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PERT 図 (パート図) は、プロジェクト内のタスクをスケジュールし、整理し、マッピングするためのツールです。プロジェクトのタイムラインを視覚的に表現し、個々のタスクを分解して表示します。ガントチャートと似ていますが、その構造は異なります。
この記事では、PERT 図を作成するときの 5 つのステップを説明し、例を提示しながらこの PERT 図を効果的に活用する方法を説明します。プロジェクトのタスクマッピングや依存関係の把握に苦労したことがある方は、ぜひ参考にしてみてください。
更新: この記事は、PERT 図とガントチャートの違いに関する情報をさらにわかりやすくまとめて、2023年 2月に改訂されました。
そもそも PERT とは何なのでしょうか?PERT とは、Program evaluation and review technique (プログラム評価レビューのテクニック)の頭文字をとった用語で、プロジェクトマネジメントで用いられる手法です。プロジェクトの各工程にある依存関係を視覚化することができるので、プロジェクトの工程管理に適しています。
PERT 図 (パート図) は、プロジェクト内のタスク間にある依存関係を視覚的に表現するためのツールです。PERT チャートとも呼ばれるこの図は、さまざまな要素が組み合わされて成り立つプロジェクトの工程を表した、いわばネットワークのようなものです。この図を用いれば、作業の整理やマッピングを効率的に行うことができます。プロジェクトが始まる前に、初期のスケジュールと推定タイムラインを作成し、プロジェクト関係者と共有するのにおすすめのツールです。
「使える」プロジェクトタイムラインを作成するにはPERT 図のようなプロジェクトのロードマップを作成することは、以下のようなプロジェクト計画活動を行うのに役立ちます。
リーダーからのスケジュールとタイムラインのサインオフ
プロジェクトの目的をステークホルダーに伝える
複雑なプロジェクトを視覚的にマッピングする
個々のタスクを完了するために必要な時間を推定する
PERT 図を最大限に活用するためには、まず PERT 図を完成させるための手順と、視覚的に図を作成する方法を理解する必要があります。
PERT 図では、よく使用される用語がいくつかあります。
・ノード
・タスク
・依存関係
・リソースを必要としない依存関係
それぞれの定義について見ていきましょう。
ノード
ノードはプロジェクトのイベントを表します。これらのイベントは、プロジェクトを構成する大きな要素です。たとえば、ウェブサイトのデザインを作成するとき、ノードの 1 つは「新規ロゴのデザイン」を表すことがあるでしょう。
タスク
タスクとは、ノードを完了するために完了しなければならないものです。たとえば「新規ロゴのデザイン」というノードを完了するには、「ロゴのモックアップを 3 つデザインする」というタスクを完了しなければなりません。
依存関係
依存関係とは、あるタスクが他のタスクとつながっている関係を表します。これらのタスクは互いに依存しており、一方のタスクは他方のタスクの完了なしでは完了しません。言い換えれば、ひとつのタスクが遅延すると、別のタスクの作業開始が遅れることになります。
リソースを必要としない依存関係
他のノードやタスクとつながっていても、完了しなければならない具体的なタスクがないものです。たとえば、プロダクトローンチとランディングページは相互に関連があるかもしれませんが、両方に共通して関連するタスクはありません。
PERT 図とガントチャートはよく混同されますが、両者には重要な違いがいくつかあります。
PERT 図はフローチャート、ガントチャートは棒グラフ
PERT 図はカスタマイズしやすく、ガントチャートは整理しやすい
PERT 図はプロジェクトが始まる前に使用できる
見た目はもちろん、チームのニーズに応じて提供される機能も異なるので、ここではPERT 図とガントチャートの違いをよく確認しましょう。
大きな違いの 1 つは、視覚的なレイアウトです。ガントチャートが昔からよく使われる棒グラフ方式であるのに比べて、PERT 図は構造化されておらず、プロジェクトに応じてさまざまなレイアウトをとります。
ガントチャートはより構造的に整理されています。一方、PERT 図はレイアウトを簡単にカスタマイズできるので、プロジェクトの根本的なニーズに応えることができます。
PERT 図ではシンプルなプロジェクト計画とタイムラインのレイアウトができるため、プロジェクトのキックオフ時に視覚的なガイドとして使用されることが多いです。その後、プロジェクトマネージャーは、プロジェクトのタスクや依存関係を具体的にマッピングするために、作業分解構成図やガントチャートなどの別の手法を使用します。
ガントチャートテンプレートを作成一般的に、ガントチャートはプロジェクトのライフサイクルを通してタスクをマッピングするのに適しており、PERT 図はプロジェクトの初期段階でのタイムマッピングに適しています。これらは別々に使用することも、一緒に使用して包括的な計画を作成することもできます。
PERT 図を作成するには、タスクの特定からプロジェクト完了の管理までを含む、プロセスライフサイクルの 5 つのステップを踏んでいきます。各ステップをこちらにまとめたので、詳しく見ていきましょう。
PERT 図を作成するための最初のステップは、必要なプロジェクト情報とタスクを特定し、まとめることです。プロジェクト計画段階は、プロジェクト初期に行われる一般的なプロジェクト管理段階と同様に始めることができ、次のようなものが含まれます。
早期に計画を立てることで、次の工程で依存関係を定義し、タスクをつなげる準備ができます。
タスクやマイルストーンの依存関係とは、目の前のタスクを開始するためには、他のタスクが完了している必要があるという関係のことを指します。これは論理的な関係とも呼ばれ、作業分解構成図でよく使われます。
依存関係を作ることで、作業を適切に追跡し、タスクを確実に完了させ、明確なコミュニケーションを確立できます。複雑なプロジェクトの場合は、事前にタイムラインとプロジェクト期間を適切に計画しましょう。
PERT 図では、プロジェクト内にあるタスクを接続し、番号を付けることで依存関係を視覚化します。PERT 図は作業分解構成図のような他の方法ほど包括的ではありませんが、タスクとそれを完了するために必要な作業の全体像を視覚化するのに役立ちます。
記事: 職場で効果的にコミュニケーションをとる 12 のコツタスクの依存関係を明確にしたら、次にプロジェクトのタスク同士を結びつけて PERT 図を作成します。具体的なタスクやマイルストーンはノードで表し、矢印を使ってつなげていきましょう。
たとえば、親イベントをノード内に配置し (数字の入った丸や四角で表現)、タスクの矢印を描いて、イベントを完了するために必要な依存関係を表現します。
このレイアウトは、過度に詳細に書き上げる必要はありません。プロジェクトのステークホルダーが理解しやすいシンプルなプロジェクト構造を提示しましょう。
次に、クリティカルパス法 (CPM) と PERT の計算式を使って、プロジェクト全体の所要時間を推定します。クリティカルパスとは、プロジェクト完了に必要な最長経路時間のことをいいます。
クリティカルパスの見つけ方
CPM の目的は、プロジェクト全体の最短期間を推定するために、最も時間がかかる最長の経路を見つけることです。PERT 手法の時間の見積もりは、次のようにして計算できます。
・楽観的な時間 (O): タスクを達成するために必要最低限の時間。
・悲観的な時間 (P): タスクを達成するために必要な最大時間。
・最も可能性の高い時間 (M): タスクを達成するために必要な時間の最も正確な見積もり。
タスクの予想作業日数と完了時間を算出するための PERT の計算式は、(O + (4 × M) + P) ÷ 6 です。これは分、時間、日、または週で測定することができます。
たとえば、楽観的な時間が 30 分、悲観的な時間が 60 分だとします。PERT の計算式 (30 分 + (4 × M) + 60 分) ÷ 6 を用いれば、最も可能性の高い時間は 45 分となります。
タスクごとの予想時間を算出したあと、クリティカルパスの予想時間を足し合わせて、平均のプロジェクトタイムラインを算出します。
クリティカルパスを求めるときは、専用のテンプレートを使うと効率的です。Asana では、個々のニーズに合わせてカスタマイズできるクリティカルパスのテンプレートをご利用いただけます。
クリティカルパス法テンプレートを作成PERT 図を作成する最後のステップは、プロジェクト完了までのタスクの進捗を管理することです。すべてのタスクが完了するまで順に依存関係を解消していき、途中で問題が発生した場合は解決していきます。
もしもプロジェクト全体を通して、変更が発生した場合は、PERT 図も更新する必要があります。こういったケースも、プロジェクトの変更をマッピングして伝達するのに役立つ変更管理プロセスと組み合わせてスムーズに行いましょう。
プロジェクト内のすべてのタスクが完了した時点で、資料を共有スペースにアーカイブし、必要に応じて後から参照できるようにしましょう。
記事: 明確なコミュニケーションプランが意外なほど重要な理由PERT 図を作成するときの 5 つのステップを理解したところで、いよいよ自分で PERT 図を作ってみましょう。プロジェクトの複雑さと期間によって、PERT 図は違った形を成していきます。あなたが作る図はこれから例で挙げる図と少し異なるかもしれませんが、基本的なところは同じです。
作成は、次の 2 点からスタートします。
番号付きノードを作成する: プロジェクト完了に必要な主要タスク (小さいタスクの集合) をノードとして描き表します。いくつあっても構いませんが、まずは 10 個を目安にしてください。
ノードをタスクに接続する: タスクの依存関係を表す矢印を描きます。これらのタスクは、ノードで表されたイベントが完了するために必要なものです。図の始まりと終わりは明確になるはずですが、途中経過は複雑になるかもしれません。
そうすると、次のような PERT 図が完成します。
PERT 図は、プロジェクト管理ソフトウェアをはじめ、さまざまなツールを使って作成できます。PERT 図をツールで作成すれば、計画を適切に立てられるだけでなく、それを視覚化し、タスクの依存関係やリマインダーも設定できます。そうすることによって、プロジェクトの進捗状況を確実に把握できたり、ボトルネックを容易に発見できたりといったメリットが生まれます。
記事: プロジェクト計画を視覚化する 3 つの方法: タイムライン、カレンダー、ボードプロジェクトマネージャーは、与えられたプロジェクトを評価し、完成させるために PERT 図を使用します。他にもさまざまなツールがある中で、PERT 図にはどのような特徴があるのでしょうか?
まず、PERT 図は、タイムライン、必要なリソース、プロジェクトのクリティカルパスを特定する場合に適した手法です。それぞれについてもう少し詳しく見てみましょう。
タイムラインの把握: PERT 図は、個々のタスクの期間とプロジェクト全体の期間の両方を評価します。そのため、プロジェクト計画の初期段階で予想されるタイムラインを把握するのに PERT 図は最適なツールです。
リソースの特定: PERT 図の特徴は、リソースが必要なタスクとそうでないタスクを簡単に表示できることです。そうすることで、あなたとプロジェクト関係者の両方が情報を入手しやすくなり、時間を節約できます。
クリティカルパスの特定: PERT 図が他のツールと異なる大きな特徴の 1 つは、プロジェクトのクリティカルパスを特定できる点です。これは、プロジェクトの全体的なタイムラインを可視化する際に重要となります。
PERT 図の作成は、シンプルなプロジェクト計画に適した手法と言えます。この図を使って、リソースやタイムラインをチームメンバーとすばやく共有できます。
PERT とは何か、またその手法で用いられる PERT 図 (パート図) についてまとめました。解説した作成方法や例などを参考に独自の PERT 図を導入し、次のプロジェクトを確実に正しく計画するのに役立ててみてください。シンプルなレイアウトとタイムラインの見積もりにより、チームはプロジェクトタスクの方向性を明確に理解し、どのような状況にも対応できるようになります。
次のプロジェクトを一歩先に進めるためには、Asana のタイムライン機能を使ってプロジェクトの状況を追ってみましょう。