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コンセプトマップ (concept map) は、日本語で「概念地図」とも呼ばれ、アイデアを整理して理解しやすくするために、情報を視覚的に表現するものです。コンセプトやプロセスを視覚化したり、システムを説明したりするなど、コンセプトマップの使い方はさまざまです。複雑さに応じて、コンセプトマップのテンプレートを使用したり、手書きでマップを作成したり、高度なプロジェクトではマッピングソフトウェアを使用したりすることができます。
この記事では、コンセプトマップとは何かを解説し、一般的に使われる 4 種類をご紹介します。
更新: この記事は、コンセプトマップの歴史に関する記述を含め、2024年 5月に改訂されました。
この電子書籍では、ワークマネジメントとは何かを解説し、ビジネスにどう役立つかをご紹介します。
プロジェクトを始めるにあたって何よりも大切なことは、チーム全員が共通認識を持っていることです。全員が同じ情報をもとに作業し、その情報をチームメンバー全員が正確に理解しているという状況は、プロジェクトを成功に導くためのキーポイントであると言えます。言い換えれば、誤解やコミュニケーションの行き違いは、プロジェクトの進行を遅らせたり停止させたりする可能性があり、その結果プロジェクトの時間とコストの両方を無駄にしかねません。
この記事で紹介する「コンセプトマップ (concept map、概念地図)」は、誰もが理解できる形で情報を視覚化し、全員の認識を合わせる上でとても効果的なツールです。コンセプトマップを使うと、ワークフローを視覚化したり、複雑なアイデアを分割したり、プロジェクトの各部をマッピングしてタスク間の関係を確認したりすることができます。
コンセプトマップの作り方は決して複雑なものではありません。実際に作り始める前に、さまざまなマップの構造とその使い方をご紹介します。
コンセプトマップは、情報を整理するための視覚的な図のことを指します。日本語では「概念地図」や「概念マップ」とも呼ばれるツールです。
コンセプトマップは、プロセスから、アイデアやコンセプトの組み合わせ、相互に関連性のある要素の構成まで、あらゆるものを表現できます。
たとえば、製品開発のワークフローステップを記録したり、社内のメンバーの関係を視覚化したり、マーケティング部門とセールス部門で効果的なコラボレーションを行う方法を計画したりするのに有効です。
コンセプトマップが役立つのはビジネスシーンだけではありません。エンジニアならシステムの構成要素を割り出すために、教育者ならさまざまなアイデアを教えるために、科学者なら新たなテーマを研究する際に重要な情報を記録するために、コンセプトマップを活用できます。
ワークフローを構築することで、チーム間の認識のずれをなくし、スムーズなグループ作業を実現します。Asana のワークフローは、毎日使うツールと連携して仕事を一元管理できるので、仕事の効率・生産性も向上します。
Asana のワークフローが選ばれる理由とは?コンセプトマップは、アメリカの教育心理学者ジョセフ・ノヴァクとその研究チームが開発したフレームワークです。概念やアイデアを視覚的に整理し、関連性を示すためのグラフィカルな手法として発表され、教育心理学の観点から、学習者が新しい情報を統合し理解を深めるのに役立つと考えられました。
もともとは子どもの科学的知識を表現するためのツールとして開発されましたが、その後、知識管理や教育業界だけでなく、プロジェクト管理、企業の戦略策定などの場面でも広く利用されています。
コンセプトマップの作成には、さまざまな構造や形式、デザインがあります。最もよく使われるのは、次の 4 種類です。
スパイダーマップ: 概念を図式化する
フローチャート: プロセスを見える化する
階層マップ: 組織を見える化する
システムマップ: システムを見える化する
この他にも、さまざまな種類の概念マップがありますが、コンセプトマッピングをするなら、この 4 つの構造のいずれかを使うのがおすすめです。
ここでは、4 つのコンセプトマップの書き方をそれぞれまとめ、今すぐ活用できる無料テンプレートもご紹介します。
スパイダーマップは、主要となるコンセプトから始まり、関連するアイデアやつながりのあるキーワードに枝分かれしていくコンセプトマップの一種です。
マインドマップやアイデアウェブとも呼ばれ、アイデア間の関係性が一目でわかるため、ブレインストーミングを行う際の指針や思考の整理に役立ちます。
記事: 29 個のブレーンストーミングテクニック: 創造力を引き出す方法スパイダーマップを作成するには、まず紙やホワイトボードの中心に円を描きます。円の中に中心となるアイデアを書き、円から線を引き、関連するコンセプトを書き入れます。紙面いっぱいにアイデアが広がるまで、コンセプトやサブコンセプトを書き足していきます。
基本的なスパイダーマップ (無料)スパイダーマップはブレーンストーミングや計画の構想段階にあたる「スケッチ」でよく使われ、紙に手書きで書いたり、ホワイトボードに共同で作成したりするのが一般的です。スパイダーマップは通常、公開されたり、社内で共有されたりすることはないので、きちんと形式が整っているかどうかはそれほど重要ではありません。作成するときは、上記のマインドマップのテンプレートを使って、効率的に行いましょう。
フローチャートは、プロセスのステップを見える化する図の一種です。発注書の記入のような単純な作業から、財務会計のような複雑なシステムまで、さまざまなプロセスを説明する際に役に立ちます。
フローチャートは、ビジネスやエンジニアリングでよく使われますが、どのような分野や場面でも、プロセスをステップごとにビジュアル化する際に役に立ちます。効果的なフローチャートを作成するコツは、万国共通のフローチャートの図形を使い、ワークフローの各ステップが何を意味するかを示すことです。
最も一般的な記号は以下のとおりです。
楕円形 (開始と終了のポイント)
長方形 (プロセス)
ひし形 (意思決定)
平行四辺形 (入力と出力)
フローライン (図形と図形を結び、ワークフローの順序や進む方向を示す)
詳しくは、『フローチャート (フロー図) とは?記号、種類、書き方を解説』をご覧ください。
また、ドキュメント、手動入力、準備段階、データ保存、ループ、遅延などの記号も一般的に使用されています。このように一般的に使われている図形を使うことで、説明をしなくても、誰が見てもわかりやすいフローチャートを作成できます。
フローチャートはワークフローによって構造が異なるため、紙のテンプレートが最も効率的な方法とは言えません。その代わりに、バーチャルツールを使ってフローチャートを作成しましょう。オンラインワークフロー管理ソフトウェアで作成すれば、チーム内で適切に共有することができます。
Asana でワークフローの可視化と構築を行う会社の組織図や家系図を見たことがある人なら、階層マップの概念はすでに理解できているはずです。階層マップは、一般的なものから具体的なものへと、階層構造でコンセプトを整理するツールです。
たとえば、会社の組織図であれば、通常最も幅広い権限を持つ創業者やその他の最高経営幹部をマップの一番上に置き、その後、業務内容が最も限られている従業員に達するまで、順に階層を下げて配置していきます。
階層マップは人をまとめるために使われることが多いのですが、情報を小さく、管理しやすいサイズに分割する場合にも役に立ちます。たとえば、この記事の構成を考えるために階層マップを作成する場合、まず一番上に「コンセプトマップ」と書き、次にコンセプトマップの各種類を 2 段目のボックスに記入し、一番下の段に各コンセプトマップの詳細を書き出します。
基本的な階層マップ (無料)階層マップのサイズと形式は、取り扱う情報の階層数によって異なります。上記のテンプレートを使用すると、一番上に主なトピック、2 段目に最大 5 つのサブトピック、その下のボックスに各サブトピックの詳細を記した 3 段階の階層構造を作成できます。また、色や記号を活用して、さまざまな重要度を示すこともできます。
ここまで説明してきたことをまとめると、スパイダーマップはアイデアを、フローチャートはプロセスを整理するツールです。一方、システムマップは、この 2 つを組み合わせて、組織の構成要素と、それらがどのように互いに影響し合っているかを示すものです。システムマップを使えば、プリンターなどのシンプルなシステムから、複数の部門やチームを持つ企業といった複雑なシステムまで、さまざまなものを図示できます。
システムマップは、円の内側と外側の 2 つの主なセクションに分けられます。大きな円の内側に書かれているものはシステムそのもので、円の外側に書かれているものはシステムを取り巻く環境です。システムをマッピングするには、まず、大きな円の内側にシステムの各構成要素を、その外側に環境の各構成要素を書き加えます。下のテンプレートを使えば、簡単に始められます。
基本的なシステムマップ (無料)たとえば、企業のシステムマップを作成するとします。まず、システム全体を示す大きな円の中に、それぞれの部署 (この例では、経理部と人事部を使用します) を表す円を作成します。次に、経理部の円の中に、給与計算、予算、請求書発行を担当するチームなど、それぞれのチームを示す小さな円を作ります。人事部の円の中には、給与計算チームや、オンボーディング、危機管理、福利厚生などを担当するチームを小さな円で示します。企業によっては、1 つのチームがこれらをすべて担当しているところもあるかもしれませんが、その場合も同じように捉えてください。それぞれの円に加えなくてはならない要素に、下限や上限はありません。
システム全体を示す円の外側には、顧客や請負業者など、会社のメンバーではないが、会社に影響を与え、互いに影響し合う、会社の環境を構成する要素を追加します。
構成要素を書き込んだら、次にプロセスを追加します。この工程では、システムのさまざまな構成要素を線で結び、その間をつなぐプロセスの名称をラベル付けします。プロセスを示す線は、さまざまな階層にまたがることもあれば、システムの内側と外側の構成要素を結ぶこともあります。また、2 つの要素が、逆方向に進む 2 つのプロセスで結ばれる場合もあります。
たとえば、給与計算のプロセスには、経理と人事の両部門が関わっており、プロセスは双方向に流れます。人事部は新入社員のオンボーディングと給与システムへの登録を行い、各新入社員の給与と口座振込情報を経理部に送り、経理部はその情報をもとに実際に給与明細を送ります。一方、財務チームは、昇給や給与交渉に必要な予算に関する情報を人事部に送り、人事部がその情報をもとに採用や昇進を決定します。
システムの全体像が見えるようになるまで、構成要素やプロセスの接続要素を追加し続けます。また、エネルギー、情報、またはリソースのさまざまな流れなど、さまざまな種類の相互作用を表す記号を使用することもできます。
Asana の製品マーケティング部門長が Asana を使ってどう製品リリースプロセスを管理しているのか、その秘訣をご紹介します。
コンセプトマップを使えば、複雑なアイデアやプロセスを、他の人が理解しやすいように視覚化できます。口頭で説明すると、誤解が生じたり、時間が経つと忘れてしまったりする可能性もありますが、チームメンバー全員で 1 つの視覚的リソースを共有すれば、それが信頼できる唯一の情報源となり、全員が同じ認識を持つことができます。
コンセプトマップ作成には、次のような効果もあります。
複雑なアイデアを分割してわかりやすくする
アイデアとアイデアの関係を一目で把握できる
アイデアを出し合ったり、思考を整理したりできる
単純なタスクから複雑なシステムまで、さまざまなプロセスを図示できる
システムのさまざまな要素がどのように結びついているのかを理解できる
どんなプロジェクトも、綿密な計画を立てることで、スムーズに進むようになります。コンセプトマップを作成することで、選択肢が明確になり、問題点やボトルネックになりそうな箇所を事前に解決できます。プロジェクトを進める上で、コンセプトマップとプロジェクト管理プラットフォームを併用することで、プロジェクトを計画通りに進め、目標を見失うことなく、チーム全体が共通の目標に向かって一丸となって取り組めるようになります。
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