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お気に入りのブランドのコミュニケーションへのアプローチについて考えるとき、どのような特徴が思い浮かびますか?ユーモアのセンスですか?インスピレーションに満ちたメッセージですか?共感できる呼びかけですか?そのブランドのコンテンツによって自信がついたり、やる気が出たりしますか?思いがけないメッセージですか?それとも挑戦的な意味合いを感じますか?
ブランドがどのようにコミュニケーションを取るのか、つまりブランドが届けるメッセージとその伝え方は、ブランドボイスの一翼を担います。明確でゆるぎないブランドボイスは、ブランドの認知度を高め、顧客からの信頼を勝ち取る上で大切です。実際、88% のマーケターが、ブランドボイスはブランドと顧客のつながりを深めるのに役立つと考えています。顧客の積極的な姿勢を促進し、顧客維持率を高めるほか、売り上げアップも期待できるのです。
ブランドボイスは、ブランド独自のコミュニケーションやアピールのスタイルを指します。企業全体の価値観を実際にどのように表現するかという「声」を定義するものであり、ターゲットオーディエンスに相応しい方法で語りかけ、オーディエンスの興味を引く効果があります。
工夫を凝らしたブランドボイスには風格があります。「特定のブランドのもの」だということが明確に伝わります。つまり、一貫性のある魅力的なブランドボイスを策定することで、ブランドは市場に溢れるメッセージをはねのけ、競合他社との差別化を図ることができるのです。
ブランドボイスとブランドトーンは同義として捉えられがちですが、実は 2 つの異なるブランド構成要素です。ブランドメッセージングを作成する際には、どちらの要素も考慮する必要があります。
ブランドトーンはブランドがコミュニケーションを行う際に用いる特定のフレーズや姿勢を指します。決して変わらないブランドボイスとは異なり、ブランドトーンは背景やメッセージ、メディア、状況に応じて変化します。メッセージが状況やオーディエンスにとって相応しいものになるように、微妙な変化を加えます。
実生活で例えるならば、プロジェクトについて同僚と話すとき、おそらくコミュニケーションはかなりカジュアルでオープンなものになるでしょう。一方、プロジェクトをクライアントにプレゼンする場合は、よりフォーマルな姿勢で行うでしょう。これは、あなたの本質や性格が変化したわけではなく、状況に相応しくなるように、自分自身の表現方法を変化させたのです。
これがブランドトーンを成功させる秘訣です。ブランドトーンを状況に合うように調整することで必要なニュアンスを足しながら「オンブランド」な、つまりブランドに沿ったメッセージを伝えられるようになります (これこそがブランドボイスです)。複数の異なるトーンを使い分ける理由を以下に挙げます。
消費者や重役、社内の関係者や社外の顧客などさまざまなオーディエンスにメッセージを伝えるため。
SNS やニュースレター向けのコンテンツなど異なるメディアを考慮してメッセージを作成するため。
製品リリースや雇用凍結の発表など、メッセージの文脈に合わせてトーンを調整する必要があるため。
おそらく誰もが自分の個性を構成する特徴をすらすらと挙げられるのではないでしょうか。個性はあなたそのものであり、あなたを世界で一人だけの存在にするものが個性なのです。ブランドボイスによって形成されるブランドの個性も同じ役目を持ちます。
ブランドボイスは多くの競合他社を押し分ける上で、そしてオーディエンスの基盤を構築して維持する上でも効果的です。ブランドボイスには次のメリットがあります。
競合他社と差別化できる。消費者の 33% が、ブランドを他社より際立たせる主な要素は「明確な個性」であると回答しています。多忙な消費者の関心を引き寄せるために多くのブランドがせめぎ合う現代の市場において、ブランドボイスは顧客を得るか失うかの違いを生む可能性があります。
顧客とつながれる。顧客はつながりを求めています。実際、消費者の 86% が、愛用するブランドを決める重要な要素は「信頼性」であると回答しています。嘘偽りなく、本気でブランドの価値観に沿い、オーディエンスの共感を得られるブランドボイスを作り出すことが、信頼とつながりを育む上で役立ちます。
一貫性のあるブランドアイデンティティを作れる。ブランドと顧客が 1 点で交わる時代はすでに去り、オムニチャネルが主流になりました。そうした今、顧客の多くは携帯電話で商品を検索し、コンピューターで詳細を把握してから、実店舗で購入しています。また、消費者の実に 90% が、ブランドとのやり取りがすべてのチャネルで一貫していることを期待しています。つまり、すべてのチャネルにわたって一貫するブランドボイスを作成し、それらを維持することで、オーディエンスによりよいカスタマーエクスペリエンスを提供し、顧客獲得率の向上が見込めます。
ブランドへの認知と愛着を築ける。顧客にリピーターになってもらう上で、ブランドボイスは大きな役割を果たします。記憶に残るブランドは確固としたブランドボイスを持ちます。リサーチによると、ブランド認知はブランドロイヤルティ、つまりブランドへの愛着と切っても切り離せない関係にあります。要するに、明確なブランドボイスは、ブランドへの愛着を養い、ブランドへの信頼感を築く際に有効に働くのです。その結果、顧客基盤はより強固になり、最終的にコンバージョン率は高まります。
では、明確でユニークなブランドボイスとは一体どのようなものなのでしょうか。ゆるぎない個性を生み出したブランドの例を取り上げて、紐解いていきましょう。
Apple のブランドメッセージングは自信と確信に溢れており、直接的です。ウェブサイト、SNS、実店舗など、顧客が同ブランドと接する場所がどこであっても、クリーンでシンプル、わかりやすいメッセージが展開されています。Apple は、短くも印象強い言葉遣いを使用してブランドの自信と品質を直感的に伝えており、傲慢さを感じさせることなく、自社がマーケットリーダーであることを示しています。
フレーズ例:
Privacy. That's iPhone. (プライバシー。これが iPhone)
No wonder your selfies look so good. (自撮りが上手な理由にも納得)
Skittles はカジュアルな姿勢でオーディエンスと向き合います。X (旧 Twitter) アカウントでは上から目線でフォロワーを頻繁に煽ったり、奇抜なテレビ CM を放映したり、ウェブサイトにまじめさの欠片もないコピー掲載するなどして、Skittles はオーディエンスとの絆を深め、消費者を楽しませてくれるブランドとして認識されています。
フレーズ例:
The official candy of pogchamps. Sorry mom, you can’t pause it! (衝撃のテイスト。食べ出したら止まらない)
People who are quarantining without Skittles... What are you trying to prove? (Skittles を持たずに自己隔離するなんて。何を証明したいの?)
Dove は偽りのない、本当の美しさを伝えることに全力を投じています。この姿勢はブランドのメッセージに現れています。Dove はウェブサイトのコピーや SNS のアカウント、広告をとおしてオーディエンスに自信を与え、多様性を受け入れるメッセージを用いてその価値観を全面に押し出し、消費者とのつながりを確保しています。その結果、あらゆる年代や人生の段階において自信と自己肯定を重視するブランドとして認識されるようになりました。そしてこの認識を活かし、消費者を引き付け、強固なブランドロイヤルティの基盤を構築しています。
フレーズ例:
We see beauty all around us. (私達は美しさに囲まれています)
Let’s change beauty. (「美しさ」の概念を変えませんか)
Harley-Davidson はオーディエンスを熟知しています。それは自由、独立心、個性を重視するライダーです。つながりを生み出すために、Harley-Davidson は、ワイルドで、野心的で、ときに反抗的な態度をそのブランドボイスのいたるところに込めています。顧客が持つ顧客自身に対するイメージを投影する大胆なメッセージを使うことで、製品がどのようにして顧客のライフスタイルを引き立たせ、後押しするかを示しています。
フレーズ例:
All for freedom. Freedom for all. (すべては自由を得るため。自由を愛するすべての人へ)
United we will ride. (共に乗り越えよう)
Grab life by the bars. (ハンドルを握って生き様を見せよ)
何から手を付ければよいのかわからないという方のために、オーディエンスとのつながりを作り、注目を集める効果のあるブランドボイスを作成する上で参考になる 7 つの戦略を以下にまとめました。
ブランドボイス作成の大部分を占めるのが、現在の立ち位置を理解することです。こうすることで、功を奏しているアプローチに注力し、うまくいっていないアプローチに見切りをつけられるようになります。まずはメッセージの発信場所として使用している各種チャネル、たとえば SNS のアカウントや店舗内の広告、OOH (家庭以外の場所の) 広告に着目し、次の質問をご自身に問いかけてください。
ブランドはどのような印象を与えているのか
メッセージは製品やブランドの価値観と一致しているか
ブランドの進化に伴いメッセージも変化しているか
改善や調整の余地があるのはどこか
矛盾するところはあるか (とりわけ各種チャンネル間の矛盾の存在に注意)
可能であれば、どのブランドメッセージングが優れた成果を出しているのか (または成果が芳しくないか)、どのページが最も多くのアクセスを集めていて、どの投稿が最も多くのいいねを獲得しているのか、顧客はどこでどのようにブランドと接触しているのか、という点を判断するためのレポートを作成することをおすすめします。こうすることでオーディエンスが好むコンテンツの種類、オーディエンスから共感を得られないコンテンツを把握できるようになります。
企業のミッションステートメントは企業が掲げる大義と組織の目標を説明するため、ブランドボイスを作成する際のスタート地点としてはうってつけです。企業が何を達成したいのかは、顧客とどのようにコミュニケーションを取るべきかに直接結びついているのです。
ここではフィットネス関連の企業を経営していると仮定します。この企業は健康的な習慣に関する消費者の認識を高めること、消費者に自信を与えてフィットネスの目標を達成してもらうこと、の 2 つを目標に挙げています。この企業のミッションステートメントを基に企業の個性を構成する 2 つの主要なパーツが判明しました。それは「教育」と「自信を与える」です。ここからこの 2 つのブランドの特徴に結びつくブランドボイスを構築していくことになります。そして最終的に「役に立つ」「誰でも参加可能」「居心地の良い」といったキーワードを意識したブランドボイスに落ち着くでしょう。
企業のミッションステートメントと同じようにコアバリューはブランドボイスの基盤を定めます。コアバリューを見れば企業の個性を構成する特徴 (ブランド) を特定しやすくなります。「わかりやすさ」と「誠実」をコアバリューに挙げているなら、これらの特徴を反映したブランドボイスを作るべきです。たとえば率直で、正直で、信頼の置けるブランドボイスを作成するとよいでしょう。
実際の企業の例を見ていきましょう。スターバックスのコアバリューには、誰もが自分の居場所と感じられるような文化をつくること、包み隠さず誠実に向き合い、その瞬間を大切にすることが掲げられています。これらのバリュー (価値観) は実際にスターバックスの表現にこだわったブランドボイスに用いられており、率先して喜びを促進し、カジュアルで楽しく、心地良いメッセージを介してつながりを作り出す役目を担っています。
あなた自身がオーディエンスとどのようにコミュニケーションを取るべきか (またはどのようなコミュニケーションを避けるべきか) を考える際に、競合他社がオーディエンスとコミュニケーションを取っている方法が参考になる場合があります。主な競合他社が消費者とどのようにコミュニケーションを取り、接しているかをメモしておきましょう。どのような言葉遣いをしているか?全体的なコミュニケーションスタイルはどのようなものか?自社と同じようなコミュニケーションスタイルや戦略はみられるか?それとも異なるか?うまくいっていると感じることや改善の余地があると感じることをチェックしましょう。それらを参考にして独自のブランドボイスを作成します。
以下に、競合他社のコミュニケーションスタイルを評価する際に考えたいポイントをいくつか挙げます。
どのような言葉遣いをしているか?ストレートな言い回しなのか?華やかなものか?親しみやすいキャラクターなのか?それともエキスパートとしての助言なのか?
コピーはどのような感情を生み出すか?驚きを与えるのか、自信をもたらすのか、幸せな気分にするのか、過去に浸りたくなるのか?
競合他社のミッションステートメントとコアバリューはブランドボイスにおいてどのような役割を担っているのか?各企業の目標とオーディエンスとのコミュニケーションに関連性はあるのか?
競合他社のブランドボイスと一致するテーマは何か?ライバル企業がすでに実施している取り組みに対してどのように差別化を行うことができるのか?
どのようにオーディエンスにメッセージを伝えるのかは、メッセージを送る相手によって異なります。年齢や性別、仕事などの顧客層によって、オーディエンスが受け入れやすいコンテンツや表現のタイプは変わります。
実生活の例を考えてみましょう。最後に家族で集まったときのことを思い出してみてください。Z 世代の姪と話すのと同じ話し方で祖母とも話しましたか?おそらく相手によって話し方を変えていたはずです。なぜなら、それぞれが共感を覚える対象が異なるためです。オーディエンスに基づいてブランドボイスを作成する場合も、同じコンセプトで行います。
オーディエンスが望むコミュニケーションを正確に理解することは、ターゲットオーディエンスの共感を得て、信頼と関わりを構築できるブランドボイスを作成する際に有効です。どのようなタイプのメディアに目を通し、どのような表現に引き付けられるのかを考えてみましょう。
まずは、ターゲットオーディエンスを象徴する架空の顧客である、バイヤーペルソナを作成します。年齢や性別、職業などの基本的な顧客層に関する問いに答え、さらに個性、モチベーションやフラストレーションの対象など詳細な設定に移ります。また、ターゲットオーディエンスが情報をどのように使用し、またどのようにコミュニケーションを取るかを考慮する必要があります。彼らはデジタルネイティブか?対面でのコミュニケーションを好むのか?形式にこだわらないのか、あるいは形式を重視するのか?楽しさを優先するのか、厳格なのか?こうした質問への答えが、消費者に合わせてブランドボイスを作り上げるのに役立ちます。
相応しいブランドボイスを決める上でもう 1 つステップがあります。それは、適切ではないブランドボイスが何かを判断することです。このステップを踏むことによりブランドボイスで利用するべき (および避けるべき) タイプの表現を明確に理解しやすくなります。
まずはブランドボイスとは切り離したい形容詞や記述をリストアップします。何から手を付ければよいのかわからないならブレインストーミングでアイデアを挙げたり、ブランドのミッションステートメントとバリューを再確認したりするとよいでしょう。次のようなリストを目指してください。
退屈なブランドボイス
疎外感を抱かせるブランドボイス
うぬぼれたブランドボイス
手厳しいブランドボイス
つづいてこのリストを参考にして相応しいブランドボイスを検討します。上の例をまとめると次のようなブランドボイスのステートメントが考えられるかもしれません。
包み隠すことなく、すべての人を受け入れ、誠実である。楽しい会話を彷彿とさせ、人と人とのやり取りを意識して消費者とつながりを育む。
適切なブランドボイスがある程度見えてきたら、公式のブランドボイスガイドラインを策定してさらに具体化していきます。このガイドラインはブランドボイスチャートやブランドボイステンプレートとも呼ばれ、ブランドボイスを説明するほか、コピー作成時の指針の役割を担います。
以下に、ブランドボイスガイドラインに盛り込むべきアイテムを挙げます。
ブランドボイスを説明するステートメント。 例: 包み隠すことなく、すべての人を受け入れ、誠実である。楽しい会話を彷彿とさせ、人と人とのやり取りを意識して消費者とつながりを育む。
ブランドを象徴する 3 つから 5 つの特徴。例: 偽らない、すべての人を受け入れる、フレンドリー。
各特徴がブランドメッセージングでどのように聞こえるかを説明する。例: すべての人を受け入れる: オーディエンスを温かく迎え入れます。私たちは親しみやすく、理解力があります。共感的な言葉を使い、多様性を称賛します。
特徴を具体的に示すための実践的なヒント。例: OK: 多様性を受け入れる言葉を使う。尊重する姿勢を持つ。人々の個性を認める。NG: 排他的な態度を取る。専門用語を使いすぎる。
ブランドボイスを決めたら、ブランドがどのようにコミュニケーションを図り、どのようにブランドを表現するのかに関してメンバー全員が足並みを揃えられるようにベストプラクティスを文書にまとめます。スタイルガイドと同じように、この文書はメディアやコンテキストに応じてどのようにブランドボイスとブランドトーンを使うべきかについて具体例を記します。
明確で確固たるブランドボイスを策定するとブランド独自の個性を示せるようになり、またブランド認知とブランドへの愛着を高める効果も見込めます。これはあらゆるブランドが求めているものです。
ブランドボイスは、人々の記憶に残るブランドを作る上で重要な役割を果たしますが、それは第一歩にすぎません。注目を集めるには、ブランドメッセージを発信する必要があります。幸い、ワークマネジメントソフトウェアは、マーケティングチームがプロジェクトをコーディネートし、実行するのに役立つため、ブランドの注目度を高めるキャンペーンを立ち上げることができます。