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職場で「ノー」と言って断る方法 (およびそうすべき場面)

寄稿者 Alicia Raeburn の顔写真Alicia Raeburn
2024年2月9日
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概要

相手が誰であっても、「ノー」とは言いにくいものです。職場でならなおさらです。しかし、「ノー」と言えれば、仕事量を管理しやすくなるだけでなく、集中力を保ちやすくなるほか、すでに抱えている仕事に責任感を持って取り組めます。この記事では、職場で丁寧に「ノー」と言うためのヒントを 7 つ紹介します。

新しい体験に「イエス」と言うと、わくわくします。旅行中であったり、自分にぴったりの仕事を見つけたときであったり、職場でやりがいのある仕事を与えられたときであったり、「イエス」と一言言うだけで、自分の世界が新しく、エキサイティングな形で広がっていきます。しかし、日々のワークライフにおいて、すべてに「イエス」と言ってしまうと、慌てて仕事をしたり、期日を逃したりするはめになりかねません。

少し気まずく感じることはありますが、職場で「イエス」、「ノー」と言うのはいたって普通のことです。また、そうしたことを言いやすくするためのスキルもあります。以下に、職場で丁寧に「ノー」と言えるようになる方法を紹介します。

仕事で上手に「ノー」と言う方法を知っておくべき理由

この記事を読んでまず最初に、断り方はそれほど重要だろうか?「イエス」と言って、皆が気持ちよく働ければそれでいいじゃないか?と思われる方もいるでしょう。ある意味、ごもっともな意見だと思います。仕事で八方美人的な存在になろうと思うのはごく自然なことです。私たちは、チームや上司のサポート役として働くことが多いため、上司からの依頼となると、なおさら「イエス」と言いたくなるものです。

しかし大切なのは、「ノー」と言って境界線を引く、ということです。「イエス」と言うことで短期的にはよい気分になれますが、長期的には境界線を引いたほうが「ノー」と言う本人だけでなく、周りのメンバー全員にとっても満足のいく、より生産性の高い職場環境につながるのです。「ノー」と言うべき理由は、個人的なメリット以外にもたくさんあります。

  • 不要なことを依頼された場合。誰でも自分が一番得意とするスキルを把握しているでしょう。時に、マネージャーやチームリーダーから、不要だと分かっていることや、チームの取り組みに支障をきたすようなことを頼まれる場合があります。そこで「ノー」と言うのは、自分の仕事にとっても、チームにとってもよいことであるほか、自分の担当業務をしっかりと理解していることを示すこともできます。

  • スコープクリープの発生を防ぐためプロジェクトスコープを設定するとき、プロジェクトのメンバーや他のプロジェクト関係者は、どういった成果物を、いつまでに制作する必要があるのかを決定します。担当業務の幅を広げて、他の成果物にも「イエス」と言ってしまうと、そのうち期日を過ぎて、スコープクリープを引き起こしてしまいます。

  • リーダーシップスキルを示すため。情報を的確に伝える能力は、リーダーに求められるスキルです。「ノー」と言うことで自分のキャパシティを率直に伝え、仕事量を調整することができるため、最も高いインパクトを生み出せます。それができれば、リーダーのポジションに就くチャンスも見えてきます。

  • 自分が信頼できる存在であることを示すため。直感に反するように思えますが、「ノー」と言えば、信頼を築けるのです。たとえば、タスクを引き受ける余力がないときに「ノー」と言えば、仕事を十分に整理しているからこそ、仕事量を把握できているのだと上司や同僚に示すことができます。そして、何かにコミットしたときには、きちんと仕上げてくれると信じてもらえます。

  • 燃え尽き症候群を防ぐため燃え尽き症候群と働き過ぎは増加傾向にあり、ある調査では、ナレッジワーカーのおよそ 4 人に 1 人が 1 年の間に少なくとも 4 回は燃え尽き症候群を経験しており、ナレッジワーカーの 40% が成功する上で避けられないものと考えていることがわかっています。本当は「ノー」と言いたいときまで「イエス」と言っていると、働き過ぎやストレス、放っておくと燃え尽き症候群につながるおそれがあります。

「イエス」とばかり言っていると生産性が損なわれる

また、これも直感に反するように思えますが、「イエス」と言うことで、生産性が低下することがあります。なぜなら、仕事を抱えれば抱えるほど、集中するのが難しくなり、大事な仕事も優先しにくくなるからです。以下に、チームの「イエスマン」になると、プラスになるどころかチームにとって痛手となる理由を紹介します。

  • 仕事を抱えすぎてしまったために生産性が低下し、以前よりも仕事があふれてしまう

  • 「ノー」と言わなければいけないとわかっていながら、いつも「イエス」と言っていると、不当な扱いに反感を持つようになる可能性がある。

  • 「1 つのこと」に「イエス」と言うことによって、実質的にその時間にできたはずのその他のタスクすべてに、その重要度に関係なく「ノー」と言ってしまうことになる。

  • 重要だが真っ先に終わらせる必要のない、他の誰かの優先事項に取り組むことになる。

「ノー」と言うべき場面

職場で「イエス」と言うと、自然とチームプレーヤーになった気分になれますが、以下のように、「ノー」と言った方が無難な場面もあります。

  • 忙しいとき。直感的に判断できることですが、とてつもなく忙しくなると、忙しすぎてその状況が見えなくなる場合があります。そうなる前に「ノー」と言って、仕事に押し潰されないようにしましょう。

  • もっと効果的な解決策があるとき。タスクを他の社員やチームメイトに任せるという手段は、「ノー」と言いながら仕事も片づけられる非常に便利な方法です。

  • 自分の作業に合致していないとき。「ノー」と言うことを、いつも正当化する必要はありません。プロジェクトやタスクが自分の興味や作業範囲に合致しておらず、単にやりたくないという場合もあります。優先事項でないのなら、それだけの理由で「ノー」と言っても構いません。

  • プロジェクトとかみ合わないとき。誰でも自分の専門分野の技術を修得しているわけですから、それについてはマネージャーよりも詳しく理解しているでしょう。依頼された仕事が自分の専門分野でない場合は、気軽に「ノー」と言ってしまいましょう。

  • 自分に対する扱いに、反感や怒りを覚えはじめたとき。もしかしたら「イエス」と言い過ぎているかもしれません。もっと積極的に「ノー」と言うべきサインです。

丁寧かつ社会人らしく「ノー」と言うためのヒント 7 選

私たちの多くは、「ノー」と言うことがよいことであるとわかっています。しかし、それが言いにくいことに変わりはありません。人からの依頼、特に経営陣のメンバーからの依頼をつい受け入れてしまうのはごく自然なことです。しかし、上手に「ノー」と言えるようになる方法がいくつかあります。以下のベストプラクティスを実践すれば、もっと自然に「ノー」と言えるようになるでしょう。

1. 自分の仕事量を把握する

「イエス」と言うべきか、「ノー」と言うべきかを判断する前に、現在の仕事量を把握しておく必要があります。そうすると、今他の仕事に対応できるだけの余裕があるかどうかを判断できるほか、現在の優先事項を再認識できます。そうすることで、誰かから依頼を受ける前に自分のキャパシティを把握しておけます。

すべての情報が信頼できる唯一の情報源にまとめられていれば、現在の仕事量や他のプロジェクトに費やせるキャパシティがどれだけあるかをすばやく、簡単に判断できます。プロジェクト管理ソフトウェアを使用すると、自分に割り当てられている作業を追跡し、他の関係者と共有できるため、自分に新しいプロジェクトをサポートできるだけの余裕があるかどうかを他のメンバーが簡単に確認できます。また優先度に基づいて期日を設定すると、現在の状況と今後の予定がはっきりし、時間的な余裕があるかどうか、毎日のスケジュールをしっかり確認できます。

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2. 最初にポジティブな姿勢を見せる

「ノー」と言うときは、まず最初にポジティブな言葉を伝えます。「ご提案ありがとうございます」や「貴重な機会をいただきありがとうございます」といったフレーズを使えば、今は「イエス」と言えないけれども、頼りにされていることに対する感謝の気持ちを示すことができます。誠実な姿勢を見せましょう。頼りにされることが、なぜありがたいのかを考えましょう。彼らがあなたを頼りにしてきたのは、あなたが最高の適任者だからかもしれませんし、それは彼らがあなたのことを信頼している証かもしれません。依頼に答える前に一旦立ち止まって、なぜ頼りにされているのかを考えてみましょう。それをもとに、ポジティブな答え方をするとよいでしょう。

3. 丁寧に、かつはっきりと断る

ポジティブなのはよいことですが、「ノー」と言う行為をオブラートに包むべきという訳ではありません。曖昧であればあるほど誤解されやすくなります。「ノー」と言うときは、はっきりとダイレクトに伝えて、無意識のうちにトラブルを引き起こすような誤解が一切生まれないようにしましょう。

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4. 理由を説明する

明確な理由を添えて「ノー」と言えば、個人的な理由による「ノー」ではないことを同僚やチームリーダーに理解してもらえます。「ノー」と言うのは、ちゃんとした理由があるためであり、それを共有することによって、他のメンバーとの信頼を築くことができます。マネージャーからの依頼に答えるときは、そのときに抱えている仕事を具体的に説明します。それだけで、依頼に対して「イエス」と言えない理由を理解してもらえるときもあるでしょう。そうでなければ、マネージャーは、その新しいタスクを優先して、他の作業の優先度を下げてくれるはずです。このすべてが、誤解の発生を防ぐのに役立ちます。

5. 他の解決策を提案する

何らかの説明などを添えて「ノー」と言うこともできます。現在の締め切りに間に合わせる余裕はないけれども、1 か月以内にプロジェクトを完了させられるだけのキャパシティはあるかもしれません。また、自分はそのタスクの適任者ではないと気付き、その領域のスキルがもっと高い同僚を勧めることもあるかもしれません。その場で提案できる解決策がなくても、タスクを完了させる別の方法を探すのを手伝うと申し出ることはできます。ここで大切なのは、何を提案するかではなく、サポートする姿勢を見せるということです。

6. 答えを一貫させる

ある意味、これが「ノー」と言うときの一番難しい部分です。「ノー」と言わなくてはいけないとき、特に、「イエス」と言えたはずだと感じるときは、相手に申し訳ない気がするのも当然です。「イエス」と言いたくなっても、ころころ返事を変えるのは周りのメンバーに迷惑をかけるだけです。そんなことはせず、「ノー」と言う前に、決断を左右するすべての要因について学び、自信を持って決断を下せるようにしましょう。そして、その決断をできる限り貫きましょう。

7. 相手の気持ちを理解する

同僚から、できないことや、やりたくないことを何度も頼まれるとイライラしてしまいます。いつも土壇場で仕事を足してくる上司にもイライラしてしまうでしょう。そのようにイライラしていることを相手に伝えるのもよいですが、共感する心を持つことについて学び、それを実践することも役立ちます。たとえば、その同僚は、仕事が山積みになっていても、SOS を求める方法を知らないのかもしれません。仕事が人に及ぼす影響について共感できる心を持つことで、すべての関係者がお互いを理解し合えるようになるため、コミュニケーションは改善され、必要に応じて「ノー」とも、「イエス」とも言いやすくなります。

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「ノー」と言う方法とその例

何かについてナーバスになってしまうときは、それに対処する仕組みがあると便利です。この場合は、「ノー」と言いたいときに、さっと楽に使える穴埋め式の定型文があれば対応できるでしょう。以下に紹介するサンプルを使えば、「ノー」と伝える技を実践する必要があるときに、相手に伝える内容を具体的に決められます。

全く思い付かないというときは、以下のシンプルな定型文を使って、丁寧に「ノー」と伝える文章を作ります。

ポジティブな返答 + お断り + 代替策の提案

これから紹介する文章の多くは、「すみませんが…」や「私を適任と考えてくださってありがとうございます」といった文章の別バージョンです。以下に説明するように、状況に合わせて調節できます。こうしたフレーズから使える部分を抜粋すれば、依頼者が誰であっても完璧な受け答えができます。

上司に「ノー」と言う方法

誰にとっても一番の難関となるのがこれでしょう。「ノー」と言うのが上手な人でも、相手が上司となれば状況は変わってきます。いたって普通のことですし、おそらく皆がそうでしょう。しかし、上司からの依頼を断る必要があるときの受け答え方は習得できるものです。

まず最初に、上司は、あなたが取り組んでいるすべてのタスクを把握しているとは限らないと覚えておきましょう。したがって、上司はあなたに何か頼みごとをしてきても、そのタスクをあなたの他のタスクよりも優先してほしいとは限りません。たとえば、期日が来週に迫ったプロジェクト概要の作成に取り組んでいるとしましょう。締め切りまでの時間が短いだけでなく、他部門の関係者はあなたが予定通りに概要を完成させることを期待しています。あなたの上司は、あなたが抱えている仕事量に気付かず、新しいテンプレートをいくつか編集してほしいと頼んできます。そういう場合は、今週は時間がないけれども、概要の仕事が終わったら連絡しますと、簡単に説明しておくとよいでしょう。

「面白そうなテンプレートプロジェクトですね!今は、このプロジェクト概要を完成させることに集中してますので、終わった後にぜひやらせてください。来週の水曜日にプレゼンをしてから連絡しますので、そのときに新しい期日を設定する形でよろしいでしょうか?」

上司からも「ノー」という返事が来る場合もあります。テンプレートがもっと早くに必要であれば、上司は、このプロジェクトを他のチームメンバーに任せるでしょう。

同僚に「ノー」と言う方法

同僚に「ノー」と言うのも難しいです。彼らは、チームメイトであり、友人である場合もあります。しかし、忙しい日に「ちょっと通話で話せませんか?」と言われても困らないように、やんわりと「ノー」と言う方法を習得しておくと便利です。

以下のように断るのがおすすめです。

「(name) さん、お疲れ様です!本件についてはぜひ詳しくお話させていただきたいのですが、今日はあいにく To-Do リストがいっぱいです。明日の朝一でフォローアップすることはできますか?それとも、メールで簡単にお返事できる内容ですか?」

クライアントやお客様に「ノー」と言う方法

クライアントやお客様とよい関係にあっても、限界について正直に伝えるのは難しいものです。しかし、これは、常に「オン」であることが求められる、お客様と接する役職においては特に重要です。たとえば、あなたが仕事とプライベートのバランス改善に取り組んでいるとします。すると、営業時間後にお客様から 5 分程度で答えられる内容の問い合わせがありました。その場合の返答例が以下です。

「(name)様、お世話になっております、この件についてお問い合わせいただきありがとうございます。明朝、勤務開始次第すぐにお調べいたします。」

そうすることで、勤務時間外の対応はできないという境界線を明確にします。それだけでなく、自分が時間外でもお客様にとって頼れる存在であること、そして、できるだけ早くにサポートを提供するということを示すこともできます。さらに効率よく対応したい方は、これを自動の返信メールとしてセットアップしておけば、お客様を放ったらかしにすることなく、自分のプライベートの時間も守れます。

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プライベートで人に「ノー」と言う方法

完全に境界線を引き、「ノー」と言う技を習得するには、この技をプライベートでも実践することが重要です。これもまた、非常に難しいことです。私たちは、自然と、大切な人たちを幸せにしてあげたいと思うため、最初は、「ノー」と言うことに対して、弱気になったり、ビクビクしたりするかもしれません。たとえば、友人からニューヨークで行われるバースデーパーティに誘われたとしましょう。しかし、友人のことは大切だし、行きたいとも思う一方で、誕生日にたくさんのお金と時間を費やすことに抵抗を感じてしまいます。その場合は、以下のように対応するとよいでしょう。

「それは楽しそうですね!パーティには行けそうにないですが、ぜひ別の日にお祝いしましょう。来週末、早めの時間にディナーを食べに行くというのはどうですか?

「ノー」は単なる拒絶ではありません

要するに、「ノー」と言う技を修得すれば、自信が高まり、仕事の多さに圧倒されることも減ります。上司に自分の誠実さを示せるだけでなく、チームメイトにリクエストについて今一度考え直してもらうこともできます。本記事で紹介した仕組みとヒントを活かせば、社会人らしく「ノー」と言う技を上達させることができます。

はっきり「ノー」と言うことは、効果的なコミュニケーションを生み出す要素の 1 つにすぎません。信頼できる唯一の情報源の中で、すべての関係者が作業を追跡し、進捗の最新情報を確認し、お互いにつながり合えるツールを活用することもその要素の 1 つです。

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