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デザイン思考プロセスとは、問題解決の手段を設計するための手法であり、ユーザーの観点に立って解決策を生み出すのに役立ちます。元々、スタンフォード大学の「d.school」で設計された、5 つのステップからなるデザイン思考プロセスは、曖昧な質問やより自由な回答形式の質問の答えを出すのに役立ちます。この記事では、この 5 つのステップを踏むことにより、チームが複雑な問題に対して革新的な解決策を生み出す方法について説明します。
人間である私たちは、毎日さまざまな問題に直面します。しかし、日常の問題に対して、人のニーズを優先した解決策を生み出すことはどれだけあるでしょうか?
こうした疑問から、デザイン思考プロセスが生まれました。
デザイン思考プロセスとは、問題解決の手段を設計するための手法であり、人のニーズを考慮した上で問題を定義することにより、複雑な問題の解決に取り組むことができます。デザイン思考プロセスは、特に、問題が明確に定義されていない場合や目標が曖昧な場合に効果を発揮します。
デザイン思考プロセスについて初めて執筆した人の中に、スタンフォード大学で機械工学の教授を務めるジョン E アーノルド氏がいます。アーノルド氏は、1959年に「Creative Engineering」と題した自著の中で、デザイン思考の 4 つの主な領域について説明しています。その後、彼の取り組みは、デザイン思考プロセスの発祥の地となったスタンフォード大学のハッソ・プラットナー・デザイン研究所 (通称「d.school」) で教えられています。
これが、ノーベル賞受賞者のハーバート・サイモン氏が 1969年に「The Sciences of the Artificial」と題した自著の中でデザイン思考プロセスの執筆例の 1 つを記述したきっかけとなりました。デザイン思考プロセスにはさまざまなバリエーションがありますが、同書がその基盤とされています。
デザイン思考は、非線形プロセスです。このプロセスの各ステージは、他のステップに関する情報を告げるものとなる場合があり、そうあるべきだと理解することが重要です。たとえば、ユーザーテストを行っているときには、それ以前のどのステージでも浮上しなかった問題の存在を知るかもしれません。最終ステージにたどり着いたときに、ターゲットのペルソナについてもっと詳しく知る場合や最初のプロブレムステートメントでもっと多くの問題を解決できることが発覚する場合などは、ステートメントを定義しなおして、新しい情報を含める必要があります。
デザイン思考プロセスは、延々と続く反復プロセスです。デザインチームは、ユーザーのニーズが満たされる段階で最終製品を形成したり、デザインを繰り返し適用して、異なるニーズを解決する他のバリエーションを生み出したりできます。
デザイン思考プロセスは、問題を解決するための最も直感的な手段ではありませんが、それから生まれる結果は、実行するに値します。チームのためにデザイン思考プロセスを実践する価値がある理由には、以下のようなものもあります。
私たち人間は、あえて問題を見つけようとはしません。解決すべきも問題は、いつでもたくさんあるため、発生したら解決していくというやり方に慣れています。デザイン思考プロセスを実践すると、問題をさまざまな角度から見ることになります。
デザイン思考プロセスでは、人のニーズと行動、またそうしたニーズを満たす解決策を生み出すことにフォーカスする必要があります。そのように、問題解決にフォーカスすることで、デザインチームは複雑な問題に対してクリエイティブな解決策を生み出すことができます。
デザイン思考プロセスは、サイロ化した環境では実行できません。デザイナーや将来のお客様といった関係者のさまざまな観点が求められます。ブレインストーミングセッションとコラボレーションがデザイン思考プロセスの要となります。
デザイン思考プロセスは、人のニーズに応えるクリエイティブな解決策を発見することにフォーカスします。つまり、チームは、極めて具体的で、複雑な問題に対応するクリエイティブな解決策を探していることになります。ユニークな問題を解決するなら、作成する解決策も同じようにユニークでなければいけません。
デザイン思考プロセスが反復的なプロセスであるということは、継続的に革新的なアイデアを打ち出せるということです。チームは、製品のユーザビリティを継続的に更新できるため、ターゲットオーディエンスの問題が効果的に解決されることを保証できます。
現在、ハッソ・プラットナー・デザイン研究所 (通称「d.school」) が提唱したモデルがデザイン思考の人気のモデルの一つとなっています。Google や Apple、Toyota、Nike といった大企業で効果を発揮したことが、人気の主な理由です。多くの企業は、d.school が指定した以下の 5 つのステップを実践して成功を掴んでいます。
デザイン思考プロセスの最初のステージでは、共感する姿勢で解決したい問題と向き合います。その問題が人に与える影響を正確にとらえるには、以前この問題に直面したことがある人を積極的に探します。特に、デザイン思考プロセスが人のニーズを考慮するものであることからも、まずは、どのような解決策が理想的だったと思うかを尋ねてみましょう。
共感することは、デザイン思考プロセスの非常に重要な要素です。デザイン思考プロセスにおいて、デザイナーは、目の前の状況について抱き得る憶測や無意識の偏見を一旦忘れて、他の人の立場になって考えることが求められます。
たとえば、チームが社内の従業員オンボーディングプロセスを修正するのであれば、新規採用者にオンボーディング体験の感想を聞いてみるとよいでしょう。また、在職期間の長いチームメンバーにオンボーディングを受けてもらって、新規採用者が体験することを実際に体験してもらうという手もあります。
デザイナーは、大まかにとらえた課題はあっても、解決する必要のある具体的な問題はないという状況に直面することがあるでしょう。この場合、人のニーズを考慮したプロブレムステートメントを書き上げれば、デザイナーは問題を明確に定義してまとめることができます。
プロブレムステートメントは、関連性の高い背景情報を分かりやすく説明するかたちで問題を定義するのに役立ちます。プロブレムステートメントは、この問題を解決し得る対策の実現に取り組むデザイナーの指針とすることが一番の目的です。プロブレムステートメントでは、現状と最終目標との間に存在するギャップを分かりやすく強調できるかたちで問題が定義されます。
ヒント: プロブレムステートメントは、特定の人物が持つニーズとして定義するのが一番適切です。プロブレムステートメントが具体的であればあるほど、デザイナーは人の立場になって考えたソリューションをより効果的に作成できます。
効果的なプロブレムステートメントの例:
潜在顧客が登録プロセスを完了させるのに必要なクリック数を減らす必要がある。
新規サブスクライバーがサブスクリプションを解除する割合を 10% 減らす必要がある。
Android アプリの導入率を 20% 上昇させる必要がある。
このステージで、デザイナーはプロブレムステートメントに記載された問題を解決するための解決策候補を作成します。チームと一緒にブレインストーミングのテクニックを使うことにより、2 つ目のステップで定義した問題に対して、人のニーズを考慮した解決策を見い出します。
以下は、解決策を考え出すためにチームと一緒に使えるブレインストーミング戦略の例です。
標準的なブレインストーミングセッション: チームが集まり、さまざまなアイデアについてディスカッションを行う。
ブレインライティング: 各チームメンバーが自分のアイデアを紙切れや付箋に書き出し、ホワイトボードに貼り付けます。
一番使えないアイデア: 最終目標と真逆のアイデアです。チームは、一番おかしなアイデアを考え出せば、おかしな取り組みをするメンバーが出てしまう状況を回避できます。そうすることにより、他のブレインストーミングのテクニックに見られる硬さを取り除きます。このテクニックは、こっけいな解決策の一番悪い部分を見ることにより、実際の解決策において改善の余地がある部分を特定することにも役立ちます。
ブレインストーミングの創造フェーズでは、どのアイデアも切り捨てないことが重要です。新しいアイデアからもっといいアイデアが生まれることもあるため、解決策の候補は多ければ多いほどプラスになります。さまざなアイデアを組み合わせたものが、一番クリエイティブな解決策になることもあります。
プロトタイムフェーズでは、チームは解決策候補の異なるバリエーションや安価なバージョン、もしくはスケールダウンしたバージョンをいくつか設計します。プロトタイプに異なるバージョンがあれば、チームは解決策を試し、改良することができます。
プロトタイプは、頻繁に他のデザイナーや最初にデザインを設計する部門以外の部門に属しているチームメンバー、信頼を置いているお客様、ターゲットオーディエンスのメンバーなどによってテストされます。製品のバージョンが複数あると、チームは実際のユーザーで試す前に、デザインを調整したり、改良したりできます。このプロセスでは、最終製品を使用しているテスターを記録しておくことが重要です。そうすることにより、解決策の良好な部分や変更の必要な部分について貴重な情報を得ることができます。
ティーザーを使ってさまざまなプロトタイプをテストした後、チームは製品を改善する手段として、さまざまな解決策を打ち出せるでしょう。テストとプロトタイプ作成のフェーズは、反復的なプロセスであり、デザインプロジェクトによっては、延々と続く可能性も考えられます。
デザイナーは、新製品のテスト、再確認、再設計を済ませた後に、新しい問題や別の解決策を発見したり、エンドユーザーのことを全体的にもっと深く理解できたりする場合があります。デザイン思考のフレームワークは、柔軟かつ非線形なものであるため、プロセスそのものが最終的なデザインに影響するのは全く珍しいことではありません。
チームにデザイン思考プロセスを使い始めて欲しいけど、どのようにして始めればいいか分からないという方は、以下のヒントをご利用ください。
最初は少人数で試す: プロトタイプを少人数で試すのと同じように、デザイン思考プロセスも小規模のチームで試して、チームの働きを観察します。このテストチームに小さなプロジェクトを与えれば、チームの反応を見ることができます。うまく行けば、徐々に別のチームにもロールアウトし始めるとよいでしょう。
クロスファンクショナルチームのメンバーを導入する: デザイン思考プロセスは、チームメンバーがコラボレーションを行って、一緒にブレインストーミングを実行してこそ、最高の効果を発揮します。デザイナーの主な関係者を特定し、そのメンバーたちが小さなテストチームに含まれていることを確認します。
仕事はコラボレーションに適したプロジェクト管理ソフトウェアで整理する: ユーザー調査やワイヤーフレーム、ブレインストーミングの結果など、デザインプロジェクトの重要なドキュメントは、Asana のようなコラボレーションに適したツールに保管しておきましょう。そうすれば、そのツールは、チームが取り組んでいるプロジェクトに関するすべての情報が集まった唯一の信頼できる情報源となります。
デザイン思考プロセスは、チームが協力し合うときに、一番の効果を発揮します。誤解のような単純なミスにより、プロジェクトの進行が遅れるという事態は避けたいものです。そんなことが起こらないよう、デザインプロジェクトに関する情報で、チームが必要なものはすべて Asana を使って一か所にまとめておきましょう。
Asana でチームのコラボレーションを向上