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NTT東日本本社オフィス

リモートワーク下で真価を実証 「Asana」活用で高い成果を出す新規事業チーム

結果

「業務をAsanaに合わせる」ことで迅速な働き方改革を実現

Asanaのコンセプトに合わせて業務体系を変更。ゼロトラスト環境を独自に構築し、コミュニケーションを活性化することで、リモート下でも効率的にプロジェクトを推進

状況に応じたアジャイルなプロジェクトの軌道修正が可能に

新規事業を協業するパートナーとのコミュニケーションにもAsanaを活用し、事業環境の変化にスピーディかつ適切に対応が可能になった

組織の方針とタスクを紐づけて可視化することでメンバーの主体性が向上

組織が達成すべき目標や実現すべき計画をリアルタイムに伝え優先度をメンバーに認識させ、タスクにまで落とし込むことでメンバーが自主的に業務に取り組むように

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高い知名度を誇る電気通信事業者である東日本電信電話株式会社(以下NTT東日本)は近年、オープンイノベーションやデジタルトランスフォーメーション(DX)支援ビジネスへの注力度合いを強めています。2020年以降はビジネスモデルのシフトだけでなくコロナ禍というマクロ環境の大きな変化にも直面、働き方や組織の在り方への抜本的な再構築が求められる中、システムから組織文化の改革までを一体で進める自社DXも加速しています。プロダクト・サービス開発の中核を担うビジネス開発本部では、自らのDX基盤を構成する主要ツールとして「Asana」を導入し、日本の大企業ではあまり見られない「ツールに業務を合わせる」という発想で成果につなげています。プロジェクトを主導する同本部第四部門DXプロデュース担当課長の秋田 純氏、同DXプロデュース担当の井上麻衣氏にお話をうかがいました。

通信領域だけじゃない 需要高まるDXビジネスに注力

東日本地域の地域電気通信業務を担う事業会社というイメージが強いNTT東日本ですが、実際は通信領域にとどまらず、外部企業やグループ会社と連携しながら地域社会の課題解決に向けたビジネス開発を積極的に行っています。とりわけ近年は、DX推進が社会的にも急務として捉えられていることもあり、最先端のICT技術を活用した顧客のDX支援に注力し、本格的なビジネス拡大フェーズに入っている事業も増えています。

例えば、もともと同社の強みである通信サービスと、エッジコンピューティング、サードパーティーのクラウドサービスなどを組み合わせてリアルタイムに大容量の映像や画像を解析できるソリューションを提供、そのニーズは急速に高まっています。また、地域課題の解決という点で力を入れているのがデジタルテクノロジーの活用による一次産業の高度化です。従来、地産地消で小規模にしか消費できなかった生鮮品などを国内外の大消費地に輸送してビジネス規模を広げるためのコールドチェーン(IoTなどを活用して出荷から納品まで鮮度を保持できる流通の仕組みを構築する)事業に取り組んでおり、物流企業やフードテックなどと連携しながらオープンイノベーションを進めています。

そしてコロナ禍による働き方の変化を背景に需要が急拡大している「オフィスDX」ソリューションも注力領域です。NTT東日本がアクセラレータープログラムを通じて出資しているバカン社と共同で、ニューノーマル時代のオフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple(キープル)」を共同検討し、2022年2月にリリースしました。バカン社はAIやIoTの技術をベースに人やモノの混雑・空き状況を可視化・管理するサービスを手掛けるベンチャー企業です。Keepleは、オフィスのフリーアドレス化やリモートワークとオフィスワークのハイブリッド化を強力に支援するサービスとして、座席のチェックイン機能や社員の位置検索、担当業務・プロフィール表示といった機能を提供しています。偶発的なコミュニケーションの誘発に効果が見込める新機能など今後も随時追加していく予定です。

東日本電信電話 ビジネス開発本部第四部門DXプロデュース担当課長 秋田 純 氏

チャットとWeb会議では解決できない マネジメントの課題が顕在化

従来新しい事業は、オフィスへの出社を前提とした働き方の中で、メンバーが対面でコミュニケーションしながら生まれてきたものです。しかしコロナ禍により、NTT東日本も2020年4月には在宅勤務を前提とした働き方へシフト。新規事業のアイデア出しや事業計画の作成・実行の肝だったコミュニケーションの在り方も変わりました。

秋田氏は「われわれの業務では、オフィス内での偶発的な出会いが組織間のコラボレーションを促進して新しい何かを生み出すということがよくありました。そうしたコミュニケーションが全くなくなってしまうことに大きな危機感を抱きました」と振り返ります。加えて2020年7月には人事異動と体制変更があり、場合によっては直接会ったこともなく顔と名前が一致しない人とオンラインだけでコミュニケーションし、新規事業を進めなければならない状況になりました。

当初はビジネスチャットとWeb会議ツールを主体にこうした変化に対応したものの、課題はすぐに顕在化します。特にチームマネジメントやチームビルディングの観点から、マネージャーである秋田氏には多くの気づきがあったそうです。

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チームメンバーや社内の他部門、外部パートナーも含めてコミュニケーションの総量は激減し、メンバーやチームに任せた仕事の進捗が見えづらくなりました。また、Web会議はリアルなコミュニケーションとは異なり、参加しているメンバーの理解度やモチベーションを把握することも難しくなりました。ただ、これらは上司の一方的な悩みであり、課題の本質はマネジメント側にあることに気づいたのです”

従来、組織として達成すべき目標や実現すべき計画は、半期ごとの年2回程度しか共有されていませんでした。一方でビジネスを取り巻く状況は常に変化しています。オンラインでのコミュニケーションが前提となったことは、若手や社歴が浅い社員にとって、より深刻なハードルになると秋田氏は考えます。

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組織のリーダーやマネージャーが常に自身の頭の中をリアルタイムに可視化・言語化して共有しなければ、チームメンバーは自分の業務が何と連動しているのか、最新の優先順位を把握できません。これではメンバーの心理的安全性も十分に保つことが難しくなります”
秋田氏

秋田氏は、組織としての方針や目標、優先順位をリーダーやマネージャーがリアルタイムに可視化・言語化してチームに伝達し、タスクまで落とし込んで管理できることに加え、情報をチーム全体で共有し、メンバーが自身の業務に納得感を持って自主的に取り組めるような仕組みが必要だという結論に至りました。そのプラットフォームとして採用されたのがAsanaです。

Asanaで各メンバーのタスクの総量が見える化し、効率的なマネジメントを実現

独自のゼロトラスト環境構築し 「業務をSaaSに合わせる」世界へ飛び込む

ビジネス開発本部ではコロナ禍をきっかけに、「情報システム」と「働き方」の両方を一体的かつスピーディーに抜本改革するという方針がトップダウンで示されていました。そこで、独自のゼロトラスト環境を構築した上で、コミュニケーションを活性化し、効率的で効果的なプロジェクト推進を支えるSaaSを導入、「業務をSaaSに合わせてみる」という新たな発想で業務の変革を図る計画を打ち出し、秋田氏率いるDXプロデュース担当チームがプロジェクトを推進しました。

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SaaSはユーザーの利用データを基に機能をアップデートし、最適な業務プロセスの構築を可能とする機能をユーザーに還元していくモデル。そのメリットを最大限に享受するには、これまでのやり方を脱し、SaaSの世界に飛び込んでみることが大事だと考えました”

2020年8月にSaaS導入を前提とした業務変革のコンセプトづくりに着手し、事業開発部門と情報システム部門を横断したワーキンググループを立ち上げました。同年10月には、社内ネットワークの外で、社内情報にはアクセスしない前提でAsanaの試用を開始。並行してゼロトラストの本番環境づくりも進めました。機密性の低い情報から扱えるように段階的に利用範囲を拡大し、2021年7月には最も機密性の高い経営情報や顧客情報も扱える環境が整いました。

通信という社会インフラを手掛ける事業者として情報システム全体に非常に厳しいセキュリティ対策が求められるNTT東日本では、シンクライアントでリモートワーク環境を構築していました。一方で、事業開発部門としては「よりオープンな環境で使ってこそAsanaのようなSaaSの真価が発揮される」という思いがありました。そのためセキュリティやシステム構成、情報の取り扱いルールなどについて、情報セキュリティ部門と何度も話し合い、調整を重ねながら、短期間でゼロトラスト環境の全面運用に至りました。このプロセスにもAsanaをフル活用し、短期間で成果をあげたことで社内表彰もされています。

また、グループ会社であるネクストモード社もAsana導入を後押ししました。同社はNTT東日本とAWSパートナーとして知られるクラスメソッドの合弁で設立されたクラウド導入支援を行う会社で、2022年2月にはAsanaの最上位パートナーであるEliteパートナー認定も取得しています。

今回のプロジェクトでもネクストモード社が自社で活用しているノウハウを実演販売さながらにやって見せて導入を支援しました。グループ会社としての立ち位置を生かし、ビジネス開発本部の業務実態を踏まえたうえで、最適なツールとしてAsanaを提案したのです。現在、社内には他社のプロジェクト/タスク管理ツールを使える環境も用意されていますが、試用段階からAsanaの評価は高く、社内にAsanaファンが増えたことでスムーズな導入をさらに加速させたといいます。井上氏は「チームプロジェクトをリモートワーク環境下でも可視化できるAsanaのメリットが口コミで社内に周知され、自分の部署でも早くAsanaを使いたいという声も頻繁に聞かれました。そうした雰囲気が情報システム部門や情報セキュリティ部門の協力的な姿勢にもつながったと感じます」と振り返ります。

 東日本電信電話 ビジネス開発本部第四部門DXプロデュース担当 井上 麻衣 氏

組織全体の働き方をアップデート 見える化で意思決定も早く容易に

現在、Asanaは主に、バカン社との協業ビジネスとコールドチェーンビジネスで活用しており、全てのタスクをAsana上で管理しています。それぞれのタスクは会社全体や組織としての方針に紐づけるかたちで設定し、タスクごとに目標とするアウトプットを言語化し、メインの担当者とコラボレーターを明確に決めることでメンバー間の認識のズレを防いでいます。また、当初から秋田氏が指摘していた「事業環境の変化に組織としていかにスピーディーかつ適切に対応するか」という課題にも実践的に取り組んでいます。事業計画の策定時や修正時は、プロジェクトやタスクの構成、優先順位などを迅速に組み直すことでタイムラグなく柔軟な対応ができているといいます。

秋田氏によれば、「SaaS(Asana)に業務を合わせる」という当初からの方針に従い、まずはテンプレートを積極的に使ってみたことで効果的な運用ができるようになったそうです。「われわれが担当しているのは新規事業なので、会社の事業計画にダイレクトに紐づかない部分もあります。そこをどうAsana上に乗せていくのか、最初は難しい部分もありましたが、Asanaやネクストモード社の支援もあって、使いながらカスタマイズすることで自分たちの業務にフィットした使い方ができています」

Asanaを導入したことで、チームメンバーそれぞれの業務や役割分担が誰の目にも明確になり、進捗が一目で把握できるようになりました。これにより、秋田氏が課題と認識していたコミュニケーション面の課題は解消され、各メンバーも主体的に仕事を進めやすくなりました。会議もAsanaでの情報共有をベースに進めるため、秋田氏は「チームとしての意思決定やコンセンサス形成が迅速かつ容易になった」と感じています。

また、プロジェクトに途中から参加するメンバーでも、Asanaがあることでチームとしての業務になじみやすくなるという効果も表れています。「2021年は東京五輪・パラリンピック関連の業務でチームを一時的に離脱したメンバーがいたのですが、Asanaによってプロジェクトやタスクのそれまでの進捗や経緯が可視化されるので、戻ってきたときもスムーズに業務に復帰できました」

2020年10月の試用開始以来、Asanaユーザーとしての経験値を上げてきたNTT東日本ですが、自社での活用ノウハウを生かし、今後は自社の課題解決から生み出されたKeepleとの連携ソリューションの開発なども視野に入れています。秋田氏は「多くの企業や組織で働き方が大きく変わり、コミュニケーションの課題が顕在化しています。チームでの働き方やコミュニケーションをアップデートし、お客様のビジネスの成長に役立てるようなソリューションを共創していく仲間として、Asanaと連携しながら高い成果を上げていきたいと考えています」と今後の展開にも期待を示しています。

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