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人間の脳は不可解な存在です。時には 17 年も前に友人から聞いたことが、何の脈絡もなく浮かんできて、脳にはいったいどれくらいの記憶容量があるのかと考えてしまうこともあります (答え: 約2.5 ペタバイトです)。かと思えば、オフィスを出たり、Zoom からログオフしたりした途端、記憶がさっぱりと拭い去られたように感じることも。
あなたがこのどちらのケースに共感するとしても、正しい記憶術を身につければ、誰でも脳の情報処理能力とスピードを改善できることは知っておきましょう。データや To-Do リストを記憶していれば、頻繁に調べたり確認したりしないで済むため、生産性もアップします。
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【タスクを整理して仕事を効率化】オンライン To-Do リストとは記憶力が優れていることは、家族の好物のレシピを覚えるのに便利なだけでなく、職場において重要なスキルになります。たとえばカンファレンスで会った人の名前を忘れない、チーム会議で数字や日付を思い出せるなど、記憶力が優れていることはビジネス上有利です。
「でも、自分は物覚えが悪いから」と思っている皆さんに朗報です。じつは脳は筋肉であり、鍛えることができるのです。脳が情報を記憶するプロセスには「注目」「符号化」「貯蔵」「想起」の 4 ステップがあります。では、各ステージで何が起きるのか見ていきましょう。
注目: たとえば会議に出席していて、同僚がマーケティングのアイデアについて発表しているとします。その情報は感覚受容器を通じてあなたの脳に入ってきます。感覚受容器がこの情報を保持するのはわずか数秒ですが、脳はそれを仕分けして、重要な情報だと判断します。あなたが意識的に情報を知覚することによって、情報は次のステップに進めます。
符号化: 同僚のピッチを興味深いと判断した脳は、この情報の「符号化」を始めます。このステップでは、情報は短期記憶、もしくは作業記憶に移動します。短期記憶は数秒間、作業記憶は最長 20 分間、情報を保持できます。ただし、作業記憶は数学の問題を解いたり、エクセルのシートを整理したりするには便利でも、たとえば来週木曜のクライアントとの電話会議で、同僚のピッチを思い起こすには役に立ちません。
貯蔵: 情報を短期記憶から長期記憶へ移動するのは、意識的に行うステップです。脳はこの決定を勝手に行うことはできず、あなたは自分に合ったテクニックを使って情報を記憶する必要があります。そのテクニックについてはもう少し後でご紹介します。
想起: どのように情報に注目し、それを符号化し、貯蔵するかが、後で情報をうまく想起できるかに影響します。貯蔵と想起のあいだの時間が長ければ長いほど、情報を頻繁に再確認して脳内における鮮度を保つことが重要になります。
これが記憶プロセスの基本ですが、次に、脳の記憶力を高める方法を見ていきましょう。あなたの脳のはたらき方に応じて、言語と視覚のどちらによる記憶術が自分に適しているかがわかってくるかもしれません。
自分が言語派か視覚派かがわからない場合は、次の質問について考えてみましょう。あなたは説明書を読むほうが、誰かにやり方を見せてもらうよりも好きですか?歌詞を覚えることや、言葉を操ることが得意ですか?これらの質問への答えが「イエス」なら、おそらくあなたには、言語を使った記憶術が特に役に立つでしょう。
チャンキングとは、情報をグループ化して覚えやすくする記憶術です。最近ではスマートフォンが私たちに代わって多くのことを記憶してくれているため、誰も自分のパートナーの電話番号を覚えていませんが、自分のカード番号や買い物リストなどを覚えていれば、毎日の生活が楽になります。
あなたが複数のプロジェクトやさまざまな拠点に分散しているチームを管理しているなら、チャンキングはこれらをすべて記憶し、頻繁に調べずに済むようになる絶好のテクニックです。拠点をエリアや部門、チーム規模、最初の文字 (マイアミ、ミネアポリス、メンフィス) などで分類します。どの分類でも、記憶する項目は、マジックナンバーの 7 つまでに留めましょう。各カテゴリにいくつ項目があるかを覚えると、チャンキングを使って情報を頭に入れやすくなります。
チャンキングと同じく、綴りを使った記憶術も、リストやグループを覚えるのに便利です。各単語の最初の 1 文字を使って、覚えやすい頭字語を作れば、個々の言葉をばらばらに覚えるよりも覚えやすくなります。たとえば「SMART な目標」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。Specific (具体的)、Measurable (測定可能)、Attainable (達成可能)、Relevant (現実的)、Time-based (期限がある) という各ステップを覚えるよりも、この略語のほうがずっと簡単に覚えられます。人事やロジスティクス、経理部門にいる方は、おそらくこうした頭字語をよく使っているかもしれません。それぞれの文字が何を表すかを覚えれば、人生がきっと楽になるはずです。
単語を組み合わせても頭字語をうまく作れない場合は、各行の最初の 1 文字を使って文章を作ってみましょう。考え方はよく似ていますが、こんなふうに各文字から始まる長めの文章や詩を作ります。
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また、情報を保持するにも頭韻法を使うことができます。これは、名前を覚えるのが苦手な人に特におすすめです。新しい同僚がアンドリューという名前なら、初めて会ったときに「アナリストのアンドリュー」とか「アメリカ人のアンドリュー」といった頭韻を使って覚えれば、次に社員食堂でばったり顔を合わせても名前を思い出せるはずです。
ちょっと想像してみましょう。職場から車で帰宅中、何年も聴いていなかった曲がラジオから流れだしました。あなたはボリュームを上げ、歌詞をひとつも間違えずに曲に合わせて歌います。もしこんな経験があれば、あなたは音楽を貯蔵するのが得意な長期記憶を持っているということです。
歌詞とメロディの力を味方につけて、情報を覚えましょう。キャッチーなリズムやメロディを頭の中で作り、退屈で複雑な内容を楽しい歌に変えてしまうのです。
この方法は、たとえば会社の成長率データを会議で思い出すときに便利です。ただし、重要な電話会議の最中に歌いださないように気を付けましょう。
韻を踏む方法は、おそらく記憶術の中でも特に簡単な部類に入るでしょう。たとえば韻を踏んだ童謡は小さな子どもでも記憶できます。「アサナのアガサさん」といったようにネットワーキングイベントで人の名前を覚えたり、製品名を製品ラインに結びつけたり、韻を踏む方法で情報が覚えやすくなるのは間違いありません。
韻を踏んでいる言葉に出会うことはそう頻繁にないかもしれませんが、使える場合は、何かを覚えることが非常に楽になります。
その名が示す通り、このテクニックでは、すでに知っている事実の上に情報を積み上げます。関連性やつながりを利用して、そのトピックに関する経験や知識を広げるのです。このテクニックのカギは、事実を記憶するだけでなく、それを学習し、自分のロジックの網に結びつけることです。
たとえば、あなたが採用マネージャーで、仕事の一環で会社に関する情報を記憶し、人に話す必要があるとします。チートシートを用意して、面接中、重要な日付けや数字などを確認することもできますが、こうしたファクトを記憶しておき、自在に思い起こせれば、あなた自身にとっても、求職者にとっても、面接の流れがより自然になります。
何度も繰り返して覚えようとすること (丸暗記) は面倒なだけでなく、効果もあまりありません。脳に情報を符号化させ、貯蔵する余裕を与える必要があります。これには時間がかかるため、間隔をあけて反復を行うことが重要です。
『脳をすこし良くする本』の著者で、心理学者のピアース・ハワードは、脳の力を大量に必要とする仕事は、「新しい神経細胞の回路が定着する余裕を与えるため、間隔をあけて行う」ことが重要だとアドバイスしています。
次にウェビナーを聴く機会があったら、記憶したいことのメモを取り、ウェビナー後にしばらく時間をおき、さらに別のタスクをこなしてから、メモに戻って読み直してみましょう。この「学習、作業、休憩」のルーチンを繰り返し、学習の合間に脳が情報を符号化、貯蔵する時間を十分にとることで、その情報を記憶できる確率は大幅に上がります。
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無料トライアルを始める言語を使った記憶術がうまくいかない場合、視覚的に覚えるほうが向いているかもしれません。考えるときに映像や絵を思い浮かべることが多い人や、想像力が豊かな人がこのタイプであることが多いようです。ここでは、視覚化によって情報を保持する記憶術をいくつか見ていきましょう。
この方法は、クリエイティブな頭脳の持ち主が、多くの情報のリストを記憶する場合に効果を発揮します。連想結合法とも呼ばれ、1 つの情報を次の情報につなげ、物語を作ることでリスト全体を覚えやすくします。このテクニックの優れた点は、最初の情報さえ覚えてしまえば、そこから芋づる式にすべての情報をつなげられることです。
コツは、ストーリーを大げさにするほど、思い出しやすくなること。俳優のバリー・ライトマンは、ストーリー (連想) 法を使って To-Do を記憶する方法の実例を、わかりやすい動画で共有しています。
物事を書き留めることも、情報を視覚化しやすくする方法です。色やタイトル、サブタイトルなどに変化をつけて、記憶しやすくしましょう。フラッシュカード (単語カード) を使うと、情報を覚えやすい単位 (チャンク) に分割できます。
フラッシュカードは、間隔をあけた反復法と組み合わせるのに最適なツールです。知識不足の分野を克服するには、簡単に思い出せることよりも難しくて新しいことを学ぶ頻度を増やすことが理想的です。物理的なフラッシュカードに書くのは気が進まない場合は、Brainscape などのアプリを使って、バーチャルなフラッシュカードで学習してみましょう。
フラッシュカードは、ピッチやスピーチの準備の際に利用したいツールです。しかも、持っていても目立たず、困ったときにさっと目を通せるので、お守りの役目も果たしてくれます。
マインドマップは素晴らしいツールです。チームとのブレインストーミングに最適なだけでなく、後で思い出したい情報の視覚化にも有効です。
ブレインストーミング用のテンプレートを使用するほか、 ホワイトボードや紙に物理的なマインドマップを作成してもいいでしょう。情報のさまざまなピースをセクション (チャンク) ごとに整理するので、色を使ってつながりをわかりやすくすれば、情報を記憶しやすくなります。また、どのルートが関連し合っているのかを記憶することで連想法を活用して、頭の中で橋を架けることもできます。
Loci (ローカイ) とは、「場所」という意味のラテン語です。このテクニックは、BBC のテレビドラマで、ベネディクト・カンバーバッチが演じるシャーロック・ホームズが使っているところを見た方もいるかもしれません。ただし、ホームズが「マインドパレス」(記憶の迷宮) と呼ぶその方法は、どう見ても天才探偵しか使えそうもないものです。
ところが、この Loci メソッド、つまりマインドパレス法 (メモリーパレス法) は、ドラマで描かれているより実はずっとシンプルなのです。顔やリスト、桁の多い数字といったものを覚えるのに特に適していて、ストーリー法と同じく、連想と関連付けを利用します。
自宅の寝室やキッチンなど、隅々までよく知っている部屋を思い浮かべてみてください。あなたの就寝前の習慣や朝のコーヒーを淹れる手順で、この部屋にある物や場所を視覚化していきます。次に記憶したい情報を、そうした物や場所に関連付けます。情報を思い出したいときには、その空間を思い浮かべ (つまりメモリーパレスを訪れ) それを回収してくるのです。
Loci メソッドは使っていくほどに、メモリーパレスを広げやすくなります。最終的には、家全体を使って情報を貯蔵し、回収することが可能になるかもしれません。
脳は筋肉であり、記憶はスキルです。時間をかけて練習すれば、誰でも記憶力を高めることができます。
ワークアウトのときに身体のメンテナンスをするように、脳もパフォーマンスを発揮できるよう、力を蓄える必要があります。適切に睡眠をとり、定期的に運動し、健康的な食習慣を守ることは、健全で健康な脳を育てる上で欠かせません。働く人にとって、プロジェクト管理の三角形のバランスが重要であるように、健康はバランスがすべてです。また、脳に情報を符号化して貯蔵する時間を与えるために、休憩も必ずとりましょう。
脳を鍛えて、時間をかけて記憶力を高めることはできても、常に何もかもを覚えているわけにはいきません。そこで、脳のプロセッサに負荷をかけすぎる前に、余分な情報は適切なデジタルツールに移動しましょう。
To-Do リスト用ソフトウェアなら、すべてのタスクを管理して、優先度順に整理し、重要な書類とつなげ、チームメンバーと共有できます。何より便利なのは、次の To-Do アイテムにリマインダーを設定しておけば、見落としが無くなることです。
チームの業務で、コラボレーションと To-Do のやりとりが多い場合は、タスク管理ソフトウェアが、あなた自身と他のメンバーのタスクの追跡を支援してくれます。タスクを覚えるのがどんなに得意でも、同僚とつながり、情報の伝達やタスクの割り当て、To-Do の管理ができる場所があれば、スケジュールを守り、目標を達成するにも役立ちます。
キャリアを積み重ねていくうちに、すばやく働く記憶力と頭脳は貴重な資産であることがわかってきます。記憶力が優れていればすべてを一つひとつ調べる必要がないため、生産性が上がるだけでなく、ワークフローの改善や、ほかのメンバーとのつながり、さらにはリーダーシップスタイルの向上も望めます。脳を鍛え続けましょう。うまく記憶に残らないものについては、Asana のプロジェクト計画ソフトウェアのような適切なツールを使って、大量の情報を格納するのがおすすめです。
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