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リモートワークへ移行し、物理的な距離をとることが必要となったここ数か月、Asana を含む多くの組織は、各地に分散しながら、チームとしてつながり、コミュニケーションをとる方法について再考を迫られています。こうした変化の対象には、インクルーシブなコミュニティを築くことも含まれます。世界的なパンデミックの中で暮らしながら、完全リモートで働くという新しいスタイルでは、インクルーシブなコミュニティを意識的に作ることが、これまで以上に重要になります。
すでに組織に組み込まれたインクルーシブな取り組みが、ひとつひとつリモートワーク環境に移植されることは簡単に予想がつくでしょう。表面的には、100% リモートに移行することで、全従業員にとって仕事環境が平等になるような印象を与えるかもしれません。しかし実際には、子育て中の親たちや社会的少数者に属する人たちなど、特定のグループの人々は、自宅勤務と世界的危機の中での生活という困難が加わることで、多数派以上に大きな影響を受けるのです。
Asana では、この機会に、従業員が自分の働きやすい形で仕事に取り組み、一緒にコミュニティを築いて、どこにいても人とのつながりとお互いへの信頼を維持できるような、さまざまな場を作ることにしました。
多様性がある、インクルーシブな環境を作るには、「全員参加チーム」のアプローチが必要です。それには、多様性のあるチームを築き、インクルーシブな環境を作るために、全員がそれぞれ果たすべき役割があると理解していなくてはなりません。このアプローチでは、少数派になりがちなグループが背負う役割を、全員の責任として共有することが必要です。
全員がそれぞれ独自の意見を持ち、表明して構わないのだと感じられるのがインクルーシブなコミュニティです。そうしたコミュニティは、働き方や仕事への取り組み方に影響を与えるさまざまな物事に対して、人々が対処する方法は人それぞれだという意識を体現しています。こうしたコミュニティには、多様なコミュニケーションスタイルやニーズへの寛容さと、自分らしくいても、批判や影響を受けることがないというお互いへの信頼があります。
組織の中でインクルーシブなコミュニティを作っていると、今の状況下の相手と向き合い、相手は無理せずに、自分自身でいられます。たとえば、ひとり親の社員は、今、リモートで働きながら、仕事と日常のさまざまな責任のバランスをとろうと苦労しているかもしれません。インクルーシブな環境を育てることによって、その従業員は、現状で仕事に影響が出る可能性があることを、上司に安心して話せるようになります。こうした寛容さによって、結局は、従業員は最高のパフォーマンスを発揮でき、マネージャーはチーム全体の仕事をより効果的に調整することで、メンバーたちをサポートできるのです。
リーダーたちにとって、チームメンバーたちと信頼を築くのはとても重要です。それがあなたのインクルーシブな取り組みすべての基礎となるからです。信頼を築くために最も重要な要素は、人々が鎧を脱いで、必要に応じて自分を出せる場を作ることです。
Asana では、チームとこうしたオープンな会話をするよう、マネージャーたちにすすめてきました。完全リモートワークに移行してすぐに、こうした会話をするための枠組みと合わせて、マネージャー向けに自宅勤務用ガイドを作成しました。個人的なやり取りやマネージャー会議を通じて、会話は必ずこの枠組みに基づいて行うよう繰り返し伝えることで、それが標準的なスタイルとなり、常に意識されるようになっています。
Asana で使用している枠組みの指針は、誰の状況も勝手に推し量らないことです。外から見ると、他にやることがなくて時間がありそうだったり、いろいろあってもうまくやり過ごしているように見えたりする人もいます。あなたが持つ推測を減らすには、チームの一人ひとりと腹を割って話をするしかありません。また、そうした話をするときは、解決策を一緒に考え、それを周りにも知らせるように、相手を力づけましょう。こうすることで全員がお互いを信頼し、のびのびと働ける場が生まれます。
リモートワークでは、相手が本気で会話に参加しているか見てわかる、ヒントになるものがあまりありません。普段、マネージャーが自分の直属の部下との信頼関係を作るために、1on1 ミーティングでどんな態度を示すかを考えてみてください。ノートパソコンを閉じて、身を乗り出して会話をしたり、腕組みをほどいたりするでしょう。こうした非言語的なヒントを、今は示すことができません。そのため、リモートの環境で信頼を築くには、もっと意識してコミュニケーションをとる必要があります。ここでは、そうした場を作り、チームとの信頼を築く方法をいくつかご紹介します。
チームでの働き方を決める: オフィスで働いていたときのチームのルールは、自宅勤務には適切ではないかもしれません。お互いの公私の区切りや、希望するコミュニケーションのとり方、究極的にはみんなでどうコラボレーションしていくかについて オープンかつ率直に話し合う 必要があります。そうしたルールの捉え方は一人ひとり異なります。だからこそ、話し合いが何より重要なのです。ある種のリクエストはいつまでに、どの程度まで対応すればいいのか。オフラインになる時間帯はいつか。どんな家庭の事情で、応答のタイミングや、特定の時間帯のミーティング出席に影響がある可能性があるのか。こうした問いへの答えを得ることが、チームにとってインクルーシブなルールを作る上で役立ちます。誰かが、午前中は子どもの世話で忙しいメンバーがいると知っていれば、チームミーティングは午後にしようと呼びかけられます。こうした小さなことが積み重なっていくのです。それにはまずルールを設定することから始めましょう。
まずあなたが鎧を脱ぐ: あなたが相手に対して自分を見せないのでは、相手もあなたに心を開こうとしないでしょう。多数派に属する人たちが、それ以外の人たちの個人的な情報共有の場を作ろうとする場合には、これが特に重要です。お手本を示すことで、そういう話題を出してもいいのだ、オープンに話しても大丈夫なのだと相手に示すことができます。あなた自身の悩み、仕事への取り組み方に影響があって困っていることを打ち明けましょう。そのうえで、相手にも悩みを話してほしいと伝えてください。
相手の状況を尋ねる: 仕事のステータス確認は重要ですが、チームメンバー自身の状況を把握していますか?仕事から離れて気軽に相手の様子を尋ねることで、それぞれが自分の思っていることを話す場が生まれ、普段ならもっと自然に発生する、オフィス内での会話の雰囲気を取り戻せます。時々、一緒に働いている相手に、元気にしているかと尋ねる個人的なメッセージを送りましょう。1on1 ミーティングの初めには、いきなりビジネスの本題に入るのではなく、ちょっと時間をとって雑談しましょう。また、2、3 週間ごとに、質問も仕事の話も抜きで、毎日の生活はどうか、どんなふうに頑張っているか確認する目的でミーティングの時間をとってもいいでしょう。たったそれだけで相手は大いに力づけられ、安心して各自の状況に合わせて仕事に取り組み、あなたが自分の状況を理解していると信頼してくれるのです。
インクルーシブなチームを作るもう一つの鍵は、意見を述べるのに抵抗がある人もいると頭に入れておくことです。チームの全員に声をかけて、どんな小さなことでも、仕事への取り組み方に影響したり、仕事の場で本来の自分でいられなくなったりする事態が起きたら、安心して声を上げられるようにすることが大切です。次のようなグループの人たちは、特にリモートワークの影響を受けている可能性があります。
社会的少数者に属するメンバー: その場に自分と同じ属性の人がいない状況で、自信をもって堂々と意見を述べることは簡単ではありません。それがリモート環境だったら、と想像してみましょう。そのために、ビデオコール中だけでなく、ミーティングの前後などに誰でも声を上げ、意見を述べられる代替の方法を用意することが重要です。チームの全員と積極的にかかわり、意見を求め、耳を傾ける姿勢を見せ、少数派の声を考慮してグループの決定を下してください。
子育て中のメンバー: 学校が閉鎖中で子どもの保育や世話の手段が限られている状況で自宅勤務をするということは、親たちにとって、集中力や生産性の発揮に影響が出る特有の事情を意味します。子育て中のチームメイトについては、お互いに期待できる範囲を現実的に判断する必要があります。親たちは勤務時間をずらす必要があるのか。特に負担が大きい日には、安心してそう言えるか。子育て中のメンバーやそれ以外のメンバーとオープンに話し合い、全員で仕事に取り組むためのルールを決めることで、親たちは自分の仕事とチームでの居場所に自信を持てます。
時差があるチーム: チームの大部分のメンバーが同じ国で働いていても、世界各地でコラボレーションするメンバーたちの様子を訊くことをお忘れなく。あなたの 1 日の始まりは、彼らにとって 1 日の終わりかもしれないので、こうしたメンバーには、都合のよい会議の時間やその理由を聞きましょう。1 日の終わりの会議で精彩を放つ人もいますが、疲れ切って集中できない人もいます。チーム全員がどんな状況で会議に参加するのかを理解し、全員に都合がいいようにスケジュールを調整してください。インクルージョンのための取り組みにおいて、Asana は役立ちます。関係者全員が会議内容と関連の仕事を確認できるので、出席できなくても置いてきぼりになりません。
新規採用者: 重要なのは、新規採用者がチームや組織での初日から、その環境にうまくなじめるようにすることです。リモート環境では、人間関係やコミュニケーションのルールを理解するのが難しい場合もあるので、新規採用者と一緒にこうしたルールを見直し、彼らをサポートして会社のやり方を教えるチームメンバーを割り当てましょう。
同僚と直接顔を合わせる場合、他の部門との仕事を通じてチームメイトと友情が生まれたり、同じアイデンティティ上の特徴を持つ人たちと人間関係ができたりするのは自然です。でもリモートワークでは、こうした人とつながるチャンスから取り残された気持ちになることも多いものです。
会社はすべての従業員が会社のミッションや価値観によってつながるコミュニティです。そして社内には多くの小さなコミュニティが存在します。こうした小さなコミュニティは、直属のチームや Employee Resource Groups (ERG) のようなトップダウン式に形成されるものもあれば、従業員同士で、ランチをしたり、オンラインのチャットを通じて自然に生まれる場合もあります。リーダーとして、このようなコミュニティについて知り、従業員がどんなかかわり方をしているか知っておくことは重要です。チームを成功に導くのはリーダーの責務であり、それには人のつながりを維持することも含まれるからです。
Asana では、ソーシャルな付き合いや、ボランティア、リクルートイベント、本音トークイベント、オフィスパーティなどを通じて、人とつながるオフラインのコミュニティが花盛り。こうしたアクティビティをバーチャル環境に移行し、それぞれの場所で人々が出会えるように熱心に努力しています。こうしたコミュニティには次のようなものがあります。
Employee Resource Groups: ERG はさまざまなコミュニティやグループをサポートして、安全でポジティブな空間を作ります。ERG は Asana のカルチャーの大きな部分を占めており、半数以上の従業員が 1 つ以上の ERG に所属しています。Asana の ERG はオンラインで人々がつながり、新メンバーを歓迎する方法を強化してきました。毎週のように、いずれかの ERG がオンラインイベントを主催して、従業員たちが安心して発言したり、それぞれの経験について本音で語れる場を提供しています。イベント内容はカジュアルなランチから、時事問題についてのディスカッション、映画上映、ゲームナイトまでさまざま。Asana では、こうしたアクティビティを通じて、世界中の従業員のエンゲージメントが高まってきました。
Asana の ERG はまた、毎日のディスカッショントピックやアンケートの他、インスピレーションを与える言葉や自分の思いをシェアできるバーチャルホワイトボードを使って、1 日を通じてつながりを維持しています。リモートで働く従業員のオンボーディングプログラムでは、ERG コミュニティをこれまで以上に大きく取り上げているので、こうしたコミュニティのいずれかに関心を持った従業員は、すぐに参加して、新しい人たちと出会うことができます。
オンライン社内コミュニティ: 従業員たちが自分に合った、安心して参加できる Slack チャンネルを見つけ、Slack コミュニティが成長していくこともあります。Asana での好例が「Parents」チャンネル。リモートワークに入った初めの週、大拡散されたツイートに触発されて、このチャンネルで我が子の名前を「同僚」という言葉に置き換え、子どもたちが何をしたか話し合う会話が生まれました。自然発生的に人々が気軽に集まって経験をシェアしたことが、全員が同じ困難に立ち向かっていることを思い出す機会になりました。共通の経験を共有し、互いに支え合う場-それこそがコミュニティです。
新入社員エンゲージメントプログラム: 従業員のエンゲージメントを高め、チームとのつながりを維持するために、従業員のニーズに応えて新しいプログラムを考案してもいいでしょう。たとえば Asana の ERG チームレインボーは、エクゼクティブチームのメンバーを含めてバーチャル「ハリウッドスクエア」ゲームイベントを主催しました。社内のだれもが立ち寄って眺められる、トリビアを競い合う愉快な 1 時間になりました。
また、計画していたプログラムの一部を変更して、社員たちがそれぞれの感情を共有する場を作ることもあります。パンデミックのニュースが出始めた頃、オープンディスカッションを開催し、新型コロナウイルスによって、アジア系コミュニティが人種差別を受け、また陽性率や死亡率の点から黒人などの有色人種コミュニティに被害が多く出ている現状について話し合いました。ERG は「メンタルヘルス意識向上月間 (Mental Health Awareness Month)」に参加して、複数の ERG 合同でメンタルヘルスがテーマのランチ会や、毎週の瞑想、メンタルヘルス組織によるワークショップなども行っています。楽しむ時間と現実に関するトークのバランスをとることで、社員たちのニーズを満たし、いつどこにいても、最も必要としているものに参加できるようにしています。
今、組織の中でインクルーシブな環境を構築することは以前にもまして重要ですが、これはオフィスに戻っても、その後何が起きても続けるべきことです。仕事への取り組み方に影響を与えるものについて、無理をせず現実的になるよう社員を勇気づけること、社員が人とのつながりを築けるようにすることは、仕事の成果に直接結びつきます。本来の自分でいられることで、自信と他者への受容が生まれ、それによって人々は最高のパフォーマンスを発揮し、生き生きと輝くことができるのです。
Asana のダイバーシティとインクルージョンについて詳しく見る
Special thanks to Grace Lee, Terri Burden, Sebastian Gibson, Laura Draper, Beth Toland, Tadgh Dolan