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プロセスのドキュメンテーションとは、新規プロセスのリリースに必要なタスクやステップを詳細に記述した、社内向けの文書です。この記事では、プロセス文書の作成方法と、チームに導入した場合のメリットを解説します。
更新: この記事は、ドキュメンテーションとは何か、その意味に関するさらに詳しい記述を含めて 2022年 11月に改訂されました。
新規プロセスを実行するには、まず何から始めるとよいのでしょうか?その答えは、プロセスの「文書化 (ドキュメンテーション)」です。
詳細な文書を作成することで、プロセスの目的に沿ってチームワークをまとめ、透明性の高い組織へと導きます。プロセスの境界を見極め、プロセスのステップを文書化するまでの過程は、チームリーダーにとって、自分のチームが最も得意とする分野や業務を画定する機会となります。
この記事では、プロセスのドキュメンテーションの目的、作成方法 (実例付)、チームへの導入のメリットについてまとめます。
そもそも、ドキュメンテーションの意味とは何でしょうか?ドキュメンテーション (documentation) とは、情報を収集し、まとめ、記録として作成すること、つまり文書化です。また「ドキュメンテーションする」とも聞かれますが、この「ドキュメンテーションする」とは「文書化する」といった意味で使われていると考えましょう。
プロセスのドキュメンテーションとは、新規プロセスのリリースに必要なタスクやステップを詳細に記述した、社内向けの生きた文書のことを言います。新入社員のオンボーディングや OJT のような簡単な内容から、チーム構造の変更のような大きな目標まで、新規プロセスについて適宜文書化を進め、追跡していくことが重要です。
また、プロセスのドキュメンテーションを作成することは、現在のプロセスの効率化にもつながります。新規ツールの展開から顧客ユーザーとのやりとりまで、ひとつの組織に存在するプロセスの数は、実に多く、さまざまです。
そうした中、プロセスのドキュメンテーションは、チームをまとめるだけでなく、チームメンバーにとって、新規プロセス作成に必要なステップを明確にしてくれるロードマップとして機能します。また、不明点が生じたときにまず参照できるリソースとしてのサポート的役割も担います。
プロセスのドキュメンテーションとプロセスマッピングというこの 2 つの用語ですが、似ているようで大きく異なる点が複数あります。
大きく違う点は、それぞれの仕組みのレイアウトにあります。プロセスのドキュメンテーションは、重要事項を詳細に文書化することに、プロセスマッピングはプロセスを見える化することに重点が置かれるのです。さらに、プロセスのドキュメンテーションには、視覚的な情報が含まれているものの、その詳細さの度合いはプロセスマップほどではありません。
プロセスのドキュメンテーションを作成するには、第一段階での範囲検証にはじまり、テスト、レビューまで、以下 8 つのステップを実行していきます。
各フェーズで目指すことは、プロセスにまつわる数々のステップを正式な文書としてまとめ、チームとしてのまとまりや明確なコミュニケーションを確保することです。この 8 つのステップを一つずつ確認しながら、プロセス文書に盛り込みたい重要事項を紹介します。
プロジェクトの文書化をする場合は、Asana のプロジェクト文書化テンプレートを活用しましょう。テンプレートとして作成しておくことで、他のプロジェクト文書化の際にも利用でき、効率的で便利です。
最初のステップでは、プロジェクトマネージャーが初期段階の情報を検証し、ゴール、タイムライン、優先度などを盛り込んだ簡単な説明書を作成します。この際、目標を見直し、ビジネスケースとして文書化します。
プロセスを検証する際は、次の点を考慮に入れます。
主要な目的: プロセスによって達成しようとしている重要業績評価指標やビジネス目標は何かを考えましょう。
関係者: 具体的な人員は後で検討するとして、まず、どのチームと連携して作業することになるかを考えてみてください。
タイムライン: プロセスのスコープと完了までのタイムラインは、クリティカルパス法で見積もることができます。
優先度: このプロセスを実施することの重要度を、チームが取り組んでいる他のプロジェクトや目標と比較して判断します。
以上を踏まえると、説明がより明確になり、関係者や経営陣は、目の前のプロセスをいち早く理解することができます。
プロセスの初期段階の情報を揃えたら、境界を定めていきます。まず、各チームが担当するタスクの内容をもとに、プロセスがチームをまたぐ箇所を大まかに把握します。プロセスの始まりと終わり、関与する人員について考慮しましょう。
境界が定まっていれば、新規プロセス導入の準備が整ったときに、明確な内容でタスクのガイドラインを設定することができます。ドキュメンテーションにおけるこのステップの例としては、たとえば、プロセスを自動化して手間のかかる作業を省くことを目指す場合、プロセスの始まりでは IT チームが、プロセスの終わりではオペレーションチームが関与するような境界となるでしょう。
Asana で仕事を自動化第 3 のステップでは、インプットとアウトプットを決定します。
プロセスにおけるインプットとは、プロセスを完了するために必要なリソースのことです。
プロセスにおけるアウトプットとは、プロセスで目指す最終的な成果です。
アウトプットを決めるには、初期段階のプロジェクトの目的に見合う、具体的かつ測定可能な指標を選びます。たとえば、手間のかかる作業を省くことが目的であれば、アウトプットとしては、タスクのリマインダーを自動化することが考えられます。また、この例のインプットとしては、ワークマネジメントツールの導入が考えられます。
電子書籍をダウンロード: ワークマネジメントとは?チームがワークマネジメントを必要とする理由インプットとアウトプットが決まると、それぞれの目標に関わるステップをさらに細分化していくことができます。
プロセスのインプットとアウトプットで必要な情報を得たら、プロセスプランのステップを細分化していきましょう。この作業は単独で行っても、ブレインストーミングセッションと合わせて行ってもかまいません。 次の工程に従って行いましょう。
プロセスの境界のトリガーである、プロセスの開始点を確認します。依存関係にあるタスクを完了してからでないと開始できないプロセスもあります。タスクのリマインダーの自動化がその例で、タスクが作成されていなければ、プロセスは開始しません。
それぞれのプロセスについて、ステップを実行順に並べます。タスクが複数ある場合は、ステップに含めて記載します。ステップは、プロセスの中核部分だけを取り入れた可能な限りシンプルな内容にしましょう。
ステップが確定したら、タスクを細分化し、実行責任者 (担当者) に割り当てます。成果物やタイムラインなど、タスクごとの詳細情報を文書にして配布するとよいでしょう。指示が明確になり、コミュニケーションの合理化につながります。
タスクの背景情報や状況を補足しておく必要がある、複雑度が高いプロジェクトでは、チームミーティングを開催したり、必要な情報を周知するなどしましょう。周知しておきたい情報とは、成果物を完成させるために必要な法的知識やブランドのガイドラインなどです。
いよいよ、プロセスを可視化する、重要なステップです。ここでは、フローチャートを使うと簡単です。文書化するプロセスの種類によっては、フローチャートを使うと理解しやすく、非常に明確になります。また、目標やタスクを途中で追跡できるワークフロー管理ツールも有益です。
フローチャートの作成では、プロセスのステップ、インプットとアウトプット、割り当て済みの関係者に関する情報を手元に用意しておきましょう。そして、各ステップを実行順にきれいに並べていくだけです。
プロセス文書のフローチャートを作成する際は、以下の例を参考にしてください。
例を見ていただくと、各ステップにインプットとアウトプットがあることがわかります。これらのステップをフローチャートにして可視化することで、各リソースから得られる結果が簡単にわかります。タスクの担当者を分類するなら、図にスイムレーンを追加します。複雑なプロセスでは特に役立つ手法です。
プロセスは、それぞれ微妙に異なります。ステップを順番に連携させて、最も重要な情報を前もって提供することが大切です。
プロセスのフローを視覚的な文書としてまとめたところで、チームが遭遇する可能性のある例外事項をまとめます。まったく同じ経路をたどるフローは存在しないのですから、例外があることは避けられない事実です。
このドキュメンテーションのステップの例を考えてみましょう。たとえば、上記のワークフローについて考えてみると、作業内容が複雑でないためレビューが不要となる例外的なタスクがあるかもしれません。もしあれば、承認の必要がないシナリオについて記載しておくとよいでしょう。また、チームがこのような例外に対処する際のステップも記載しておいてください。
プロセスドキュメンテーションのライフサイクルにおける最終ステップは「テスト」です。プロセスが機能するかどうかを確認します。テストでは、問題が発生する箇所、リスクが想定される箇所を特定し、リアルタイムで修正していきます。新規プロセスができるだけスムーズに進行するように、必要な変更事項があれば、このタイミングで微調整を行いましょう。
次の質問に答えて、問題点を明らかにしましょう。
プロセスのフローを文書化するきっかけとなった問題を解決できる内容に仕上がりましたか?
大きな変更を加えないとプロセスが順調に進まない状況ですか?
最後に、未完了のプロセスタスクを完了し、必要に応じて後日参照できるよう、情報を共有スペースに保存します。
ドキュメンテーションする内容が、綿密なプロセスフローでも、概要の共有にとどめたものでも、情報をいち早く文書化しておくだけで、今後問題が発生した際に、作業の中断を防ぐことができます。
プロセスのドキュメンテーションは、エラーの解消、効率化、スムーズなリソース配分など、4 つの大きなメリットをもたらします。
ビジネスプロセスのドキュメンテーションは、プロセスの各ステップをあらかじめ説明して、エラーを防ぐものです。ステップの有効性を分析して、変更を加えていくことができます。
事前にプロセスを文書化すると、次に挙げるポイントが解消されます。
コミュニケーション不足: 適切なドキュメンテーションがされていないと、コミュニケーションがまとまらず、仕事のための仕事が増える結果となります。
プロセスステップの見落とし: ステップの詳細情報がないと、タスクを混同する、見落とすなど、プロセスの効率が低下します。
目的とアウトプットが不明瞭: 目的を理解しないまま特定のプロセスにチームメンバーが取り組んでも、目指すべき成果物や優先順位に気付くことができない可能性があります。
プロセスのドキュメンテーションのライフサイクル自体が、エラーを分析し、プロセスのライフサイクルをとおして潜在的なボトルネックを継続的に監視するシステムとなります。不要なステップの修正や、削除を行う機会ともなります。
適切なプロセス文書があれば、情報が前もってかつ視覚に訴える方法で提示されるので、手間のかかる作業や、仕事のための仕事に費やす時間を減らすことができます。
プロセスのドキュメンテーションでは、次のような非効率性が解消されます。
頻繁過ぎるミーティング: プロセス文書があれば、会議を開いて説明するような詳細な必要情報を伝えることができます。むやみに会議を開いても時間の無駄ですし、場合によっては混乱を招くだけです。
二度手間の作業: 初めから適切にタスクを系統立てていれば、二度手間の作業が発生することは、ほぼないはずです。
コミュニケーションの錯綜: 情報を一箇所にまとめて保存しないと、コミュニケーションが錯綜してしまいます。
このような問題点を解消できれば、チームの生産性が向上し、目の前の仕事に集中できます。また、他にも対策を求めるなら、ビジネスプロセスのオートメーションを導入すると、手間のかかる作業をさらに省くことができます。
プロセス文書は、情報を整理して明確なステップへとまとめ、必要なリソースと連携し、合理的にリソースを配分することができます。
これにより、リソースが次のように変化します。
適正に使用される: 使うべきリソースがどれかを理解しているチームは、正しく効率的にリソースを使うことができます。
適切なステップに連携される: リソースとタスクを連携させることで、使うべきタイミングと方法が明確になります。
意図する結果が出る: リソースが適切に割り当てられれば、意図した目的を果たすために使用することができます。
リソースの使い方を誤ると過剰支出につながります。配分を正しく把握し、チームに必要なリソースを準備することが重要です。
コミュニケーションのツールを統一すると、プロセスの問題が発生するのを防ぐことができます。使用するツールを統一すれば、アプリ切り替えに時間を取られたり、集中力が途切れたりすることもありません。いつでも閲覧でき、信頼できる情報源にすべての関係者がアクセスできるようにしましょう。
コミュニケーションを円滑化すると次の点で役立ちます。
作業が初回から正確に処理される: 明確なコミュニケーションで、混乱から生じる作業品質の低下のリスクが減ります。
プロセスについての明確な知識を形成する: コミュニケーションをとることで、チームは新規プロセスの状況を常に把握することができます。
プロセスマップや標準的な業務手順が充実する: コミュニケーションによって情報が明確になり、プロセスマップや手順が、プロセス本来の目標に沿っているか確認することができます。
よいプロセスと優れたプロセスを分けるのはチームのコミュニケーションと言っても過言ではありません。いち早くこまめなコミュニケーションで、明確さを維持しましょう。
プロセスのドキュメンテーションの意味と作り方、メリットについて解説しました。プロセスのドキュメンテーションは、プロセスの改善を最適化し、将来待ち受けるさまざまなプロセスへの道を開く布石となります。プロセスを文書化しておくと、効率低下やボトルネックを防ぐとともに、チームメンバーの育成にも役立ち、今後のプロジェクトを成功に導きます。
プロセスのドキュメンテーションには、ワークフロー管理プラットフォームの導入がおすすめです。チームが合理的にプロセスに取り組み、成果を出せる舞台を用意しましょう。
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