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有名なカードゲームのように聞こえますが、プランニングポーカーは実はアジャイルな見積もり手法なのです。アジャイルチームは、プランニングポーカーを使って、ユーザーストーリーの完了に必要な工数を見積もります。プランニングポーカーのプロセスと、アジャイルチームがより正確な見積もりを作成するのに、この手法がどう役立つかについて、詳しくご紹介します。
家を購入し、キッチンのリフォームを計画しているところを想像してみましょう。業者に、リフォームにかかる期間と費用についての見積もりを依頼します。見積もりが提供されますが、2 か月経って、プロジェクトがはるかに当初のスケジュールと予算を超えており、自分の決定を後悔することに。
一人の意見しかない場合には、考慮できるのはその人の考えや専門知識のみになってしまいます。しかし、さまざまな経験を持った多くの人を巻き込むことで、より充実し、より正確な見積りが可能になるのです。
合意に基づいたこの見積もりが、アジャイルプランニングポーカー手法の基本です。
アジャイルプロジェクトを効率的に管理する方法プランニングポーカーは、製品バックログ内の 1 つのユーザーストーリーが完了するのに必要とする工数を、アジャイルチームが予測する役に立つ見積もり手法です。アジャイルなプロジェクト管理方法でしばしば使用され、「スクラムポーカー」や「ポインティングポーカー」と呼ばれることも。その名前の「ポーカー」の部分は、プロセス中に各チームメンバーが使用するカードのことを指しています。
プランニングポーカーは、ワイドバンドデルファイとして知られる手法に基づいています。ワイドバンドデルファイとは合意に基づいた見積もりプロセスで、20 世紀半ばに非営利シンクタンクのランド研究所が開発したものです。
『アジャイルソフトウェア開発宣言』の著者 James Grenning 氏は 2002年に、ワイドバンドデルファイの手法を改良してプランニングポーカーと改名しました。その後さらに改良が重ねられ、Mike Cohn 氏が 2005年に出版した、『アジャイルな見積りと計画づくり』で大衆化されたのです。
プランニングポーカーのプロセスはスプリント計画の初期に行われ、スクラムマスターとプロダクトマネージャーは、各スプリントでどれだけの作業が完了できるかを正確に把握できます。その仕組みは次のとおりです。
スクラムチームやアジャイルチームの全員が、さまざまな数値が書かれたカードの山を持っています。カードのそれぞれには、0、1、2、3、5、8、13、20、40、100 のうちの 1 つが書かれています。これらの数字はランダムに思えるかもしれませんが、実はフィボナッチ数列の端数をなくしたものなのです。これらの数値は、最も一般的にはストーリーポイントを表しますが、チームによってはユーザーストーリーが完了するまでにかかる時間の見積もりを表すこともあります。時間ベースの見積もりの場合は、時間数が最も一般的な単位です。
プロダクトオーナーあるいはスクラムマスターがモデレーターとして、製品またはスプリントバックログから特定のユーザーストーリーを読みます。そしてチームメンバーは、必要に応じて質問をし、明確にすることにより、その特定のバックログ項目で完了すべき作業について、チーム全体が正確な感覚を得られます。
ここで、ユーザーストーリーをより深く理解するために、チームができる質問をいくつかご紹介します。
ストーリー完了のために、どんな手法が使用できるか?
何人でこのストーリーに取り組む必要があるか?
このストーリーに遅れが出た場合、関係者はどう反応するだろうか?
1 つのユーザーストーリーに関する議論をチームが終えたら、各見積もり担当者は、そのバックログ項目に関連すると思われるストーリーポイントあるいは工数に対応するカードを選びます。そして、全員が同時に自分のカードを公開します。全員が同じ見積もりを選んだ場合、それがそのバックログ項目の正式な見積もりとなります。全員が同じ見積もりをすることが目標です。
初めの見積もりについてチームメンバーの意見が異なる場合には、最も高い見積もりと最も低い見積もりを出したチームメンバー同士が、その数字を選んだ理由について話し合う時間をとります。その話し合いが終わったら、全員が自分のカードを選び直します。このプロセスを、チームの意見がまとまるまで繰り返すのです。
これで、バックログの全項目の見積もりができ、スプリントを正確に計画するのがはるかに簡単になりました。各タスクにかかる時間についてチーム全体から合意を得ているため、適切な量の作業をスプリントに組み込める可能性が高くなります。
プランニングポーカーは通常、スプリント計画プロセスの直前に行われるため、プロダクトマネージャーやスクラムマスターは、スプリントのスケジュールを立てる前に正確な作業量を把握できるのです。この見積もり方法は、スプリントごとに 1 回ずつ使用できます。というのは、製品やスプリントバックログには項目が継続的に追加されるため、各スプリントに引き込むバックログ項目を常に供給しておく必要があるからです。
プロダクトバックログで議論すべきユーザーストーリーが少ない場合には、チームメンバーがすでに参加している毎日のスタンドアップミーティングの最後に、このセッションを組み合わせることが可能です。
プランニングポーカーの主なメリットは、チームの見積もりがより正確になることです。正確な見積もりは、チームと関係者の両方に、タスクがいつ完了するのかという現実的なタイムラインを示すものなので、スプリント計画プロセスの重要な部分です。
プランニングポーカーがアジャイルチームにもたらす、その他のいくつかのメリットをご紹介します。
チームメンバー全員に発言権がある。このプロセスでは、開発チームの全員が重重視され、自分の意見を述べる機会が与えられます。それにより、チームメンバーは自分ごと化して仕事に取り組めるようになるのです。
チームメンバーがユーザーストーリーを通して話し合える。プランニングポーカープロセスでは、開発チームは、実際に作業を始める前に協力してユーザーストーリーについて話し合う機会が持てます。これにより、担当がどの開発者になったとしても、あるユーザーストーリーをどう解決するかについて、皆が同じ考えを共有できます。
タスクの見積もりは、他のタスクと相対的に行われる。チームがプランニングポーカーカードの数字でストーリーポイントを表す場合、パイプラインの他のタスクとの比較に基づいて、特定のタスクにかかる工数をより簡単に理解できるのです。たとえば、プランニングポーカーの見積もりが 2 のユーザーストーリーは、見積もりが 40 のユーザーストーリーと比べてはるかに簡単に完了するということです。
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記事: アジャイルとスクラムのための Asana