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スプリントバックログは、アジャイルプロジェクト管理メソッドで一般的に使用される「バックログリファインメント (backlog refinement)」というテクニックを使って整理されます。スプリントバックログをきちんと整理すれば、スプリント計画がシンプルになり、各スプリントで最も優先度の高いタスクに確実に取り組めるようになります。
この記事では、バックログリファインメントを行う重要性と、バックログを詳細化することによりスプリントを順調に進める方法について詳しく解説します。
更新: この記事は、リファインメントの目的に関するさらに詳しい記述を含めて 2023年 6月に改訂されました。
キッチンで夕食の支度をしている自分を想像してみてください。冷蔵庫を開けると、まともな食事を作れるだけの材料がないことに気付きます。前もって冷蔵庫の中を確認して必要な材料を揃えておかなかったからです。これでは夕飯を作るのに、思っていた以上の手間がかかりそうです。
アジャイルのバックログリファインメント (詳細化) も同じコンセプトに基づいています。前もってプロダクトバックログを整理しておかないと、次のスプリントは順調に進まないでしょう。では、バックログリファインメントとは何かを見ていきましょう。
バックログリファインメント (別名バックログ管理またはバックロググルーミング、backlog refinement) は、プロダクトオーナーやマネージャー、チームメンバーがプロダクトバックログのアイテムを見直し、優先順位を付ける期間 (イベント) を指します。
このプロジェクト管理プロセスは、主にアジャイル手法で使用されています。次のスプリントで最優先するタスクを前もって特定しておけば、チームは透明性が確立された状態でプロセスを開始し、スプリントの開始とともに全力で作業に取り組めます。
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アジャイルプロジェクトを効率的に管理する方法スクラムにおけるリファインメントの目的は、透明性を生むことだけでなく、プロダクトバックログにチケットが山積みになるのを防ぐことです。そのため、バックログはスプリントごとに 1 回リファインし、スプリント計画に役立てることを目指すとよいでしょう。
定期的に車検を受けるのと同じように、プロダクトバックログも定期的に整理することが重要です。
かつては、植物の手入れ (グルーミング) に由来して「バックロググルーミング」と呼ばれていましたが、手入れが行き届いているように見せるには、余分な枝を切り取る必要があります。
バックログの手入れとは、バックログにあるすべてのチケットを確認し、余分なチケットを特定することです。バックログのチケットを定期的に管理しておけば、チームメンバーは作業を適切に行うために必要なすべてのコンテキストが揃った状態でチケットの処理に着手できます。
バックログリファインメントを行うと、スプリント計画を進めやすくなります。たとえば、レストランで働いているとしましょう。料理の下準備をするシェフと食事を実際に調理するシェフがいます。バックログリファインメントは、ディナーの注文が殺到する前 (この記事の例でいうとスプリントで忙しくなる前) に、あらかじめ野菜を切っておくことに似ています。必要なものがすべて揃い、スプリントが開始するときには、必要なすべての情報をメンバー全員が把握できているため、正しい情報を探そうと時間を無駄にしなくて済むというわけです。
可能であれば、バックログのメンテにはチームメイトにも参加してもらいましょう。そうすれば、次に予定されている作業に合わせて期待事項を調整し、バックログの問題に手をつける前に、各問題の対処法について考える時間を与えることができます。また、スプリント計画フェーズに達する頃には、着手可能なすべてのチケットについて詳しくなっているでしょう。
従来より、アジャイルプロジェクトの管理には、プロダクトバックログを整理するプロダクトリーダー (プロダクトマネージャー) もしくはオーナーが含まれます。スクラムのように、アジャイルの種類によっては、スクラムマスターがバックログリファインメントを担当する場合もあります。
担当者はチームと協力し、その状況に一番合ったプロセスを見つけます。ケースによっては、スプリントの特定の部分に集中して取り組むチームメンバーにバックログリファインメントを任せるとよいかもしれません。
通常、詳細化プロセスの最中には、以下のことを行います。
次のスプリントのチケットに優先順位を付ける
ユーザーの詳細なストーリーを用いて曖昧なチケットを明確化する
重複するチケットを一つにまとめる
関係者と会ってチケットの詳細を得る
類似のチケットや関連性の高いチケットを 1 つのタスクとしてグループ化する
作業量の多いチケットを小さなタスクに分割する
プロジェクトを円滑に進めるために、SaaS型プロジェクトマネジメントツールを活用しましょう。WBS 作成や工数管理もできる Asana なら、すべての仕事を 1 か所に整理できるから、業務効率が向上します。
無料トライアルを始めるバックログの整理は、必ずしも複雑なものではありません。バックログを上手に管理しておくためにおすすめしたいポイントをご紹介します。
プロダクト管理の専門家 Roman Pichler 氏は、プロダクトバックログを DEEP のキーワードに則って作成することを推奨しています。
では、DEEP なプロダクトバックログとは何でしょうか?
(D) Detailed appropriately (適切な詳細が含まれている): プロダクトバックログアイテムには、連続したユーザーストーリーを作成できるように、前後関係の情報が十分に含まれていなければなりません。開発者がチケットを完了させられるよう、タスクやチケットは必要なコンテキストがすべて揃っている状態にします。
(E) Emergent (創発的): 効果的なプロダクトバックログは、絶えず発展していきます。誰でも、新しいチケットやタスクを追加したり、タスクに情報を追加したり、ニーズの変化に合わせてタスクを削除したりできる必要があります。プロダクトバックログのアイテムに、変化しないものがあってはいけません。
(E) Estimated (見積り): チケットにはすべて、タスクに要する時間または工数の見積もりを含めます。アジャイルチームやスクラムチームの多くは、このセクションで標準的な尺度を用います。最も一般的に使用されるのは、タスクに要する時間です。
(P) Prioritized (優先順位が付いている): タスクは、重要度の順に整理します。スプリントの目標との関連性が一番高いタスクが最優先され、それ以外のタスクはその後に続きます。
タスクに優先順位を付けるときは、特定のタスクが他のタスクに依存していないことをダブルチェックしてください。別のタスクに依存するタスクがある場合は、優先順位を適切に付ける必要があります。
そのためには、依存関係にはっきりとしたラベルを付けます。そうすれば、チームが誤って依存タスクを始めてしまうことはありません。また、効率よく優先順位を付けられるため、作業がスムーズに運ぶほか、問題が発生する心配もありません。
プロジェクトを順調に進めるためには、タスク間にある依存関係を明確化することは必須です。仕事を管理するプラットフォーム Asana では、タスクの依存関係をしっかりと見える化し、チーム内で共有することができます。詳しくは『Asana でタスクの依存関係を作成するやり方』をご覧ください。
バックログリファインメントのミーティングには、プロジェクトマネージャーや実際に各チケットの処理に取り組むチームメンバーなど、次のスプリントに参加する関係者のみが参加するようにします。
プロダクトマネージャーが他部門の関係者と連絡を取るのは、特定のタスクについて何らかの説明が必要な場合に制限し、またそれは完全なバックログリファインメントセッションとは別に行うべきでしょう。そうすれば、バックログリファインメントセッションの最中には不要な会話を避け、話し合いの内容を目の前のスプリントに集中させることができます。
ミーティングを行う際には、効率的に議事録を作成しましょう。Asana を活用すれば、リアルタイムで議事録を作り、しかもその内容をリアルタイムでチームメンバーと共有することができます。テンプレートを用いれば、毎回ゼロから作成する必要もなく、さらに効率的でしょう。
議事録テンプレートの作り方 (無料)バックログリファインメントには、チームメンバー全員がアクセスできるコラボレーションソフトウェアの活用が効果的です。Asana のようなソフトウェアを使用すると、スプリントが構造化され、各タスクの担当者と期日が明確になり、重要な詳細を簡単に見つけられるようになるのでおすすめです。
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アジャイル開発においてよく聞かれるビジネス用語「バックログリファインメント」とは何か、その重要性を解説しました。リファインメントは、バックログを見直すための大切な期間です。スプリント期間で作業に集中したあとは、リファインメントを行って、バックログの整理を行いましょう。
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