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この記事では、ビジネス用語として広く使われる「見える化」の意味を解説し、そのメリットと適切に取り組むためのポイントを紹介します。正しい「見える化」は企業活動の成長と成功に不可欠といっても過言ではない重要事項です。見える化はどのように実現できるのか、この記事を参考にしてみてください。
更新: この記事は、見える化の注意点に関する記述を含めて 2022年 12月に改訂されました。
「見える化」という言葉は現在のビジネスシーンで広く使われていますが、その意味を正しく理解していますか?よく混合される言葉に「可視化」がありますが、その違いを知っていますか?経営戦略の見える化、進捗管理の見える化、工数管理の見える化、業務の見える化など、さまざまな場面で使用される「見える化」ですが、この取り組みを正しく進めていくことによって企業や組織、プロジェクトには多くのメリットがもたらされます。ここでは、見える化とは何か、そのメリットを解説し、適切に実施するにあたってのポイントもご紹介します。
Asana で生産性を高める見える化とは、経営戦略やプロジェクトのステータス、日々の業務状況などの企業活動に関する情報を把握、共有して、正常な事業の推進を目指す取り組み、管理する手法のことを言います。
ビジネスにおいて、課題やトラブルはつきものです。しかし企業活動の現状や進捗を「見える化」することで、そういった問題を未然に防げるよう対策をとったり、発生した場合も迅速に対応し解決策を打ち出すことができるようになります。
このビジネス用語を初めて使用したのは、トヨタ自動車の岡本渉氏だと言われます。1998年に発表された彼の論文『生産保全活動の実態の見える化』で登場する「見える化」は、生産現場で当時用いられていた「アンドン」(生産ラインの異常を知らせるランプ) を使用した手法のことを指しており、「目で見る管理」と呼ばれました。この方式を原点とした製造現場における見える化は、徐々に別のビジネスシーンでも応用されるようになり現在に至ります。
昨今「見える化」は、事業戦略やプロジェクトマネジメントなどさまざまな場面で用いられています。もともとトラブルを確認したらランプを点灯するという、いわばアナログ手法だった見える化は、こういった使用場面の多様化に伴いデジタル化し、見える化をサポートするツールも登場しています。
見える化と共によく聞く用語に「可視化」があります。見える化と可視化は、どちらも「見えるようにする」ことがベースとなっているため混同されがちですが、本質的な意味は異なります。
まず可視化とは、見えなかったものを見えるようにすることです。たとえば、日本社会において少子化問題の重要性は長い間議論されていますが、実際のデータを見ないとピンとこない人も多いのではないでしょうか?そこで、ここ 50 年の出生数をグラフにまとめる。これが、可視化です。ビジネスにおける可視化とは、たとえば個々の営業成績を一覧にまとめて部署内で共有することなどが挙げられます。目に見えない情報やデータを文字や数字、グラフなどにまとめ、目に見えるようにするのが可視化と言えます。
一方、見える化はその可視化から一歩進んだ取り組みです。たとえば、前述の営業成績を見たチームリーダーが、成績の振るわないメンバーと 1on1 ミーティングをする。もしくは、チーム全体のレベル向上のため、メンバー全員を集めてブレインストーミングを開く。情報を把握し共有するだけでなく、その情報を元に現状を改善し、事業やプロジェクト、タスクを成功へと導くための取り組みを行うのがこの「見える化」なのです。
無料のチームブレーンストーミング用テンプレート先述のとおり、見える化はもともと製造業で生まれ、培われてきた管理手法です。そのノウハウが他の業種や分野で広く採用され、その重要性が注目を浴びている理由は、見える化がビジネスの成功に大いに役立つからにほかなりません。では、見える化には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ビジネスの成功と組織の強化
チームの成長とコラボレーションの改善
個人のマネジメントスキルの向上
DX の実現
まず第一に挙げられるのが、ビジネスの成功と組織の強化です。
すでに述べたとおり、見える化がもたらす恩恵はダイレクトに事業活動の円滑な推進につながります。単なる可視化にとどまらない取り組みを行うことで改善すべきポイントを把握し行動に移せる点は、見える化の特徴のひとつであり、メリットです。
成功へのカギとなるノウハウや知識は、もしかしたら組織内の個人やナレッジワーカーしか持っていない可能性もあるでしょう。そういった「目に見えないもの」を見えるようにして把握、共有、そして改善のためのヒントとして用いることが重要です。またこういった取り組みは組織内に確固な共通認識を生むためにも有効で、その共通認識を通して組織はさらに強化されていくのです。
見える化はビジネスそのものだけでなく、その中にあるチームや個人レベルでの成長も促します。
大規模なプロジェクトを運営するには、前述のような共通認識はもちろん、プロジェクトの進捗や現状把握、問題点、リスクなど、チーム内で共有し改善していかなければならないポイントが多くあります。たとえば業務プロセスや進捗管理が見える化されていなければ、チーム内の認識にズレが生じてしまうでしょう。責任の所在やステータスの把握、業務の依存関係はもちろんのこと、各従業員が日々行う業務やタスクがプロジェクトにどのように影響しているのかなど、プロジェクトを適切に見える化することで、チームがひとつになり成功へと進んでいけるわけです。
このとき、チーム内の円滑なコミュニケーションが不可欠となります。チームをまたいだ大規模なコラボレーションプロジェクトならなおさらでしょう。部署が違うからと言ってスムーズなコミュニケーションに問題が起こらないよう、チーム間コミュニケーションには十分に配慮する必要があります。
見える化は、日々の業務においても採用されるべき取り組みです。最近の調査では、作業時間の約 60 % が「仕事のための仕事」に費やされているということがわかっていますが、このような状況はストレスを生み、効率的な仕事はできません。ストレスフリーかつモチベーションの上がる環境で仕事をするには、まず毎日行っている実際の各作業にどのくらいの時間を費やしているのか、見える化しましょう。個人が適切にタイムマネジメントやタスク管理を行えていることは、結果的にチームの成長、ビジネスの成長につながります。そのとき、ただ単に業務効率化を目指すだけでなく、自分の仕事がチーム目標やビジネス目標にどう関係しているのかもしっかりと理解していることが重要です。
電子書籍をダウンロード: ワークマネジメントとは?チームがワークマネジメントを必要とする理由デジタル技術を活用した事業の変革と新しい価値の創造を目的とする DX (デジタルフォーメーション) は、企業が取り組むべき活動として注目されています。この DX のステップのひとつは、業務のデジタル化です。そのため、情報やデータをデジタル化し「見える化」することは、DX 実現のための取り組みとして重要視されています。
では、実際に見える化に取り組むにはどうすればいいのでしょうか。5 つのポイントをご紹介します。
事業レベルの見える化は、経営者や上層部が率先して全体を牽引していく必要があり、そのための意識改革は必須と言えます。見える化の重要性と必要性を正しく理解し、導入と実施を積極的に推し進めていけば、より効率的に実現することができるでしょう
見える化を推進していくには、まず現状を把握することが先決です。現状を整理して、何が見えていないのかを洗い出します。そしてそこから、何を見える化するのか、その対象を特定しましょう。
見える化は一度マニュアル化すると効率的です。情報を開示し共有、課題の早期発見、迅速な解決策の実施は、見える化する対象によって詳細は異なっても大きな枠組みは似ています。プロジェクトやタスクレベルならなおさらなので、マニュアル作成をして、スムーズな見える化を進めましょう。
見える化は一朝一夕で実現できるものではありません。先述のとおり、トップ層の意識改革や企業文化の改革も必要になってきます。そこで大切なのが、見える化を実際に行うための環境やシステムを整えることです。一部の人間が「見える」だけでは適切な見える化とは言えません。現場にいるメンバーを含めた企業全体が見える化を実感できるような仕組みづくりは必須となります。
記事: ECRS とは何か?業務最適化へ向けた「改善の 4 原則」をわかりやすく解説上記すべての項目に関するポイントとして、マネジメントツールの導入があります。すべてをゼロから始めようとすると、先述の「仕事のための仕事」が増えてしまいます。そういった状況を避けるため、社内全体で共有でき、かつ直感的で使いやすいツールの導入が効果的です。その際、テンプレートが多ければより効率も上がるのでおすすめです。
働き方改革が進み、またリモートワークやハイブリッドワークなどの新しい働き方の登場により、業務の見える化はますます注目を浴びています。しかしその推進は決して簡単ではなく、いくつか注意すべきポイントがあるのも事実です。
次のような注意点を考慮しながら、見える化を進めましょう。
見える化を「目標」にしない
見える化は、業務の効率化を実現するための手法です。その本質を見失うと、見える化自体がゴールのように勘違いをしてしまうことも多くあります。あくまでタスクやプロジェクト、企業活動全体の効率性、生産性を向上するためのツールであることを忘れないようにしましょう。
見える化すべき対象を明確化する
闇雲にすべてを見える化するのは生産性に欠けてしまうので、ビジネス目標やチーム目標とも擦り合わせ、何を優先的に扱っていくのかを決定することが大切です。
コストがかかる場合もある
見える化を実現するには、リソースの獲得やツールの導入など、一時的なコストがかかるケースもあるでしょう。しかし見える化は、無駄が生まれる業務の発見や仕事の生産性向上につながる考え方です。初期段階のコストにとらわれず、未来を見据えた見える化に取り組みましょう。
見える化とは何か、そのメリットと適切に取り組むためのポイントをまとめました。
見える化は可視化とは違います。ただ見えるようにするだけでなく、そこから改善や課題解決のために行う取り組みです。DX の実現にも重要とされ、また個人、チーム、ビジネスレベルの成長も期待できる見える化をぜひ推進していきましょう。その際は、適切な見える化を実現できるマネジメントツールの導入を検討するのも忘れないようにしましょう。
Asana は仕事を見える化できるプラットフォームです。プロジェクトマネジメント、日々のワークマネジメント、スケジュール管理など、すべてをひとつの場所で行うことができます。