仕事上の不安とは、仕事が引き起こす不安のことです。仕事の期日の重複や、不安定な経済状況など、仕事のさまざまな状況によって引き起こされます。仕事のストレスに悩んでいるのはあなただけではありません。この記事では、仕事上の不安を上手にコントロールし、ワークライフのリズムを取り戻す方法について説明します。
職場で最近、同僚や上司などに、調子はどうですか?と聞かれたときのことを思い出してみてください。どのように答えましたか?大半の人と同じように、調子がよくなくても、「元気ですよ。そちらはどうですか?」と答えたのではないでしょうか?
本当のことを言うとしたら、「大きなプレゼンがあって心配です。家にいるときも仕事のことが頭から離れません。燃え尽きてしまっていますが、誰に助けを求めればよいのか分かりません。世の中の現状も怖くて、仕事を失わないか不安です。」といった回答になったのではないでしょうか。
仕事について感じる恐怖感や不安は、認識しにくいものです。変化の時期や先行きが不透明な時期は、特にそうでしょう。職場で恐怖心などありのままの自分を見せることなど、考えられないかもしれません。しかし、仕事関連のストレスや仕事上の不安に悩んでいる人はたくさんいます。Mental Health America が 2021 年に実施した調査によると、ナレッジワーカーの 83% は仕事で精神的に疲れ果てており、85% は、職場でのストレスがメンタルヘルスに影響すると回答しています。
そうした感情を抱くのは悪いことではなく、大切なのはそれを認識することです。しかし、仕事について心配なことがあったとしても、それに左右されたり、プライベートまで持ち込んだりする必要はありません。仕事上の不安に対処するには、まず最初にその原因について詳しく知る必要があります。そこから対処法を考えれば、生活が支配されることもなくなります。
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仕事上の不安 (または仕事上のストレス) とは、仕事が引き起こす、仕事を中心に起こる不安のことです。その内容と原因は、人それぞれ異なります。迫り来る締め切りや近々行うプレゼンに不安を感じる人もいれば、悪い企業文化や、同僚とのつながりの薄さに不安を感じる人もいるでしょう。仕事の安定性に関する懸念や組織改革、マクロ経済の状況といった、より深刻な問題が仕事上の不安を煽る原因となることもあります。
原因にかかわらず、仕事上の不安は常に仕事と職場を起点に発生します。この種の不安は、生産性が低下する、期日に遅れる、キャリアが停滞する、さらには職を失うといった、短期的な結果や長期的な結果を伴う場合があります。仕事のストレスが長引くと、燃え尽き症候群などの問題にまで発展する場合があります。
どれも深刻に聞こえますが、現実となる場合もあります。しかし、適切なツールを使えば対応できないものではありません。まずはその存在をしっかりと認識することです。
不安は誰でも感じるものです。National Institute of Mental Health によると、アメリカでは 4000 万人もの大人が不安障害に苦しんでいます。しかし、職場で不安を感じる場合、それが一般的な不安なのか、それとも仕事上の不安なのかは区別がつきにくいものです。
職場で感じる不安と仕事上の不安は同じように聞こえ、時には同じように感じられることもあるかもしれませんが、同じではありません。一番の違いは、その原因です。一般的な不安はさまざまな外的要因によって引き起こされる一方で、仕事上の不安はとりわけ仕事が引き起こすものです。仕事上の不安を示す兆候には、以下のようなものがあります。
仕事と職場を中心とし、そこに限定された不安で、仕事以外の生活には及んでいない。
働いていない時や休日には、不安が軽減される。
職場で起こったこと、または起きていることに対して生まれた不安である。
不安の社会的症状または身体的症状に苦しんでいるが、職場にいるときや仕事について考えているときに限定されている。
自分が抱えていると知らないものを克服するのは大変です。最近職場でイライラしている人や仕事に関連する身体的症状や精神的症状に悩んでいる人は、仕事上の不安を患っている可能性があります。
以下に、仕事上の不安の一般的な症状をまとめました。身に覚えのある症状がないか、確認してみましょう。自分に当てはまることを特定できれば、そこから解決策を見つけられます。
職場にいると (または仕事のことを考えると) 怒りっぽくなったり、フラストレーションを感じる。
仕事をなかなか始められない、または担当業務や期日の迫っているタスクを先延ばしにしてしまう。
仕事の通知を確認しようと考えただけで、押しつぶされそうになる、または気分が悪くなる。
外的な要因がないのに、期日を逃したり、基準以下の仕事をしてしまう。
集中できない、または仕事から気持ちが離れているように感じる。
私生活に影響が及ぶほど、近日中に予定されている仕事について心配してしまう。
仕事に行くと考えるだけでも嫌になる。または常にサンデーブルーを感じている。
仕事のストレスの直接的な結果として、寝つきが悪くなる、疲労を感じる、落ち着かなくなるといった、身体的症状が出ている。
職場で受けたフィードバックやストレスの溜まる状況に対して過剰に反応してしまう。
仕事や職場のネガティブな点にばかり集中してしまう。
仕事上の不安が起こる原因にはさまざまなものがあり、人によっても異なります。仕事上の不安はインポスター症候群や自分自身にかけるプレッシャーといった、内面的な要因が原因となる場合や職場での衝突や仕事量の多さ、市場動向といった、外的要因が原因となる場合もあります。
仕事上の不安は、その根本原因を突き止めることが克服の第一歩になります。仕事上の不安を引き起こす一般的な要因としては、以下のようなものが挙げられます。
目標や期待事項が不明確である。
仕事の安定性に関する不安といった外的要因。
上司からのサポートや透明性が足りない。
ワークライフバランスが悪く、働きすぎたり、長時間労働をしている。
いじめやハラスメントといった、職場での衝突。
同僚との関わりがない、または孤立している。
一般的な不安に悩まされていたり、社会不安障害を患っていたりして、職場で不安を感じやすくなっている。
職場での燃え尽き症候群が悪化してきている。
自分の役割で満足感が得られない、もしくは注目されていないような感じがする。
非現実的な期日や対応不可能な仕事量。
準備が不十分だと感じる近日中の作業や仕事におけるコミットメント。
職場での目的意識が足りない。
仕事上の不安には、短期的なものと長期的なものがあります。短期的なものは通常、近々プレゼンを行うなど、状況的な要因によって生まれます。一方長期的な不安は、組織改革やマクロ経済の状況といった、大規模な要因によって生まれる可能性が高いと言えます。
原因は何であれ、仕事上の不安は、職場にいるときとプライベートの両方を含め、生活にさまざまな影響を及ぼします。仕事上の不安に悩んでいる人は、自分の仕事にあまり自信を持てなくなり、より多くの役割を引き受けたり、成長の機会を求めてボランティア作業に参加したりできなくなることがあります。また仕事上の不安は自己成就的予言となる場合もあり、期日を逃すことを心配するあまり、職場で能力を発揮できなくなり、結果的には期日を逃してしまうという事態を招きかねません。
仕事上の不安は、以下のような結果を引き起こす場合があります。
仕事のパフォーマンス低下
同僚からの孤立
生産性の損失
自信の低下、インポスター症候群の発症
キャリアの停滞
仕事に対する満足度の低下
期日の超過
キャリアアップの妨害
私生活と健康への影響
人前で話すことなど、仕事上の恐怖症などを理由とした昇進の辞退
家族との夕食中にも気になってしまう未読メールや、友人と夜に外出するときにも考えてしまうタスクの期日など、誰にも仕事の心配事はあるでしょう。しかし、そうした心配事を無視できないようになると、本格的な仕事上の不安へと発展しかねません。
仕事上の不安に困っている人は、まず初めに、その不安は実在するものであり、その不安に対処するには、その存在を認め、その不安と付き合っていく方法、そして最終的にはそれを乗り越える方法を発見することが重要であることを覚えておきましょう。
自分が苦労しているのを認めるのは、難しい場合もあります。私たちは、自分の気持ちを押しのけたり、否定することを許してしまったりします。仕事を成し遂げるためにすべきことをやっている、そんなに大したことではない、などと自分自身に言い聞かせます。そうした言葉を自分に投げかけることは、パフォーマンスが重要視される仕事では不可欠だと感じてしまうことすらあります。実際、ナレッジワーカーの 40% は、成功を手にするには、燃え尽き症候群に陥っても仕方ないと考えているのです。そうような考え方こそ、仕事で頑張りすぎるという事態を引き起こすのです。
不安な気持ちは抑え込んでしまうのではなく、妥当な気持ちであると認めるようにしましょう。仕事に対して感じる不安な気持ちは、いたって普通のことだと認識し、そのまま受け入れるとよいでしょう。そうすると、解決策に向かって前進していけます。
仕事に押しつぶされそうな気分になるのは、仕事上の不安を引き起こす一般的な原因の一つです。また、「常時稼働」が当たり前となっている私たちの仕事文化において、燃え尽き症候群とインポスター症候群がナレッジワーカーを襲う「主な課題」となっているのは当然と言えるでしょう。ナレッジワーカーの 42% は、同時にその両方に苦しんでいます。また、テクノロジーのネガティブな影響も問題となっており、ナレッジワーカーの 3 分の 1 以上は、絶えず入ってくる通知の量を多すぎると感じています (「仕事の解剖学」インデックス 20222 より)。
つまり、ナレッジワーカーは、割り当てられる仕事の量が多いあまり疲れ果て、自分のパフォーマンスを不安に感じているのです。しかし、その状況は改善できないものではありません。仕事量に圧倒されているときは、マネージャーに相談し、タスクに優先順位を付けることによって効果的に時間を管理する方法を習得すれば、一番重要なタスクに集中し、重要度の低い作業は他の人に任せたり、削除したりすることができます。
自分の仕事を順調に進め、仕事上の不安を和らげるのに便利なタイムマネジメント術はたくさんあります。以下に、私たちのお気に入りをいくつか紹介します。
アイゼンハワーマトリクスを使って、タスクに優先順位を設定する。
類似するタスクをグループ化し、小さなタスクは会議の間に行うようにする。
より生産的な一日になるよう、タイムブロッキングを使ってスケジュールを立てる。
「カエルを食べてしまえ」タイムマネジメント術を活かして、午前中に大きなタスクに取り組む。
ポモドーロテクニックを使って、作業を取り組みやすい量に分割する。
押しつぶされそうな気分になるときと同様に、仕事が整理できていないと感じる (または実際に整理されていない) と、仕事のパフォーマンスに大きく影響します。仕事を整理できていないナレッジワーカーは、期日を逃したり、重要なタスクを見落としたりして、ストレスや不安を感じるようになる可能性が高くなります。さらに、机が整理できていないと集中できない場合もあるため、きちんと整理した To-Do リストを用意するだけでなく、作業スペースを綺麗にして、整理することも重要になります。
仕事上の不安を和らげるために実践できる仕事の整理方法はたくさんあります。以下に、その例をいくつか紹介します。
机を整理して片づける。
実際に機能する To-Do リストシステムを作る。
Getting Things Done (GTD) メソッドを使って、タスクを追跡する。
集中の邪魔になるものを取り除き、集中力を保つ方法を身に付ける。
週間業務計画と 1 日のスケジュールを作成して、作業の計画を立てる。
仕事上の不安は、結果を出さなくてはいけないというプレッシャーを感じながらも、何をすればよいのか (またその期日が) 分からないという状態から生まれることが多々あります。そこで便利なのが、プロジェクト管理ツールです。すべてのタスク、期日、次のステップを 1 か所で可視化すれば、こなせない仕事量ではないことが見えてきます。仕事量が多すぎる場合でも、必要に応じて優先度や作業スケジュールを変更できます。
現代の仕事文化によって仕事と家庭の境目はあいまいになり、コロナ禍が引き起こしたリモートワークへの移行によって、自宅での生活と職場の境界線はさらにわかりにくくなってしまいました。実際、「仕事の解剖学」インデックス 2022 では、ナレッジワーカーの 37% が 1 日の開始時刻と終了時刻がはっきりと決まっていないと答えています。また、ナレッジワーカーの 3 分の 1 以上が去年よりもメールをチェックするのに費やす時間や勤務時間外に仕事のことを考える時間が増えたと回答しています。結果として、ナレッジワーカーは、勤務時間と勤務時間外の境目を明確に設定できず、働きすぎてしまったり、ワークライフバランスを失ったりしています。
勤務時間外のワークフリーな時間を確保するには、明確な境界線を引き、それを守ることが欠かせません。またそれは、仕事上の不安を減らすことにも役立ちます。明確な境界線の引き方の例として、以下のようなものがあります。
余裕がないときは、依頼を断る。
休暇を取り、仕事を忘れて充電する。
仕事量に圧倒されているときは、そのことを上司やチームに伝える。
「オン」と「オフ」の時間を具体的に設定し、それを守る。
オフラインのときは通知をオフにする。
スマホやその他の私用デバイスから仕事関連のアプリを削除し、メールのチェックは勤務時間中にのみ行う。
効果的な時間管理戦略と整理のテクニックを実践するだけで、仕事のリズムを取り戻し、仕事上の不安を減らすことができる場合があれば、上司と自分の仕事量について相談するなど、もう一歩踏み込んだステップが必要になる場合もあります。
複数の締め切り日が重なって押しつぶされそうな気持ちになったり、どの作業を優先すべきなのかよく分からない場合などは、自分の仕事量を見直す必要があるかもしれません。そうした場合は、自分の仕事量を減らすことについて上司と率直な話し合いをすることが重要です。
自分の仕事量が多いという話を上司にするのは気が引けるかもしれません。少ない労力で多くを成し遂げようとするような職場では、なおさらでしょう。その会話が、自分自身や自分の能力のイメージダウンにつながるのではないかと心配になっても不思議ではありません。上司に相談するときは、自分が感じているストレスとその解決策を見つけたいという気持ちを中心に会話をまとめます。自分が苦労している事柄を明確に伝え、解決策を提案することによって、自分の心配事を効果的に伝えることができれば、相手の共感を得られるだけでなく、ただ単に仕事量を減らそうとしているのではないと理解してもらえます。
自分の仕事量に関する不安についてマネージャーと話し合った後は、二人で一緒に現実的で達成可能な期日を設定しましょう。以前に設定した目標と期日を見直し、可能であれば調整します。
以下に、現実的な目標と期日をマネージャーと一緒に設定する方法をいくつか紹介します。
SMART な目標を立てる。
優先度マトリクスを使って、一番重要な作業を明確にする。
重要でない、もしくは他の誰かができる作業を他の人に任せる。
複数のプロジェクトに取り組む際は、目標と担当業務を理解する。
短期目標を設定して、大きな目標を取り組みやすいタスクに分割する。
メンタルヘルス休暇とは、その名の通り、メンタルヘルスに集中する日です。体調が良くないときに病欠を取るのと同じように、燃え尽き症候群や仕事上の不安の症状に悩んでいるときは、メンタルヘルス休暇が効果的です。
メンタルヘルス休暇として使える日がすでに設けられている会社もあれば、有給休暇や病欠を使うことを奨励している会社もありますので、休暇を取る前に必ず会社の方針を確認しましょう。そして、自分に合った方法でリラックスし、エネルギーを充電しながら 1 日を過ごします。メンタルヘルス休暇を取った後も気持ちが落ち着かなかったり、仕事に復帰することを不安に感じるのであれば、それは深刻な燃え尽き症候群もしくはメンタルヘルスの別の問題の兆候かもしれません。
仕事上の不安と一般的な不安は異なりますが、類似の症状が見られることが多いため、不安解消法を実践することで短期的にストレスを和らげることができる場合があります。仕事上の不安を完治するものではありませんが、押しつぶされそうな気分を和らげるのに必要な安心感を与えてくれます。
仕事上の不安が起きた場合に効果的な対処法には、以下のようなものがあります。
深呼吸をする
長めの散歩をする
心を落ち着かせてくれる言葉を繰り返す
コンピューターや仕事から離れて、休憩を取る
不安な気持ちを認識し、認め、妥当なものと受け止める
マネージャーと話し合い、仕事量を調整し、整理しても、まだ仕事上の不安が解消されない場合は、社内に役に立ちそうなリソースがないか確認しましょう。コーチングやセラピー、従業員支援プログラム、キャリア開発コースといった、役に立ちそうな従業員向けの補助がないか、福利厚生チームや人事チームに問い合わせてみましょう。
人によってはキャリアが停滞していると感じることが仕事上の不安につながることがあります。その場合はキャリアの目標を立てたり、サバティカル休暇といったキャリアアップの支援を活用したりすれば、キャリアに対する情熱を蘇らせることができ、仕事から離れる気持ちを元に戻せます。メンターを見つけることや、ウェルネスプログラムの活用が効果的な人もいるでしょう。社内で提供されている支援などを確認してみましょう。
この記事で紹介したヒントを試しても、まだ仕事上の不安が解消されない (または悪化している) という場合は、さらなるサポートを求めるべきかもしれません。仕事上の不安は放っておくと全般性不安障害やうつ病といった、さらに深刻なメンタルヘルスの問題に発展する可能性があります。
以下のような兆候が見られる場合は、仕事上の不安がさらに深刻な健康上の問題に発展している可能性があります。
不安な気持ちが私生活および私生活での人間関係に影響しはじめている。
解消法を実践しても、不安な気持ちが解消されず、安心感を得られなくなった。
必要だと感じる休暇の量が増えたにもかかわらず、仕事に復帰するときは、リフレッシュできた気も、モチベーションが戻った気もしない。
仕事上の不安が身体的健康に影響するようになった。
絶えず期日を逃してしまう、タスクを完了できないなど、職場で業務をこなせなくなった。
このような症状に心当たりがあるという方は、今後の対応について上司やメンター、人事部などに相談しましょう。
仕事上の不安に対処するのは容易なことではありませんが、打ち勝てないものでもありません。適切なツールとテクニックを活かせば、仕事の不安と向き合い、最終的には完全に克服できるようになるでしょう。
仕事の心配事は誰もが抱えていますが、放っておくと本格的なものへと発展していきます。幸い、ワークマネジメントツールがあれば仕事の心配事はコントロールできます。Asana がチームにとって信頼できる唯一の情報源となることで、すべてのプロジェクトにおいて透明性が生まれ、今後の仕事が整理されるため、大切な作業にもっと集中できるようになり、仕事上の不安を引き起こすような余計な作業は気にしなくてよくなります。仕事上の不安は Asana にお任せください。
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