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ブランドメッセージングとは、会社が社内と社外の両方へ向けて語ることです。会社のあり方を示すためには、ブランドメッセージは一貫したユニークなものである必要があります。ブランドメッセージングとは何かを学び、6 ステップでマーケティングのレベルを上げる独自のブランドメッセージングの枠組みを作りましょう。
「会社について語る」ことと「会社が語る」こととは異なります。後者はブランドメッセージングと呼ばれる、会社による自社の表現方法です。一貫したブランドメッセージはコミュニティの忠誠心を高め、口コミマーケティングを促進し、ブランド独自の個性を作り上げます。
ブランドメッセージングは、ブランドの話し方です。それは一貫したコミュニケーションであり、そのビジネス独自の顧客価値を伝えるための戦略に基づくものです。ブランドメッセージングについて考える目的は、適切な場面で適切なことを伝えられるようにすることと、そこから他の人がそのビジネスについて共有 (シェア) しやすくすることです。効果的なブランドメッセージングは、PR や、そのビジネスが与える印象に影響します。
ブランドとはその会社の性格であり、ブランドメッセージングはその伝え方です。たとえば会社の性格としては「専門家」「面白い」「洗練されている」「正直」「信頼できる」などが挙げられます。ブランド戦略では、どのような印象を与えたいかを明確にし、それに沿った話し方を考えます。「専門家」として見られたいのであれば、ブランドメッセージングの枠組みにはテクニカルライティングや統計データを取り入れるべきでしょう。一方で「フレンドリー」や「ユニーク」といった印象を与えたい場合は、データは控えめにして、ジョークや言葉遊び、絵文字などを取り入れるはずです。
ブランドメッセージングには、社内と社外、2 種類の戦略があります。社内ブランドメッセージングは社員、チーム、リーダー間における、会社に関するコミュニケーションの取り方を定義し、社外ブランドメッセージングは顧客や世間の人々へのコミュニケーションの取り方を定義するものです。どちらのメッセージングもブランドの位置づけには欠かせないものですが、それぞれ異なるものになるはずです。
たとえば SNS アカウントを 2 つ持っていて、一つは社員向け、もう一つは一般向けだったとします。社員向けアカウントで発信する情報は福利厚生チームやオフィスのケータリング業者などの外部ベンダーからの情報になるでしょう。そのアカウントで投稿するときのブランドメッセージングは「親しみやすい」「ためになる」といったものになるはずです。それはブランドメッセージングが厳密に選ばれ、調整される一般向けのアカウントとは大きく異なります。たとえ「親しみやすい」という印象を外部にも与えたいとしても、それは社内でのコミュニケーションと比べて控えめなものになるでしょう。
ブランドメッセージはそのブランドのストーリーを伝え、ブランドと顧客の間の信頼関係を築きます。しかしブランドメッセージングの土台を作ることには、他にもさまざまなメリットがあります。
自然な口コミマーケティングにつながる: 現代のデジタル社会でも、口コミはブランドを宣伝する一番の方法です。会社がいくらブランド価値を表現しても、結局人は友達に勧められたものを購入します。ブランドメッセージングは会社と顧客のより深いつながりを作り、顧客が知り合いやフォロワーにブランドをどう伝えるのかをも左右します。
マーケティング素材に一貫性が生まれる: コアとなるメッセージが確立されると、メッセージングやデザイン、製品開発、コンテンツマーケティングが同じ価値観に基づいて行われます。
ブランドの個性が明確になる: 顧客がブランドに興味を持つためには、その会社がどんな組織であるかを知る必要があります。ブランドメッセージングによってそれを伝えることで、どんなことが期待できるのか顧客が理解できます。
組織的なブランディングが可能になる: クリエイティブブリーフを書くときも、エレベーターピッチを作るときも、ホームページをリニューアルするときも、ブランドメッセージング戦略が確立していれば、クリエイターはそれをもとに、ブランドに沿ったコンテンツを作成できます。
よいブランドメッセージは一見単純なものに感じられますが、決してそんなことはありません。ブランドメッセージングは裏で多くの考えや作業に支えられているからこそ、与えられた側にとって完璧なものに見えるのです。独自のブランドメッセージングを行うには、以下の 6 つのステップに従いましょう。
ミッションステートメントでは会社の目的を、ビジョンステートメントではこれからの方向性を説明します。ブランドメッセージングに着手する前に、こういった文書を参考にしてその会社がどんな組織なのか、どんな考え方の上に成り立っていて、どこへ向かっているのか明確にしましょう。その後で、その情報をもとにブランドの位置づけを説明します。これは、その業界やターゲットオーディエンスにもたらす価値を説明する社内向けの文章で、「ブランドポジショニングステートメント」と呼ばれます。製品やサービスについて簡潔かつ明確に表し、それが顧客の抱える問題をどのように解決するのか説明するものです。一方ミッションステートメントやビジョンステートメントはより一般的で、目的にフォーカスするものです。
ブランドポジショニングステートメントでは、会社のミッションや、それを達成する方法、それが重要な理由、誰のために行うのか、その人々の抱える悩みなどに言及します。たとえばクレジットカードの決済プロセスを改革することをミッションに掲げる金融テクノロジー企業の場合、ポジショニングステートメントは以下のようになります。
当社は、次世代中小企業の決済プロセスを簡素化することを目的に設立されました。決済にかかる時間を 3 秒短縮する革新的技術により、業界に新風を巻き起こしています。これにより顧客はより速く、より多くの利益を上げられます。当社は成長し続けるスタートアップ企業であり、前四半期だけで 1.200 万ドルの収益を上げています。他のフィンテックスタートアップ企業と異なり、当社は社員、投資家、そして当社のサービスを利用する企業のために、サステナブルな長期的成長を重視しています。
顧客にメッセージを伝える前に、すでに顧客に伝えられているメッセージから学びましょう。競合他社はどんなブランドメッセージングを行っていますか?競合他社がどのように売り込んでいるかを知ることで、ターゲット顧客が被っていても主要なメッセージに違いをつけることができます。
たとえば、競合他社が皮肉っぽいユーモアのあるブランドボイスを使っていたとします。それはつまり、あなたの会社を専門性の高さで売り込む余地があるということです。競合他社がジョークを飛ばすようなところで、統計データを引用しましょう。必ずしもどちらか一方のやり方が正しいというわけではありません。オーディエンスに訴えかけることができれば、どちらも正しいといえます。子どもにおもちゃを宣伝するなら、統計データは使うべきではないでしょう (子どもの親にとっては参考になるかもしれませんが)。
ブランドボイスは、ブランドのマーケティングメッセージを伝えるものです。多くの企業であふれている現代の市場では、注目を集めるためにブランドが大きな声を上げることも少なくありません。しかし、クリックベイトのようなコンテンツは短期的には効果的な一方で、今後数年間にわたって潜在顧客を顧客に変え、興味を持ってもらうための手段としては有効とは言えません。
だからこそ、独自のブランドボイスが必要になります。強いブランドメッセージはオーディエンスに強く語りかけます。オーディエンスはどんな悩みを抱えていて、会社はそれをどう解決するのか。たとえば女性向けの商品を消費者との直接取引 (DTC) で販売する企業の中には、より包括的な取り組みを始めているところがあります。体型や身長、年齢の異なるさまざまな女性を広告に使うということは、共感性の高いブランドボイスを用いているということです。絵に描いたようなモデルばかりでは、一部の潜在顧客が排除されてしまう可能性があります。
ブランドボイスを考えたら、それをチームと共有します。トーンやスタイルのガイドを作成し、ブランドについて語る機会のある社内のすべての人と共有しましょう。通常はマーケティングチームや広告チームがこれにあたりますが、セールスチームのような顧客と接するチームへ向けて作成することもできます。
そうすることで、ブランディングのベンチマークが確立します。このベンチマークは会社の基準を示すものです。雰囲気をつかんでからはルールを破ってもいいのですが、成功を定義し、適切に評価するためにはまずルールを確立しなければいけません。トーンやスタイルのガイドでブランディングを一貫させることで、社員はブランドの語り方を明確に把握し、全員が同じような、インパクトのあるメッセージを届けることができます。それと同時に、ベンチマークはブランドメッセージングを分析し、報告するための指標の土台としても機能します。
顧客はブランドメッセージをただ聞いているだけの存在ではありません。顧客も会話の一部です。いくら顧客にブランドの魅力をすべて知ってもらいたくても、いかに自社の製品が他社と比べて素晴らしいか、セールスポイントを列挙することばかりに時間を費やしてしまうと、顧客は離れていきかねません。結局のところ、自分の声を聞いてほしいというのが顧客の思いです。ブランドがずっと一方的に話していては、顧客の声を聞くことはできません。
一方的なアピールを続けるのではなく、顧客と対話を行いましょう。そこで役立つのがコミュニティマネジメントです。SNS のコミュニティマネージャーは会社と SNS ユーザーの間の連絡係となります。顧客が製品をほめるようなツイートをしたら、すぐに感謝のリプライを送るのもよい対話の例です。もちろんどのようにリプライするかはブランドボイスやトーンによって異なりますが、重要なのは会社がさまざまな形で反応を示し、顧客と対話するということです。
デジタルマーケティングの世界では、永遠に続くものはありません。顧客は変化し、それに応じてメッセージングも変わらなくてはなりません。進行中のマーケティング戦略においてリブランディングは当然のことであり、それは単にブランドメッセージングが進化したにすぎません。リブランディングとはむしろ、環境の変化を認識することです。
たとえば、会社の理想とする顧客が変化すれば、ブランドメッセージングも変える必要があるでしょう。他にも、あるターゲットオーディエンスを意識して製品を作ったものの、開発していくうちに、より適格な顧客基盤の存在に気付いたという場合もあるかもしれません。ターゲットを経営者から社員に変えた方がうまくいくというような場合です。そんなときは、ブランドメッセージングも変えていく必要があります。
ブランドメッセージを作成したら、それをすべてのマーケティングキャンペーンで使いましょう。そうすることでそのメッセージを、そしてブランドを、より記憶に残る一貫性のあるものにすることができます。ブランドメッセージは以下のような用途に使えます。
スローガンやタグライン: 読み手を惹きつけることを目的とした、短い言葉や文章、キャッチフレーズなど。
例: Nike は初期からブランドメッセージの使用を推進し、人々のモチベーションを高めるボイスを発信しています。Nike の広告を読むとコーチングされているような気分になりますが、これは意図的かつ戦略的なものです。これはおそらく、よく知られている “Just do it.” というキャッチコピーに最もよく表れています。
ソーシャルリスニング: ブランドについて共有、投稿、コメントしているオーディエンスに対する、会社の SNS アカウントを使った接触。
例: Taco Bell は単なるファーストフードチェーンから、SNS で大きな成功を収める、注目の存在となりました。皮肉っぽくユーモラスなボイスを使ったフォロワーとのコミュニケーションがその人気の秘密です。それが共有できる、人々を惹きつけるコンテンツとなり、オーディエンスのブランドへの愛着を高めています。
コンテンツマーケティング: ブログ記事、ニュースレター、ソートリーダーシップに関する記事など、ブランドから発信するあらゆる制作コンテンツ。
例: SNS 管理ソフトウェアプラットフォームの Buffer は、ポッドキャスト「The Science of Social Media (ソーシャルメディアの科学)」でマーケティングやコミュニケーションに関するトピックやデータについて議論しています。このアプローチはブランドをこの分野の専門家と位置づけ、顧客から信頼され、記憶される会社を作り上げています。
広告: ブランドをアピールするために購入した特定のスペースの利用。
例: Apple の製品 CM は、数ある広告の中でも存在感を放っています。iPhone の CM ではよく誰かがスマホを使う日常的な様子が、ハッピーで共感できるような形で描かれています。それに加えて大抵キャッチーな音楽が流れていて、時にはダンスを踊っていることもあります。顧客視点から見れば、Apple の製品はただ理想的なものであるというだけでなく、使うことで幸せになれる、というイメージが広告から伝わります。このポジティブなイメージが製品の購入を促進しているのです。
プレスリリース: 新製品のリリースや収益報告、会社規模の変更など、会社に関する新情報を公開する目的で制作される文書。
例: 最近では、リモートワークやハイブリッドワークに関するプレスリリースを出した企業が大きな話題を呼んでいます。2022年に完全リモートへの移行を発表した Airbnb も話題になりました。このプレスリリースが SNS やニュースサイトで拡散された結果、採用ページの閲覧数が 80 万回閲覧されたと同社は報告しています。
コミュニティ構築: ブランドと関連するトピックでのコミュニティの構築。テック企業の場合は技術規制に関するコミュニティなど直接関連するものでも、ブランドとの関連性はないが顧客が興味を持っているトピックでコミュニティを構築することもできます。
例: Glossier はブランド構築においてコミュニティを最重要視している美容企業です。同社の投稿にコメントしたり、製品について言及する投稿をしたり、Glossier のメールに返信したりすると、必ず返事が来ます。顧客が自社製品についてどう話しているか、常にアンテナを張っています。顧客へのエンゲージメントややり取りを続けることで、人々を単なる顧客から、コアなファンへと変えています。
会社が顧客にもたらすメリットが明確になったら、それを伝えるのがビジネス構築において非常に重要です。ブランドメッセージングをうまく行うことで会社の価値やメリットが広く伝わり、顧客の会話が促進されます。
ブランドメッセージの調整には、マーケティング、セールス、経営層など、さまざまな人々とのコミュニケーションが必要です。プロジェクト管理ツールを使えば、メッセージを整理し、会社全体で確認できるようになるだけでなく、作業にかかる手間も削減できます。以下で詳しくご確認ください。
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