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ステップバイステップガイド: データに基づいた意思決定

Asana チーム 寄稿者の画像Team Asana
2024年7月3日
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概要

データに基づく意思決定とは、企業の重要業績評価指標 (KPI) に基づいてデータを収集し、そのデータを行動につながる情報に変換するプロセスです。このプロセスは、現代のビジネス戦略に欠かせない要素です。この記事では、データに基づく意思決定のメリットと、仕事で情報に基づいた意思決定を行うためのコツをご紹介します。

仕事で何か決断を迫られたとき、どちらの方向に進むべきか迷うことがあります。直感で判断すれば、自分の選択に自信が持てるかもしれませんが、その選択がチームメンバーにとって正しいかどうかはわかりません。事実を活用すれば、データに基づいた選択ができ、ビジネスへの影響力を最大限に高めることができるため、安心して意思決定を行えます。

データに基づいた意思決定は、競合他社に勝つためにも、収益性を高めるためにも、現代のビジネス戦略において重要な役割を果たしています。以下では、データに基づいた意思決定のメリットと、仕事で意思決定を行うためのコツをご紹介します。

データに基づいた意思決定 (DDDM) とは?

データに基づいた意思決定とは、企業の重要業績評価指標 (KPI) に基づいてデータを収集し、そのデータを実行可能な情報に変換するプロセスのことです。

[インラインのイラスト] データに基づいた意思決定 (DDDM) とは?(インフォグラフィック)

このプロセスでは、ビジネスインテリジェンス (BI) レポートツールを使用することで、ビッグデータの収集を高速かつ有意義なものにすることができます。このようなツールを使用することで、データの可視化が容易になり、高度な技術的ノウハウを持たない人でもデータ分析を行えるようになります。 

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データを基にするとはどういう意味?

データを基にするというコンセプトは、簡単に言うと、事実、つまりデータを使用することによって、意思決定プロセスの材料となるパターンや推論、インサイトを発見することを意味します。

基本的には、偏見や感情を交えずに、意思決定を行う努力をするということです。そうすれば、企業の目標やロードマップは、自分の好き嫌いではなく、データから得た証拠やパターンに基づいたものになります。

データに基づいた意思決定が重要な理由とは?

データに基づいた意思決定が重要なのは、偏見ではなく事実に基づいた意思決定を行えるためです。リーダー的立場にある人は、客観的な判断を下すことで、偏見のない公平な立場を保つことができます。

情報に基づいた意思決定は、ビジネス目標を測定し、リアルタイムで入力されるデータから生まれます。レポートソフトウェアを使えば、必要なデータを集約してパターンを確認し、予測を立てることができます。

データを活用した意思決定には、次のようなものがあります。

  • どのようにして利益や販売を伸ばすか

  • どのようにして経営者の行動を改善するか

  • どのようにして業務を最適化するか

  • どのようにしてチームのパフォーマンスを向上するか

すべての意思決定に当てはまることではありませんが、重要な意思決定の多くは、データに裏付けられています。

データに基づく意思決定を行うための 5 つのステップ

データに基づいた意思決定を行うには練習が必要です。リーダーシップスキルを向上するには、ローデータ (未加工のデータ) を実行可能なステップに変換する方法を知る必要があります。また、これらのステップは、会社のイニシアチブにつながるものでなければなりません。以下のステップを使用すると、データを分析する際により適切な判断をすることができます。

[インラインのイラスト] データに基づいた意思決定を行うための 5 つのステップ (インフォグラフィック)

1. 自社のビジョンを知る

情報に基づいた意思決定を行う前に、自社の将来に対するビジョンを理解する必要があります。これにより、データと戦略の両方を使って意思決定を行うことができるようになります。グラフや数値は、その裏付けとなる背景情報がなければ意味を持ちません。

ヒント: 自社の年間目標と主要な結果 (OKR) または四半期ごとのチームの KPI を用いて、データに基づいた意思決定を行いましょう。

2. データソースを探す

目指す目標を明確にしたら、データの収集を始めましょう。

使用するツールやデータソースは、収集するデータの種類によって異なります。社内のプロセスに関するデータセットを分析することが目的であれば、プロジェクト横断レポートツールを使用しましょう。レポートツールを使うと、組織全体の仕事の進捗状況をワンストップで把握できます。Microsoft の Power BI のように、外部のさまざまなソースからデータを収集できるレポートツールもあります。マーケティングの動向や競合他社の指標を分析したい場合は、そのようなツールを利用するとよいでしょう。

測定すべき一般的な成功指標には以下のようなものがあります。

  • 売上高総利益率: 売上高総利益率は、会社の純売上高から売上原価を差し引いたものです。

  • 投資収益率 (ROI): 収益と投資の比率です。ROI は一般的に、ある取り組みに時間や資金を投入すべきかの判断に用いられます。経営指標としては、投資のパフォーマンスを追跡する目的で多く用いられています。

  • 生産性: 商品やサービスの生産効率を示す値です。総生産量を総投入量で割った値です。

  • 顧客総数: シンプルですが、追跡効果の高い指標です。有料のお客様が増えるほど、企業の収入も増加します。

  • 経常収益: SaaS 企業で一般的に用いられる指標で、現在アクティブなサブスクライバー全員から一定期間に生じる収益です。月単位か年単位で算出されるのが一般的です。

この他にも、自分の役割や目指すビジョンに応じて、さまざまなデータセットを測定することができます。機械学習により、リアルタイムデータの集計はこれまで以上にシンプルになりました。

ヒント: こうした指標を使って、つながりのあるストーリーを作成しましょう。収益が下がっているなら、生産性を見て、何らかのつながりがないか確認してみると良いでしょう。解決したい問題の「原因」が見つかるまで、こうした指標をどんどん掘り下げていきます。

3. データを整理する

ビジネス上の意思決定を効果的に行う際に重要なのは、データを整理して可視化することです。関連するすべてのデータを一箇所に集め、それらがどのようにつながっているかを理解できなければ、情報に基づいた意思決定を行うことは難しくなります。

ヒント: データを整理する方法の一つとして、エグゼクティブダッシュボードがあります。エグゼクティブダッシュボードは、カスタマイズ可能なインターフェイスで、通常、プロジェクト横断レポートツールの機能として提供されています。このダッシュボードには、目標が戦略的、戦術的、分析的、運用的なものであるかどうかに関わらず、目標達成に最も重要なデータが表示されます。

[製品 UI] Asana のプロジェクト横断レポートのインタラクティブなダッシュボード (検索 & レポート)

4. データ分析を行う

データの整理ができたら、データに基づいた分析を始めましょう。このステップでは、意思決定プロセスに役立つ実行可能な情報をデータから抽出します。

目標に応じて、エグゼクティブダッシュボードのデータを、ケーススタディ、アンケート、体験談などのユーザーリサーチと合わせて分析し、カスタマーエクスペリエンスを含めた結論を導き出すこともできます。

チームが SEO ツールを改善して、市場の他のオプションに対する競争力を高めたいと考えているなら、このようなデータセットを使用して、必要な改善点を判断することができます。

  • 競合他社のパフォーマンスデータ

  • 現在の SEO ソフトウェアのパフォーマンスデータ

  • 現在の顧客満足度データ

  • さまざまな SEO / マーケティングツールに関するユーザーリサーチ

社内で入手できる情報もあれば、外部からしか入手できない情報もあるでしょう。これらのデータセットを合わせて分析することで、それぞれのデータセットを個別に分析する場合とは異なる結論を導き出すことができます。

ヒント: 分析ツールをチーム全体または組織と共有しましょう。どのコラボレーションにおいても、データ分析はさまざまな視点から見た場合に最も効果を発揮します。あるデータを見るとき、あるメンバーが 1 つのパターンの存在に気がつき、他のチームメイトには全く別のものが目に留まるという場合もあるでしょう。

5. 結論を出す

データ分析を行っているうちに、見えてきたものについて結論を出すことになるでしょう。しかし、結論は別のセクションに分ける必要があります。なぜなら、データで把握したことを具体的に説明して、他の人と分析結果を共有することが重要だからです。

結論を出す際には、以下のような質問を自分に投げかけてみてください。

  • このデータについてすでに知っていたことは何か

  • このデータからどんな新しい情報を得たのか

  • ビジネス目標を達成するために、ここで得た情報をどのように使えばいいのか

これらの質問に答えることができれば、データ分析は成功と言えます。データに基づいたビジネス上の意思決定を行う準備ができているはずです。

ヒント: データ分析を行った後の自然な次のステップとして、SMART な目標をいくつか書き出します。事実を詳しく調べ上げたところで、その情報を基に達成可能な目標を立てることができます。

データに基づいた意思決定の例

データ分析そのものは表舞台に現れませんが、データに基づいた意思決定は消費者に明確な影響を与えます。以下に、データに基づいた意思決定の例を業界別にいくつか紹介します。

E コマース

インターネットで買い物をしているときに、なぜ特定の製品がおすすめとして表示されるのか気になったことはありませんか?それはおそらく、以前に似たような製品を購入したり、特定の製品をクリックしたりしているからでしょう。

Amazon のようなオンラインマーケットプレイスでは、カスタマージャーニーを追跡し、クリックスルー率や直帰率といった指標を用いることによって、消費者が最も頻繁にチェックするアイテムを特定しています。小売業者はそうしたデータを使用することによって、消費者がわざわざ検索しなくても、興味のありそうな商品が画面に表示されるようにしています。

金融

金融機関は、リスク評価から顧客セグメンテーションにいたるさまざまな用途にデータを使用します。金融セクターでは特に、リスクがあちこちに存在するため、企業にとっては、大きな意思決定を行う前にリスク要因を特定できることが重要になります。潜在的なリスクや脅威、それらが発生する可能性を把握するには、過去データを使うのが最も効果的です。

また、金融機関は、顧客データを使ってターゲット市場を決定します。金融業者は、消費者を社会的経済地位やお金の使い方などに基づいてグループ化することによって生涯価値の最も高い消費者を推測し、その消費者に狙いを定めます。

輸送

データサイエンスは、安全な輸送手段を決定する場合にも大きな役割を果たします。米国運輸省の Safety Data Initiative では、輸送の安全性を改善する取り組みの中でデータが果たす役割が強調されています。

同レポートは、あらゆる衝突事故のデータを取り込み、問題が発生した原因を発見すべく、気象や道路の状況などの要因を評価するといった内容になっています。確固たる事実を用いることによって、同省はさらなる安全措置の導入に取り組んでいます。

データに基づいた意思決定のメリット

分析結果を活用した意思決定は、単に役立つスキルというだけでなく、模範を示し、データに基づく文化を育むために極めて重要なスキルです。

データを活用して意思決定を行うことで、ビジネスの公正さを保ち、明確な目標を持って、改善に集中することができます。

[インラインのイラスト] データに基づいた意思決定のメリット (インフォグラフィック)

自信を持って 意思決定ができる

競合他社より長続きする企業の秘訣は、成功できると確信していることです。ビジネスの中で意思決定者が選択を放棄してしまうと、ミスやチームメンバーの離職率の上昇、リスク管理の悪化を招いてしまいます。

ビジネス上の最も重要な意思決定にデータを活用すれば、その意思決定に自信を持つことができ、チームを前進させることができます。自信を持つことで、チームの士気が高まり、パフォーマンスの向上につながります。

偏見を防ぐことが できる

データを使って意思決定を行うことで、ビジネスリーダーによる偏見を防ぐことができます。自分自身では気づけないかもしれませんが、個人の先入観や価値観が意思決定に影響することもあります。

事実や数字に直接基づいて意思決定を行うことで、意思決定を客観的かつ公正に保つことができます。また、チームメンバーや関係者から「なぜそのような行動をとったのか」と聞かれたときに、自分の判断を裏付けることができます。

記事: 19 の無意識の偏見を克服し、インクルージョンを促進する方法

未解決の問題を 見つけることができる

データを使わないと解決できない問題はたくさんあります。また、データセットによって明らかになるまで、気づかなかった疑問もあるかもしれません。データはその大小を問わず、統計やグラフ、チャートでしか見えない部分を可視化してくれることがチームへのメリットとなります。

疑問点が明らかになれば、関連するすべての情報を考慮して意思決定を行ったと自信を持つことができます。

測定可能な目標を 設定できる

データを使うと、簡単にチームに測定可能な目標を設定し、その目標をうまく達成することができます。過去のパフォーマンスに関する社内データを確認することで、何を改善すべきかを判断し、可能な限り詳細な目標を立てることができます。たとえば、チームはデータを使って次のような目標を設定することができます。

  • 顧客数を前年比で 20% 増加させる

  • 四半期ごとに全体予算を $20,000 削減する

  • プロジェクト予算の支出を $500 削減する

  • 四半期ごとにチームメンバーの採用数を 10 人増やす

  • 1 人あたりの採用単価を $500 削減する

データがなければ、企業はどこに支出しているのか、どこでコストを削減したいのかを把握することができません。測定可能な目標を設定することは、最終的にデータに基づいた意思決定につながります。なぜなら、これらの目標が設定されると、全体の予算を削減する方法や顧客数を増やす方法が決まるからです。

会社のプロセスを 改善できる

データを使わずに会社のプロセスを改善する方法もありますが、数字を使ってチームメンバーのパフォーマンスの傾向を観察したり、グラフを使って会社の支出パターンを分析したりすることで、観察だけではないプロセスの改善が可能になります。

データを使って改善できるプロセスには、以下のようなものがあります。

  • 財務データに基づくリスク管理の改善

  • 市場価格データに基づくコスト見積もりの改善

  • 新入社員のパフォーマンスデータに基づくチームメンバーのオンボーディングの改善

  • 顧客フィードバックに基づくカスタマーサービスの改善

会社のプロセスを変えることは、結果に自信がなければ難しいことですが、事実を目の前にすれば、自信を持って意思決定を行うことができます。

記事: チェンジマネジメントとは?成功するチェンジマネジメントプロセスを構築する 6 つのステップ

どんどんデータを活用していくためのヒント

データ駆動の組織は、数字やチャートを分析して、それらの背景にある意味を探ることができます。データをもっと積極的に活用する文化を築くことは、単純にデータをもっと頻繁に使用することから始まります。ただし、これを実際に行うことは簡単ではありません。さっそくやってみようという方は、以下のヒントをお試しください。

[インラインのイラスト] もっとデータを活用するようになるためのコツ (インフォグラフィック)

ストーリーを見つける

データや数字、チャートを分析するときに大切なのは、それらを裏付けるストーリーを探るというです。そうなった「理由」がわからなければ、データそのものはあまり役に立ちませんし、意思決定プロセスも格段に難しくなります。もっとデータを活用して意思決定を行いたいという方は、データが物語るストーリーを探りましょう。これが適切な判断をするのに欠かせません。

データを参照する

組織的意思決定を行うときは、「データはこれを支持しているだろうか?」と確認してみましょう。データはどこにでもありますし、あらゆる重要な決断に適用できます。そのため、難しい選択を迫られたときは、データを確認すると良いでしょう。データが役に立つのは、偏見が含まれないからです。何らかの判断を行う前には、必ず事実を確認するようにしましょう。

データを可視化する方法を学ぶ

データを裏付けるストーリーは、明確に可視化できると、見つけやすくなります。データを可視化する方法を学ぶことは、データを活用する文化を築く上で一番難しい要素であることが多い一方で、データのパターンや食い違いを認識するための最適な手段でもあります。

データを可視化するさまざまなツールやテクニックについてよく理解しておきましょう。データを提示するさまざまな方法を使ってクリエイティブに表現する努力をしてください。データの可視化に精通している方は、データをストーリーとして伝えるスキルを飛躍的に高めることができます。

レポートソフトウェアでデータに基づく意思決定を簡単に

チームにとって有意義な意思決定を行うためには、適切なデータが必要です。プロジェクト横断レポートソフトウェアを使うと、企業のデータが集約され、エグゼクティブダッシュボードに表示されます。つまり、整理され、図式化されたデータを確認できるのです。

これらのデータと外部ソースからの関連データを組み合わせることで、常に裏付けのある包括的な意思決定を行うことができます。

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