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戦略実施とは、戦略計画を実行に移すプロセスのことです。売上向上のために新しいマーケティング計画を実行する場合でも、効率化のために新しいワークマネジメントソフトウェアを導入する場合でも、計画は実行してこそ価値を発揮します。この記事では、戦略実施時の落とし穴と、それを回避する方法をご紹介します。また、このプロセスに関連するさまざまなフレームワークを確認して、成功に向けて準備を進めていきましょう。
戦略実施は、戦略管理プロセスの 4 番目のステップであり、戦略計画を実行に移すステップです。たとえば、売上向上のために新しいマーケティング計画を実行したり、社内チームの効率を高めるために新しいワークマネジメント (業務管理) ソフトウェアを導入したりといったことが考えられます。
戦略計画を立てることは素晴らしいことですが、計画を実行するためのキャパシティ、リソース、サポートがなければ、組織に実際の変化をもたらすことはできません。
今回は、戦略を実施する際に陥りやすい落とし穴やそれを回避する方法など、戦略実施の重要なステップを説明し、現在取り組んでいる戦略を成功に導くフレームワークをご紹介します。
戦略を実行に移す前に、戦略計画を作成しなくてはいけません。
戦略計画や実施計画は、チームや組織が目標や目的を達成するために必要なステップを示したものです。実施計画は、戦略実施を成功させるためのロードマップであり、以下のようなステップを含む必要があります。
目標を明確にする
適切なリサーチを行う
リスクを洗い出す
すべてのマイルストーンの予定を立てる
タスクを割り当てる
役に立つリソースを割り当てる
戦略計画が決まったら、実行に移しましょう。戦略実施を成功させるためには、6 つのステップを踏む必要があります。
最初のステップは、戦略計画と戦略実施の両方に関わります。
新しい戦略を実施するためには、まず、明確で達成可能な目標を明らかにしなくてはいけません。目標には、ビジョンやミッションステートメント、長期目標、重要業績評価指標 (KPI) などが含まれます。
目標が明確であればあるほど、チームや組織にとって、残りの戦略実施過程が容易になります。なぜなら、全員が同じ目標に向かって働けるようになるからです。
何事も、コミュニケーションが大切です。目標が明確になったら、目標管理ソフトウェアを使って、チームメンバーに戦略を伝えましょう。
Asana で目標を設定し、達成する戦略を効果的かつ効率的に実施するためには、集中力を高め、責任範囲を明確にする必要があります。実施プロセス全体を通じてチームのエンゲージメントを維持するには、いくつかの方法があります。
効果的に仕事を任せる。すべてに目を配るべきだと思うかもしれませんが、マイクロマネジメントはチームの足手まといになります。一人ひとりの役割と責任を明確にしたら、チームに任せて、実施計画に沿ってタスクが実行されていくのを見守りましょう。
チームとコミュニケーションをとり、一人ひとりの仕事がプロジェクトにどのように貢献しているかを全員が把握できるようにしましょう。そうすることで、全員のモチベーションを維持し、仕事を順調に進めることができます。
チームが戦略計画を実行に移せるように、戦略予算や業務予算など、必要なリソースを割り当てましょう。適切なリソースがなければ、戦略計画を達成することはできませんので、これは最優先事項です。ここでは、チームに必要なリソースを確保するための方法をご紹介します。
プロジェクトの目標、主要な成果物、マイルストーン、タイムラインを効果的に調整するために、目的を念頭に置いて開始する。
チームのキャパシティ、利用可能な予算、必要なツールやスキル、その他の特殊なリソースなど、使用できるリソースを特定する。
プロジェクトスコープを明確に定義し、プロジェクトにいつ何が必要なのかを正確に把握する。
ワークマネジメントツールを使用して、導入プロセスに関わるすべての人とプロジェクト計画を共有する。
戦略計画がしっかりと構築されていればいるほど、実施が容易になります。
記事: 7 つの戦略計画モデルと計画プロセスをスタートするのに便利な 8 つのフレームワーク戦略を実施していくと、どうしても問題が出てきます。そのような場合は、目標やアプローチを変更して、問題を回避しましょう。
スケジュールを作成して、目標や実施戦略の変更の状況を頻繁に更新できるようにしましょう。実施する戦略に応じて、週、月、または四半期ごとにプロジェクトステータスレポートを作成します。そして、この最新情報を外部関係者や社内のチームと共有し、必要な情報を全員に伝えましょう。
信頼できる唯一の情報源があれば、チームにプロジェクトの状況をリアルタイムで報告でき、このプロセスを効率化することができます。Asana のワークマネジメントソフトウェアは、チームがプロジェクト、タスク、プロセスをリアルタイムに調整することを可能にします。また、非同期に仕事を進めることも可能で、誰が何をしているかを理解するために必要な可視性を全員に提供します。
Asana のワークマネジメント機能を試す戦略を実施したら、関係者全員と連絡を取り、仕事が完了したことを確認します。戦略の実施は、最後のピースをはめて終わるパズルのようなものではなく、庭に植物を植えるように、仕事が終わったと思っても成長し、変化し続けるものなのです。
チームが一段落つけることは、戦略導入の最後から 2 番目のマイルストーンであり、戦略実施の完了に向けた重要なステップとなります。
ポストモーテムまたは振り返りを行い、実施した戦略を振り返り、実施プロセスや戦略自体の成功を評価します。このステップでは、次のプロジェクトや戦略に役立つ教訓を明らかにし、潜在的な落とし穴を回避し、将来的に新しい機会を受け入れることができるようにします。
記事: プロジェクトのポストモーテム会議を成功に導く 6 つのヒントどんなに考え抜かれた戦略であっても、その戦略を成功させるためには、以下の 5 つの重要な要素が必要です。
実現したい戦略を理解しているだけでなく、それをサポートできるスキルとキャパシティを備えたチームが必要になります。そのためには、適任者を任命、雇用、そして訓練し、成功に必要な能力をプロジェクトチームに確保します。
効果的なリソース配分は、戦略実施において最も重要な要素です。リソースには、財務的なもの (人件費など) と非財務的なもの (戦略を実施するための時間など) があります。
組織の全員が自分の責任を把握し、戦略の実施における自分の役割に責任を持てるようにする必要があります。また、実施プロセスにおいて誰に連絡を取ればよいかを全員が把握できるように、命令系統を定義し、伝達しなければなりません。
導入されたツール、機能、システムも重要な要素です。これらのシステムがどのような機能を持っているのか、また、実施時および実施後の戦略管理プロセスをどのようにサポートするのかを把握する必要があります。
最後の重要な要素は、企業内の組織文化です。新しい戦略を展開すると、チームは混乱し、ストレスを感じることがあります。実施を成功させ、効果的なものにするために大切なのは、全員が必要な情報を把握し、自分の価値を認められて、チームの一員として受け入れられていると感じることができる環境を作ることです。
記事: チェンジマネジメントとは?成功するチェンジマネジメントプロセスを構築する 6 つのステップ世界的に有名な経営コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーは、戦略を成功させるために必要な 7 つの要素というフレームワークを作成しました。
その要素は、ハードな要素 (戦略、組織構造、システム) とソフトな要素 (共通の価値観、スキル、スタイル、スタッフ) に分けられます。ハードな要素は識別しやすく、直接影響を与えることができますが、ソフトな要素は目に見えず、一般的には上司やその他の直接的な関係者ではなく、企業文化に影響されます。
それでは、マッキンゼー社の 7S モデルをハード要素から順に見ていきましょう。
戦略: 同業他社に対する競争優位性を確立または維持するための組織の計画
構造: 自社の組織構造
システム: チームが行う日常的な手順や活動
フレームワークのソフトな要素は次のとおりです。
スタイル: 組織におけるリーダーシップのスタイル
スタッフ: チームとチームの一般的な能力
スキル: チームのコンピテンシー (行動特性) とスキル
共通の価値観: 組織のコアバリュー
このフレームワークを戦略実施プロセスに適用するには、まず組織の共有価値観に目を向け、それがハードな要素と一致していることを確認します。次に、ハードな要素がどの程度お互いをサポートしているか、どこを変えればその相互作用を改善できるかを特定します。ハードな要素が確立されたら、ソフトな要素についても同様に分析しましょう。
この分析により、うまく機能している要素と、改善が必要な要素を特定することができます。このフレームワークを戦略計画と戦略実施プロセスに適用することで、組織がどれだけうまく変化を実施できるかを把握することができます。
ビジネスコンサルタントであり作家の Scott Edinger 氏は、戦略を実施するための 3 つの C、すなわち、「Clarity (明確さ)」「Communication (コミュニケーション)」「Cascade (連鎖)」を提唱しています。戦略実施を成功させるためには、この 3 つのステップを押さえておく必要があります。
この 3 つの C が何を表しているのか、詳しく見ていきましょう。
戦略を明確にする。戦略が役員会議で好評を博し、関係者や経営陣が賛同してくれるのが、理想的な結果です。しかし、戦略が明確に定義されていなければ、途中で中堅や最前線で働くチームメンバーの興味を失う可能性があります。チームは理解した戦略しか実行できないので、目標や戦略的目的を明確にしておきましょう。
戦略を伝える。新しい戦略を組織に伝えるには、ポスター、お知らせ、ニュースレターだけでは不十分です。多様なコミュニケーション戦略を駆使して、チームが何が起こっているのかを確実に把握し、質問する機会を設けることで、全員がプロセスに参加していると実感できるようにしましょう。
戦略を波及させる。うまく実施された戦略は、順々と組織全体に伝わります。組織のマネージャーを巻き込み、戦略を理解してもらうことで、関連する情報、戦術、プロセスをチームに伝えられます。「戦略を伝える」段階で組織への情報提供を行っていても、チームメイト全員が新しい戦略に関して認識を一致させるために非常に重要なステップなので、必ず行いましょう。
次に、戦略実施時に直面する課題について説明します。
新しい戦略の実施のような大仕事には、それなりの問題がつきものです。ここでは、戦略を実施する際に直面する最も一般的な 4 つの落とし穴と、チームのために解決策を生み出すためのヒントをご紹介します。
問題点: 戦略実施に意味や可能性が欠けていたり、検討すべき要因が圧倒的に多かったりすると、実施に大きな支障をきたします。
解決策: SMART な目標を使って、戦略計画が具体的で、測定可能で、達成可能で、現実的で、期限付きであることを確認しましょう。このフレームワークにより、戦略計画が有意義で、実行可能なものとなります。
問題点: 戦略計画を立てるのは素晴らしいことですが、リソースや経営上層部のサポートがなければ、実施に移すことはできないかもしれません。
解決策: 戦略計画には、明確な目標、結果、要件を盛り込み、戦略を実際に実施するように促す必要があります。文書が明確であればあるほど、それを実行に移すために必要なリソースを得ることが容易になります。
問題点: 戦略が何であるかを 100% 理解していないチームや、それぞれのタスクに自信を持てないチームがあると、実施プロセスが始まる前につまづいてしまう可能性があります。
解決策: 各チームメンバーの責任を明確にし、任せられる仕事は委任しましょう。これにより、チームメンバーは戦略実施の結果に対する責任感を持てます。チームメイトが自分のタスクを実行するために必要な権限とリソースを持っていることを確認しましょう。
マーケティング戦略の無料テンプレート問題点: 可視性が低く、責任範囲が定まっていないと、チームは無力感に苛まれます。
解決策: 戦略レビューとチームミーティングを定期的に開催し、各チームメンバーの進捗状況、発生した問題、実施の成功に貢献できる戦略の変化などについて話し合いましょう。進捗状況を把握することで、達成した目標にチェックを入れるたびに、チームは達成感を得ることができます。
このように、課題を認識していれば、その課題に正面から取り組むことができ、不要な障害を避けることができます。
変化は簡単なことではありませんが、チームの成長に重要なのは、組織も一緒に成長することです。
少人数のプロジェクトチームで戦略計画を練っていても、すでに組織全体に戦略を伝えていても、全員が必要なリソースにアクセスできるようにするには、信頼性の高いプロジェクト管理ソフトウェアが不可欠です。
そして、戦略実施が成功したら、自分自身とチームを褒めることを忘れないでください。このようなマイルストーンを祝うことも大切なのです。
Asana のプロジェクトマネジメント機能を試す出典: ハーバードビジネススクール| MindTools | OnStrategy