設定されているため、タスクの優先順位を把握しやすい
毎日のスクラムミーティングをスプリント計画とスプリントビュー (「振り返り」ミーティング) と組み合わせることで、現在のプロセスを継続的に確認、改善できる
一方でスクラムには、以下のようなデメリットも存在します。
短いサイクルをくり返すことで、プロジェクトの全体像を見失ってしまう場合がある
要求の追加や変更に対応しているうちに、チームのキャパシティやスキルを超えてしまう可能性がある
途中で仕様変更ができないプロジェクトには不向きである
アジャイルとスクラムが併用されるのと同様、かんばんも、アジャイル型から派生した手法であり、より広範なアジャイルのコンセプトに基づいています。アジャイル哲学における適応的な計画、進化的な発展、早期納品、継続的な改善というすべてのポイントを、かんばんがサポートします。
1940年代後半にトヨタ自動車の技術者である大野耐一氏によって開発されたこの方式は、数十年をかけてデジタル化や応用、改善を重ねてきました。現代のかんばんフレームワークはインターネットを活用し、視覚的に作業を管理します。
Asana でかんばんボードを作るプロジェクト管理におけるかんばんとは通常かんばんボードを指します。アジャイルやスクラムと大きく異なる点は、この手法では視覚的にプロジェクトを管理できるというところです。クリエイティブリクエストやバグ追跡プロジェクトのように、進行中のプロセスやプロジェクトを実行しているチームに人気があります。
かんばんボードには作業工程の「段階」を表す列を設け、それぞれの列に個々のタスクを記した「カード」を用意します。「To-Do」「進行中」「完了」などの列を設定するのが一般的ですが、ツールによっては列をタスクの担当者別に表示したり、「スイムレーン」(担当範囲) を追加したり、期日を基に表示するように設定することもできます。
かんばんでは、次のような情報を一目で確認することもできます。
タスクや成果物
タスクの担当者
期限
優先度やタスクのタイプなどの関連タグ
タスクの詳細
コンテキスト
関連するファイル
それでは、かんばんのメリットをいくつか挙げるので、こちらで確認しましょう。
情報を統一化し、一目でプロジェクトの進捗状況が把握できる
チーム間のコミュニケーションを活性化できる
柔軟性が高く、急な要求追加や変更にも対応できる
時間の経過とともに、チームはより能動的に、より早く仕事に取り組めるようになる
かんばんのデメリットとしては、次のような点が挙げられます。
タスク間の依存関係が把握しにくい
長いスパンのプロジェクトには不向きである
かんばんはプロジェクト管理ツールの主要コンポーネントです。チームにぴったりのプロジェクト管理ツールを探しているなら、かんばんボードをビューとして提供しているかどうかを必ず確認しましょう。Asana では、ボードビュー (かんばん)、タイムラインビュー、カレンダービュー、リストビューから自分の好きな表示方法を選択することができます。
記事: プロジェクト計画を視覚化する 3 つの方法: タイムライン、カレンダー、ボードここまで各手法とフレームワークを詳しく説明してきました。つづいてチームの目標達成に役立つ手法を見つけられるように、4 つの手法を比較していきます。
アジャイルとウォーターフォールはどちらもメリットの多い優れた手法ですが、どちらを採用すべきか迷うこともあるでしょう。ここでは、アジャイルとウォーターフォール、どちらの手法が最適かを判断するときに考慮すべきポイントをご紹介します。
連続的なプロジェクトに取り組んでおり、前のフェーズが完了しない限り、次のフェーズを開始できない場合
スコープクリープを徹底的にコントロールしたい場合
明確で効果的な計画を立てたい場合
プロジェクトを開始する前に、開発ライフサイクル全体を理解したい場合
短期間での納品よりも機能性を重視したい場合
アジャイル手法が最適であると判断した場合は、つづいてスクラム手法がチームを動かす方法として適切かどうか判断していくことになります。
アジャイルとスクラムに関しては、どちらかを選ぶというよりも、アジャイルのフレームワークとしてスクラムを選択したいかどうかが問われます。
結論から言うと、アジャイルはスクラムを使用しなくても問題はありません。スクラムはアジャイルのフレームワークの中で最も利用されることが多いですが、スクラムの原則に従わなくてもアジャイルを活用できます。コラボレーションと柔軟性を重視するものの、スクラムの原則がチームにプラスに働かないと考えているなら、かんばんなどの他のフレームワークの利用を検討しましょう。
単体でも役目を果たすアジャイルですが、スクラムを利用しない場合は、以下のベストプラクティスを考慮してスムーズなワークフローを実現するように心掛けましょう。
プロジェクトの規模は小さく保ちましょう。目標は小さく、チームは少人数にする方が管理しやすくなります。
プロダクトオーナーを決めましょう。スクラムマスターがいない状態なら、ワークフローやプロジェクトの変更点、リソースの割り当てを担うチームメンバーを割り当てます。
定期的に会議を開きましょう。会議でプロジェクトの進行状況を確認し、メンバー全員の翌週の目標を話し合うことで、士気とやる気を維持します。より有意義な会議にするためには、ファシリテーターを設けましょう。
総括を頻繁に行いましょう。 定期的に実施することで、注目するべきプロジェクト情報を明確にし、総合的な品質を高く保つことができます。
かんばんとスクラムはアジャイルメソッドにおいて特に話題に上がることが多いチームコラボレーションツールです。アジャイルとスクラム、アジャイルとかんばんなど組み合わせて使用され、アジャイル方法論の中核的な考え方の 1 つである「継続的な改善」をどちらも重視しています。
この 2 つの手法にはいくつか共通点もありますが、大きな違いもあります。そこでスクラムとかんばんの違いをこれから挙げていきます。
スクラムはかんばんよりも細かく定義されている。スクラムは、チームが従うべき特定の「ルールセット」を含む、きちんと定義されたフレームワークです。かんばんは仕事の可視化に最も頻繁に使用されます。実際、多くのチームがかんばんボード上でスクラムを実行していますが、その場合でも、かんばんを実行しているというより、スクラムを実行していることになります。かんばんはルールのある「方法論」ではなく、仕事を可視化するための「手段」として考えるのが妥当です。
スクラムは時間に縛られ、かんばんは柔軟性がある。スクラムは 2 週間の仕事のサイクルであるスプリントで実行されます。そして、スプリントの終わりには、仕事の内容にかかわらず、いくつかの仕事が完成した状態になっています。かんばんボードには必ずしも開始日や終了日が必要ではありません。実際、Asana では進行中のプロセスを表すためにかんばんボードを最も頻繁に使用しています。
かんばんボードの列は、さまざまな方法で整理できる。スクラムを実行する際には、仕事が段階を経ていく過程の追跡が重要です。しかし、スクラムベースではないかんばんボードの中では、ボードの列は仕事のステータスだけでなく、さまざまな仕事の種類を表すことができます。毎月達成する仕事を表す列を設定したり、過去の特定の月に達成した仕事を記録する振り返りかんばんボードを作成したりもできます。かんばんボードの列は、より明確なルールがあるスクラムとは異なり、必要に応じて自由に設定できます。
チームにビジュアルプロジェクト管理システムが必要な場合
プロジェクトのステータスが一目でわかる方法を探している場合
エンジニアリング、製品、ソフトウェア開発チームに所属していない場合
進行中のプロセスやプロジェクトを実行している場合
ほとんどの仕事が短期間で制作されていない場合
エンジニアリング、製品、ソフトウェア開発、またはアジャイルベースのチームに所属している場合
チームにもう少し強固な構造があってもよいと思う場合
大量の仕事のバックログを処理しなければならない場合
納期を短くし成果物を細分化することで、チームのモチベーションを高めたい場合
チームの誰かがスクラムマスターになることにコミットしている場合
ここで忘れてはならないのが、かんばんボードでスクラムを実行することが可能だということです。かんばんボードは、スクラムのサイクルすべてが順調に進むよう管理するのに役立ちます。
実際、かんばんボード (スクラムボードと呼ばれることもあります) でスクラムを実行しているチームでは、スクラムのスプリントのたびに新規のボードを作成することが頻繁にあります。その理由は 2 つあります。
スプリントごとに新規のボードを作成するチームは、何もない状態から始めることができるため、スプリントごとに新たに行うべき仕事を可視化しやすくなります。
過去のスクラムボードを使用して、各スクラムサイクルでどのような仕事が達成されたかが追跡できます。プロセスを改善して効率化できるのがスクラムの大きなメリットなので、自分たちの達成記録を振り返ることが大切です。
チームとプロジェクトに合った手法、フレームワーク、ツールの組み合わせを見つけることが最も重要でしょう。
ウォーターフォール、アジャイル、スクラム、かんばんについて解説し、それぞれの違いも紹介しました。チームにとって最適な手法を用いて、プロジェクトを効果的に管理するのに役立ててください。チームの生産性が上がれば、ビジネスの成功にもつながるでしょう。
導入するのがウォーターフォールであれ、アジャイルやスクラム、かんばんであれ、プロジェクトを最大の効率性をもって管理するなら、すべての仕事を一元管理するのがおすすめです。作業の担当者や期日をチームメンバーが明確に理解していれば、それぞれの作業計画を正確に立て、成果物を納品できるようになるでしょう。
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