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この記事では、レピュテーションリスクの基礎知識についてわかりやすく解説します。レピュテーションリスクの意味や発生する原因とその影響、予防策、対処法などを事例付きで詳しくまとめるので、参考にしてみてください。レピュテーションマネジメントについても触れています。
更新: この記事は、レピュテーションリスクの測定方法に関するさらに詳しい記述を含めて 2024年 2月に改訂されました。
企業活動を行うにあたって、世間での会社の評判は、その信用やブランドイメージに大きく影響を与える要因のひとつです。そこで重要となるのが、レピュテーションリスク。こちらの記事では、このビジネス用語について詳しく解説していきます。
レピュテーションリスクとは、企業や製品の評判が悪化するリスクのことです。他にも「評判リスク」や「風評リスク」とも言われます。
ここで言う「評判」は、企業、組織、会社のそれだけでなく、その商品やサービスに対するものまでを含んでいます。レピュテーションリスクは顕在化してしまうと企業経営にネガティブな影響が発生してしまいます。そのため、企業活動を行うときは軽視せず、しっかり管理を行うことが推奨されます。
記事: リスクマネジメントの基本と 6 つのステップを徹底解説レピュテーション (reputation) の意味は「評判」や「名声」「世評」「信用」です。ビジネス分野では企業やその商品の評判や信用を意味しますが、IT 分野ではコンピューターセキュリティにおいて、悪質なファイルやサーバーを判断する仕組みのことを指す用語です。
レピュテーションリスクの顕在化を防ぐためにまず企業がやるべきことは。世間における自社の評判を把握しておくことです。普段から自社の評判を把握することで、リスクが高まりつつある場合にも迅速に対策を立てることができるようになります。では実際に、レピュテーションリスクを把握する方法、その測り方にはどのような種類があるのでしょうか?代表的なものは、次の 3 つです。
報道調査: 新聞や雑誌、メディアなどで実施されるランキングを基に調査する方法です。
SNS 調査: Twitter や Facebook といった SNS で自社名を検索し調査する方法です。
アンケート調査: 従業員や取引先、顧客に対してアンケートを取り調査する方法です。
もちろんすべてを把握することが一番ですが、特に情報が拡散しやすい SNS は常に把握しておくべきメディアだと言えます。
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ネガティブな影響を与えるレピュテーションリスクですが、具体的にどのような影響があるのでしょうか?一般的には、以下に挙げる 3 点がレピュテーションリスクがもたらす影響だと言われます。
企業価値、収益が失われる
社会的な信頼回復、信用回復に多大な労力がかかる
人材リソースが集まらなくなる
一度でもレピュテーションリスクが顕在化してしまうと、上記のような悪影響が発生します。特に企業としての社会的信用の失墜は、一朝一夕では取り戻せない事態だと言えるでしょう。社会的信用が低下してしまうと、これからその企業で働きたいと思う優秀な人材が集まりにくくなるという負の連鎖も起こってしまいます。そういった状況に陥らないためにも、経営者や企業側はレピュテーションリスクをしっかりと管理することが大切なのです。
X (旧 Twitter) や Instagram などの SNS で即座に情報が拡散される昨今。レピュテーションリスクは瞬時にしてその企業の活動そのものを脅かす恐れがあります。レピュテーションリスクの事例をいくつか挙げてみましょう。
【事例 1】某ピザチェーンを運営するフランチャイズ店で、アルバイトスタッフのバイトテロ行為 (勤務先の備品や商品で悪ふざけをし、その様子を SNS などで投稿し炎上する行為) がネット上に投稿され、拡散、炎上。本部が謝罪するも信用回復には至らずに破産に追い込まれた。
【事例 2】ある企業で顧客情報が流出。請負会社の社員がその情報を転売していたことが発覚し、取締役 2 名が引責辞任。信頼が低下し、顧客離れが進み経営が赤字に転落した。
【事例 3】某居酒屋チェーンで、優良誤認表示 (実際のサービスや商品よりも優れていると消費者に誤認させる表示) が判明。消費者庁より課徴金支払いの措置命令が下った。
事業を続けていくために重要な要素「レピュテーションリスク」ですが、そもそもなぜレピュテーションリスクは発生するのでしょうか?対策を考えるためには、まず何に起因するのかを知る必要があります。
レピュテーションリスクが顕在化する原因としては、以下が挙げられます。
コンプライアンス違反
内部告発
従業員による不祥事
顧客ユーザーや取引先、パートナーからの評判
デマ、風評被害
それぞれについて、詳しく見てみましょう。
国や自治体が定める法令や就業規則などの法律を守ることは、企業にとって義務です。働き方改革をしっかりと推進するなどといった要素も重要となります。一方、企業モラルや社会のルールを破ることや不正行為も、このコンプライアンス違反とみなされます。
レピュテーションリスクは内部からの告発で顕在化することがあります。上層部の不正や “ブラック” な労働環境は、その組織の従業員から声があがる場合が多いです。
先述したバイトテロ行為でもわかるとおり、従業員による不適切な行為でレピュテーションリスクが顕在化する場合もあります。社内でのパワハラやセクハラも同様です。SNS が発展している昨今では、このポイントはどの企業もしっかり管理しなければならない点であると言えます。
目立った不祥事やコンプライアンス違反だけがレピュテーションリスクの原因ではありません。顧客や取引先など、第三者からの評判もその一つです。たとえば「あの店の味は落ちた」や「社員の態度が悪い」といった書き込みが口コミサイトや SNS にあがれば、その悪評はすばやく拡散され、企業にとっては命取りになる可能性もあるのです。
レピュテーションリスクは根拠のないデマにより発生してしまうケースもあります。こういった悪い噂や誹謗中傷も SNS で拡散されやすいという特徴があります。
では、レピュテーションリスクはどのように回避すればいいのでしょうか?完全に予防するのは難しいとはいえ、リスクを最小限にとどめるためにはどうすればいいのか、予防策と回避方法をまとめます。
正確な情報発信を心がける
従業員教育を徹底する
監視体制を整える
ネット情報をチェックする
レピュテーションマネジメントを行う
それぞれの方法について、詳しくまとめます。
企業は、常に正確な情報を提供することを今一度心がけることが大切です。ここで言う「情報」は、商品やサービスに関するものだけではありません。SNS コンテンツなど日々消費者に発信している情報すべてにおいて、正確なものを伝えるようにします。
カスタマーサービスを提供している企業は特に、力を入れたい分野でもあります。
従業員の意識の高さは確実にレピュテーションリスクの予防策となります。昨今注目されるネットリテラシー不足、リモートワークの増加で懸念される情報セキュリティの甘さなどは、定期的な研修などを行って教育を行うといいでしょう。
Asana でリモートワークを管理レピュテーションリスク対策は、たしかな監視、チェック体制が不可欠です。社内で行う場合は、現場での業務チェックだけでなく、経営陣相互の監督も行うようにします。
しかしどんなに体制を整えても、社内だけで行っては見逃してしまう部分や上層トップからの圧力などがあるのも事実でしょう。そういった場合は、第三者による監視システムの採用を検討しましょう。
レピュテーションリスク顕在化は、ネットでの情報拡散から始まることも多いのが事実です。そういった意味で、日頃から自社に関するネットでの口コミや評判などをチェックしていることが重要となります。
最近では “ネット監視サービス” を提供する会社も増えていますが、インターネットにあがる誹謗中傷や悪評、またデマなども、ネット情報管理ができていれば素早い対応をすることができ、影響も最小限に抑えることができるでしょう。
レピュテーションリスクの回避方法としておすすめなのが、レピュテーションマネジメントです。
レピュテーションマネジメントとは、悪評からの回復や企業イメージを向上させるための活動を指します。その名のとおり、レピュテーション (評判) をマネジメント (管理) するという意味です。
何も傷ついた自社評判を回復することだけがレピュテーションマネジメントの目的ではありません。現在の評価を維持すること、良いレピュテーションを獲得することもまた、業界で生き残るために必要な企業努力の一つとなります。
【レピュテーションマネジメントの活動例】
積極的な広報活動
不祥事の際の会見
また、レピュテーションマネジメントには対象となるステークホルダーが場面によって異なります。
消費者、取引先
社員
株主
地域社会
インフルエンサー
企業は上記の関係者に対してレピュテーションマネジメントを行う必要があります。これらのステークホルダーは企業に対し求めるものがそれぞれで異なってくるので、アプローチの仕方も変えていかなければなりません。
レピュテーションマネジメントにおいて、企業評価の維持、向上を目的として行われるものを「攻めのレピュテーションマネジメント」と呼び、レピュテーションリスクが顕在化し下がった企業の評価を取り戻す取り組みを「守りのレピュテーションマネジメント」と呼びます。
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どんなに予防策を立てたとしても、レピュテーションリスクが発生してしまう場合はあります。そんなとき、どのように対処していくのが効果的なのでしょうか?
レピュテーションリスクの対処方法には次のようなものがあります。
危機管理マニュアルに従う
株主、取引先へ説明する
再発防止策を練る
各項目について、詳しく見ていきます。
レピュテーションリスクが顕在化した緊急時には、社内が混乱してしまう可能性もあるでしょう。しかし影響を最小限に抑えるには、速やかな対応が求められます。各従業員が落ち着いて対応できるよう、事前にマニュアルを用意し、緊急時にはそれに従うようにします。
マニュアルは全社員がアクセスできる場所に保管し、いつでも閲覧できる状態にしておきます。クラウド型ワークマネジメントツールで共有しておくのがおすすめです。
リスク管理計画のテンプレートを作成レピュテーションリスクの顕在化により企業の評判が落ちた場合、その株主と取引先は大きな不安に駆られることになります。さらなる混乱を招かないためにも、両者への適時適切な説明は不可欠でしょう。
一度起こってしまったレピュテーションリスクも、きちんと対応すれば社会的信頼を回復できる可能性は高いです。しかし、これが二度三度続くようだと、そうもいきません。そうならないよう、再発防止策をきちんと講じるようにします。
なぜレピュテーションリスクが顕在化してしまったのか、その根本的原因はどこにあったのか、今後再発しないためには企業はどのような措置、改善策を講じるのかをしっかりと練りましょう。
レピュテーションリスクとは何か、その意味と原因、回避方法と対処法をまとめました。
レピュテーションリスクは顕在化してしまうと事業活動そのものを脅かす存在となります。これを完全にゼロにすることは不可能に近いとは言え、きちんとした予防策を講じていれば、その影響は最小限に食い止めることができるでしょう。
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